生活困窮者自立支援法

生活保護法改正

生活困窮者自立支援法が施行される前からも、生活困窮者の支援は行われていました。

しかし、一部の自治体でしか実施していなかったり、各分野をバラバラに実施するなど、
あまり効果的な支援はできていませんでした。

そこで生活困窮者対策に総合的に取り組むために、生活保護制度の見直しに伴い
平成27年4月1日から生活困窮者自立支援法が施行されました。

趣旨


生活保護受給者や生活困窮に至るリスクの高い層の増加を踏まえ、生活保護に至る前の
自立支援の強化を図るとともに、生活保護から脱却した人が生活保護に頼ることのないように
するために生活困窮者自立支援法は施行されました。

対象者

現在生活保護を受給していないが、生活保護の条件を満たす可能性のある者で
自立が見込まれる者

支援の窓口


生活保護の相談窓口と同様、福祉事務所が窓口となります。

支援の内容


主な支援の内容は下記の7事業です。

必須事業

任意事業

必須事業とは、どの自治体でも必ず実施される事業です。
任意事業とは自治体によって、実施されてたり、されていなかったりする事業です。

それでは各支援制度について説明していきます。

自立相談支援事業


自立相談事業の概要として

1.生活困窮者の抱えている課題を評価・分析し、そのニーズを把握する。
2.ニーズに応じた支援が計画的かつ継続的に行われるよう、自立支援計画を策定する。
3.自立支援計画に基づく各種支援が包括的に行われるよう、関係機関との連絡調整を実施する。

等の業務を行うと規定されています。

上記のように書かれると、何か仰々しいように感じますが、要するに
「生活に何かお困りでしたら、気軽に相談して下さい。」
と言うことです。

今までも相談事業は行っていましたが、生活保護の相談がメインのため、
生活保護を受給するまでではないが、生活に困っている人は相談しにくかったと思います。

また、福祉事務所の対応も生活保護受給者に対しては各種支援を行うことはできましたが、
生活保護受給者でなければ、あくまで助言をすることができる程度で、具体的な支援は
何もできませんでした。

自立相談支援事業によって、生活保護を受給していなくても、
包括的・継続的な支援を受けることができるようになりました。

住居確保給付金の支給


離職により住宅を失った又は失うおそれが高い者に対して
有期で住居確保給付金を支給します。

この制度は前にもあったような…?
と思う方もいるのではないでしょうか。

そうです。実は以前からありました。

緊急雇用創出事業臨時特例基金事業として平成21年10月から行われている
住宅支援給付事業です。

生活困窮者自立支援法が施行されたため、名称が住居確保給付金に変わりました。
支援内容は以前から行われてきた住宅支援給付金と変わりはありません。

支給対象者

離職後2年以内かつ65歳未満の者であって、現在住居がない又は住居を失うおそれのある者

支給要件(東京23区の場合)

①収入要件

単身の場合:月収約13.8万円未満
2人世帯の場合:月収約17.2万円未満

②資産要件

単身の場合:預貯金50万円以下
複数世帯の場合:100万円以下

③就職活動要件

ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等

支給額(東京23区の場合)

単身の場合:53,700円/月以内
複数世帯の場合:69,800円/月以内

支給期間

原則3ヶ月間
※就職活動を真面目に行っていると認められた場合は最長9ヶ月間認められます。

就労準備支援事業


生活リズムが崩れている等、就労に向けた準備が整っていない者に対して
就労に向けた準備としての基礎能力の形成から支援を計画的かつ一貫して実施する事業です。
支援期間は最長で1年間を想定しています。

事業の内容としては、生活困窮者の状態によって3段階に分類し、
段階に応じた訓練を行います。

①生活自立段階

昼夜逆転している等、生活リズムが崩れており、日常生活を整える
必要がある者が対象となります。

まずは夜に寝て、朝起きると言う基本的な生活リズムを取り戻す等
生活習慣形成のための指導・訓練を行います。

生活リズムが整ったと判断されたら次の社会自立段階に移行します。

②社会自立段階

就労の前段階として必要な社会的能力(コミュニケーション能力等)を
鍛える必要がある者が対象となります。

模擬面接、グループワーク、ボランティア活動等を通して社会的能力を
身に付けるための指導・訓練を行います。

必要な社会的能力が身に付いたと判断されたら次の就労自立段階に移行します。

③就労自立段階

就労に向けた準備が一定程度整っており、就労が可能と判断された者が
対象となります。

担当者制によるキャリアコンサルティング、履歴書の作成指導、
個別求人開拓、面接対策等、就職に直接的に役に立つ指導・訓練を行います。

就労後のフォローアップも行います。

就労支援準備事業の内容は就労意欲喚起等支援事業と同じです。

そのため、生活困窮者自立支援法により、今までは生活保護受給者しか
利用できなかった就労意欲喚起等支援事業を生活困窮者も利用できるように
なりました。

※自治体が就労意欲喚起等支援事業を民間企業等に委託している場合、
委託先との契約内容によっては生活困窮者はサービスを利用できない可能性があります。

就労訓練事業(中間的就労)


就労支援準備事業において③就労自立段階に分類された者は、通常一般就労に向けた
支援を受けます。

しかし、その対象者の状態・状況によっては一般就労が難しい場合もあります。
例えば、障害を持っていたり、小さい子がいてフルタイムで働けない場合が該当します。

就労訓練事業(中間的就労)では一般就労が難しい対象者を2段階に分類し、
段階に応じて就労支援を行い、最終的に一般就労に向けた支援を行います。

非雇用型

まだ雇用はできないと判断された者が対象となります。

就労訓練、就労支援、就労指導、事業主の指揮監督を受けない軽作業、
ボランティア活動等を行います。

就労できると判断されたら次の支援付雇用型又は一般就労に向けた支援に移行します。

支援付雇用型

就労はできるが、まだフルタイムで働くことは難しいと判断された者が対象となります。

就労継続支援A型、就労継続支援B型、清掃等の比較的軽易な作業を行う就労に向けた
支援・指導・訓練を行います。

フルタイムで働けると判断されたら一般就労に向けた支援に移行します。

一時生活支援事業


住居のない生活困窮者であって、所得が一定水準以下の者(ホームレス等)に対して、
省令に定める期間内に限り、宿泊場所の供与衣食の提供等を実施します。

一時生活支援事業も住居確保給付金の支給と同様、生活困窮者自立支援法が施行される前から
ある事業です。

ちなみに以前は緊急雇用創出事業臨時特例基金の住まい対策拡充等支援事業で
支援が行われていました。

支援の内容

①日常生活・健康面での支援として緊急一時的な宿泊場所を提供や
   保健所等との連携の下で健康診断等を実施します。

②就労に向けた支援として就労に関する情報提供や
     ホームレス自立支援センターの利用を促します。

ちなみに…
一時生活支援事業でホームレスの支援は行っておりますが、それを理由に生活保護を
受給できないわけではありません。

ホームレスの人も生活保護を受給することはできます。
詳しくはQホームレスでも生活保護を受けることはできますか?をご覧ください。

支給期間

原則3ヶ月以内

家計相談支援事業


家計の課題を解決し、再び困窮状態になることの予防、税等の滞納の解消、就職活動の円滑化等に
結びつくことを目標に家計に関する相談・支援、家計管理に関する指導を行います。

支援の流れ

まず、相談者自身が課題を把握できるように、家計収支等に関する課題の評価・分析(アセスメント)し、
家計の状況の「見える化」を図ります。
具体的には数ヶ月間の家計簿を付けてもらい、提出してもらいます。

次に、ともに目標を設定し、家計の再生に向けた支援を行います。
具体的には家計支援計画を作成し、給付・減免等の利用、貸付の斡旋、債務整理へのつなぎ等
の支援を行います。

この段階では、例えば「お酒の量を減らしましょう。」「タバコを減らしましょう」
「パチンコを控えましょう」等、生活困窮者にとって耳の痛い指導を受けると思います。

生活保護受給者に対しても、同様に家計簿を提出させて、家計相談支援を行いますが、
いつもここで揉めます。しかし、意地悪で言ってるわけではなく、家計再生に向けての
指導を行っていますので、指導に従いましょう。

最後に相談者が自ら家計管理を続けていくことの支援(フォローアップ)を行います。
家計の状況のモニタリングと出納支援ツールの支援等を行います。

学習支援事業


生活困窮者の自立促進のための生活困窮家庭での養育相談や学び直しの機会の提供、
学習支援といった「貧困の連鎖」を防ぐために、生活困窮者の自立の促進に必要な事業を実施します。

具体的な支援としては下記2つの支援を行います。

①就学促進員(教員免許資格者)が定期的に家庭訪問し、子ども及び親に対して進学の助言等を行う。
②教員OB・学生ボランティアなどの学習支援員が週に数回学習支援室を開催し、マンツーマンの
     学習支援を行う。

民間が行っている塾と事業内容が競合してしまう点、教員免許資格者のボランティアを募る必要がある点
実施するのが難しい事業です。

そのため、生活困窮者自立支援法で行われる事業の中で、実施している自治体が最も少ない
事業になると思います。

各事業の実施状況


平成27年度時点では、ほとんどの自治体が必須事業である①自立相談支援事業、
②住居確保給付金の支給しか行っておりません。

先進的な自治体でなければ、任意事業を行っておりません。

最大の理由としては、生活困窮者自立支援法の各事業に関する具体的な方針について
決まるのが遅く、各自治体が予算を組めなかったことにあります。

また、各事業において、相談支援員、就労支援員、就学促進員等の専門員が必要になってきますが、
委託するにも、新たに人を雇うにも、職員を教育にするにも時間が掛かります。

そのため、しばらくの間は、ほとんどの自治体では必須事業しか取り組めないと思います。
各事業の支援を受けたい場合は、お住まいの自治体が実施しているかどうか、福祉事務所に
確認しましょう。

もし、実施していない場合は、この事業を行って欲しいと相談しましょう。
各自治体も、全ての事業を一度に行うことはできません。

どの事業を行うことが、より市町村民にとって効果的か検討している最中です。
検討の際に参考になるので実施して欲しい事業がある場合は福祉事務所に
「○○事業を実施してほしい。」と相談しましょう。

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