「〇〇市役所は生活保護の審査が厳しいから、やめた方が良い。」
「□□市役所は生活保護の審査が甘いからオススメ!」
と言ったウワサを聞いたことがあるのではないでしょうか?
では、実際に自治体によって生活保護の審査が甘い、もしくは厳しい自治体はあるのでしょうか?これから生活保護を申請しようと迷っている方にとっては、非常に気になるところだと思います。
そこで、このページでは、生活保護の審査が甘い自治体はあるのか?また、審査が甘い自治体の特徴や甘い理由等について、わかりやすくご説明したいと思います。
生活保護の条件は全国一律
生活保護の条件は「世帯の収入が最低生活費以下であること」ただそれだけです。
そのため、生活保護の条件は全国一律で、どこの自治体で申請・受給を開始しても変わりはありません。
また、地方分権に伴い、よく自治体独自の施策を打ち出している制度も多数ありますが、生活保護は国の制度であり、国がその業務を市に委託しているだけなので、市独自で生活保護の条件を変えたりすることはできません。
同様に、審査の内容や手順も全国一律で、銀行口座調査、生命保険調査、扶養義務調査等、どこの自治体で申請しても必ず調査されることになります。
では、条件も審査の内容・手順も一緒であれば、生活保護の審査が甘い、もしくは厳しい自治体があると言うのは、実際には存在しないのでしょうか?
生活保護の審査が甘い自治体はある
生活保護の条件や審査の内容・手順も全て一緒のため、どこで申請・受給しても同じと言うのは建前でしかありません。
実際は、生活保護の審査が甘い自治体は実在します。
生活保護の審査が甘い自治体で生活保護を申請すれば、生活保護の認定がされやすい他、生活保護受給中のケースワーカーによる指導も比較的緩くなるため、楽に生活保護を受給し続けることができます。
これから生活保護を受給しようと考えている方は、できれば審査や指導の甘い自治体で生活保護を申請・受給したいのではないでしょうか。
では、生活保護の審査や指導が甘い自治体とは、どういう自治体なのでしょうか。
田舎の自治体ほど生活保護の審査が甘い
生活保護の審査が甘い自治体とは、田舎の自治体です。
田舎に行けば行くほど、生活保護の審査が甘くなる傾向にあります。
なぜなら田舎の自治体は
- 優秀な人材が少ないため十分な審査をすることができない
- 地元の権力者の影響力が強いため議員や区長等の紹介を断ることができない
からです。
もちろん、中には田舎の自治体でも優れた福祉事務所はありますが、ごくごく少数です。
では、なぜ田舎の自治体ほど、審査が甘くなってしまうのか?それぞれの理由について詳しく説明します。
優秀な人材が少ないため十分な審査ができない
地元で育った優秀な人材の大半は都会に出ていくため、地元に残っている人に、そもそも優秀な人材がいません。
もちろん、中には優秀な人材はいますが、市役所で優秀な人材は、政策や人事を司る総務や財源を司る財務に配属されるため、福祉事務所に配属されることは、まずありません。
加えて、そもそも田舎の自治体は職員数が少ないため、マンパワーも足りていません。
これらの理由により、生活保護制度をしっかりと理解・運用できる優秀な人材が福祉事務所にいません。
そのため、生活保護の認定のための審査がザルになりがちですし、本来は支給できないものを支給してしまったりします。
例えば生活保護では、家具什器費を活用することで炊飯器等の生活必需品を購入することはできますが、テレビは購入することはできません。
しかし、田舎の自治体は「テレビも今の時代、大抵の世帯にあるものだから家具什器費で支給しても良いだろう!」と間違った判断を下して、テレビ代として支給してしまうことがあります。
このように、田舎の自治体では、優秀な人材がいないため、様々な勘違いによって、本来ダメなものでも間違って解釈してOKを出してしまうことが多々あります。
なお、注意点として、たとえ100%市役所のミスであっても、間違いが発覚したら返還の対象となるため、気をつけましょう。
議員や区長等の権力者からの紹介に弱い
田舎に行けば行くほど、役所は地元の権力者に非常に弱いです。
なぜなら、田舎ほど議員数が少ないため、権力が集中しやすく、また、職員も議員の親戚等、何かしらの関係者だったりすることが多々あるからです。
強力な権力を持っている議員から紹介された申請者を無下にすると、議案が通らなくなったり、出世できなくなったり、何らかの事業をしようにも地元から妨害を受けたりすることになるため、言うことを聞いてしまいがちです。
もちろん、職員の中には「議員なんか関係ない!」と言う有志も多数いますが、決裁権を持つ上司達は議員派であることが多いことから、明らかに条件を満たさないような申請者は却下になりますが、微妙なラインの方は議員を通すことで、審査が通りやすくなることがあります。
田舎の自治体ほど生活保護開始後の指導も甘い
生活保護の受給が開始されると、ケースワーカーから自立に向けた様々な指導を受けることになります。
しかし、優秀な人材がいない、地元の権力者に弱い、これら2つの理由によって審査が甘くなるのに加えて、田舎の地域性によって、さらに生活保護受給開始後の指導も、田舎の自治体ほど、どうしても甘くなりがちです。
なぜなら、田舎の自自体ほど
- 自立させようにも就職先がない
- 公共交通機関が機能していない
上記2つの理由により、あまり強く指導できないからです。
では、なぜ厳しく指導できないのか?それぞれの理由について詳しく説明します。
自立させようにも就職先がない
以前は健康で働ける場合、生活保護を受給することができませんでした。
しかし、今は景気が悪く、働けないのは、生活保護受給者自身の責任ではなく、社会全体に責任があると言う考え方から健康で働ける人でも生活保護を受給することができるようになりました。
その結果、健康なのに、わざと働かない若い人の生活保護受給者が増えました。
これら働ける若者たちに対して、ケースワーカーは就労指導を行うわけですが、就労指導を行おうにも、田舎だと、そもそも就職先がないため、就職させることができません。
また、生活保護受給者にも、職業選択の自由が認められています。
例えば田舎だと事務系の仕事は、ほぼないため「事務系の仕事以外は嫌だ」と言われると、どうすることもできません。
本来であれば就労指導に従わなければ、ケースワーカーは職権で生活保護を廃止にすることもできますが、そもそも就職先がないので、どうすることもできず、結果、指導が甘くなります。
公共交通機関が機能していない
都会と違って、田舎はバスや電車等の公共交通機関が機能していません。
電車は1時間に1本あるかないか、バスは1日に午前と午後に1本ずつしか通っていない等、ザラにあります。
また、家からお店や職場、病院までの距離も遠いため、買い物をするにも、働くにも、通院するにも何かと不便です。
では、どうするのか?と言うと、生活保護受給者は自動車やバイクを利用します。
しかし、本来であれば生活保護受給者は維持費等が掛かることから、自動車やバイクと所有・利用することが禁止されています。
当然、ケースワーカーも自動車やバイクを処分するように指導指示をしますが、バスや電車がないため利用できず、タクシーは高額であることから、自動車やバイクがないと買い物等に行くことも大変なため、何かと理由をつけて生活保護受給者は自動車やバイクに乗り続けているのが現状です。
また、これら自動車やバイクの影響で、その他の件についても「自動車やバイクを乗っているのを見逃しているんだから、コッチも見逃してくれ!」と言われるようになるため、様々な業務に支障が出ます。
結果、指導をしても言うことを聞いてくれず、ケースワーカーの士気も下がるため、生活保護受給者に対する指導指示も甘くなります。
「ケースワーカーの職権で指導指示に従わなければ廃止にすれば良いのでは?」と思う方も多いと思いますが、自動車やバイクを所有していることを理由に生活保護を廃止した場合、その方に生活能力自体はありません。
生活能力がない状態で廃止にして、その方がもしも亡くなった場合、責められるのは、福祉事務所です。
どれだけ正当な理由で廃止したとしても「命の方が大事」とマスコミやSNS等で叩かれます。
そのため、ケースワーカーの職権で生活保護を廃止することも、なかなかできません。
都会の自治体ほど審査や指導は厳しい
逆に都会に行けば行くほど、生活保護の審査や指導が厳しくなります。
テレビ報道を思い出してもらうと、わかりやすいと思いますが、
- 生活保護なめんなTシャツを作った小田原市
- 生活保護を打ち切り、おにぎり食べたいと言って亡くなった方が出た北九州市
- 生活保護の不正受給Gメンを全国で最初に発足した大阪市
等など、厳しい施策を行った自治体は、どれも人口の多い都会の自治体です。
都会の福祉事務所の職員は優秀な人材が多いため、生活保護法に基づいてビシバシ指導します。
また、都会であれば就職先は山ほどあり、移動手段も公共交通機関が充実していることから、生活保護受給者ができない言い訳を並べ立てることができません。
都会に行けば行くほど、ケースワーカーは法律と言う武器を取り、生活保護受給者はできない理由と言う盾を失うため、生活保護の審査・指導は厳しくなります。
まとめ
生活保護の審査が甘い自治体はあるのか?また、審査が甘い自治体の特徴や甘い理由等について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 生活保護の条件は全国一律のため建前上はどこで申請・受給しても同じ。
- 福祉事務所の職員のレベルは自治体によって異なるため、実際は審査・指導の甘い自治体・厳しい自治体がある。
- 田舎の自治体ほど優秀な人材が乏しく、議員等の地元の権力者に弱いため、審査が甘い。
- 田舎ほど就職先がない、交通の便利が悪い等の理由により、ケースワーカーも指導しきれず、結果、指導も甘い。
- 逆に都会に行けば行くほど優秀な人材が多く、また、公共交通機関が充実しており、生活保護受給者ができない理由を挙げることができないことから、審査・指導が厳しくなる。
となります。
その他、生活保護の支給に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/hogohi/
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