「生活保護を受けながら仕事はできない!」
「生活保護受給中は働いたら駄目!」
「働きだしたら生活保護がすぐに廃止させられる!」
と言ったデマを時々信じている方がいらっしゃいますが、それらはハッキリ言って嘘です。
生活保護を受けながら仕事はできる
生活保護の受給条件は非常にシンプルで「世帯の収入が最低生活費以下であること」です。
そのため、働いて給料収入があったとしても、その世帯の収入が最低生活費以下であれば、生活保護を受けながら仕事することは可能です。
では、最低生活費はいくらなのか?についてですが、最低生活費は8つの扶助の合計金額で算出されます。
そして、それら8つの扶助の合計金額(最低生活費)から児童手当等の収入があれば収入を引いた金額が毎月の支給日に支給されている生活保護費です。
つまり、毎月支給される生活保護費以内の給料収入であれば、生活保護を受けながら仕事をすることができます。
もちろん、夫婦共働きであったとしても同様で、世帯収入が最低生活費以下であれば生活保護を受けながら仕事をすることができます。
となるため、上記の場合、世帯の収入が20万円以下なら生活保護に該当します。
世帯の収入で見るため、例えば夫8万円、妻6万円の給料収入があっても、
世帯収入14万円<最低生活費20万円
となるので生活保護を受けながら仕事をすることができます。
うん?ちょっと待てよ。例えばビッグダディのところみたいに大家族の場合はどうなるんだ?と思った方、非常に鋭いですね。
大家族の場合、その分、最低生活費も当然のように増えるため、極端な話、正社員として働いていたとしても、生活保護の条件を満たすような場合もあります。
なお、生活保護を継続できるからと言って、生活保護費が満額もらえるわけではありません。
収入認定を行い最低生活費に満たない額が支給されます。
ただし、給料収入の場合、年金収入等とは違い、給料分がそのまま生活保護費から引かれるわけではありません。
収入申告をすれば毎月の生活費が増える
給料収入は、その他の収入と違い、きちんと収入申告をすれば収入認定額から交通費等の必要経費を差し引くことや各種控除を受けることができます。
給料収入だけ、このような取扱いをする理由は1.勤労に伴う必要経費の補填と2.勤労意欲の増進・自立助長をするためです。
つまり、「働いたってどうせ無駄」と思わせないように、国も考えていると言うことです。
必要経費については、そこまでお得感を感じにくいですが、各種控除があるため、働いて給料収入を得た方が生活保護費のみで生活するよりも、月々に使えるお金も増加するため保護脱却に至らなくても働いた方が絶対にお得です。
特に20代、30代の若い世代の方で、生活保護を受給している人は、生活保護費だけでは足りないと思うので、働くことを検討することをオススメします。
厚生年金・健康保険に加入することもできる
生活保護受給中は厚生年金や健康保険に加入できないと勘違いしている方がいますが安心してください。
生活保護受給中でも厚生年金や健康保険に加入することはできます。
生活保護受給中に加入できないのは、生命保険や学資保険です。
もしも厚生年金や健康保険に入れたなら非常にラッキーです。
例えば入院した場合などに世帯収入が最低生活費を超える場合があります。
最低生活費を超えてしまった場合、超えた分の医療費は自己負担になるんですが、自己負担する分は医療費の3割ではありません。
通常、国民健康保険や健康保険に加入している方の場合、医療費は3割負担ですが、生活保護受給者はどちらにも加入していないため、自己負担になった場合は医療費は10割負担になってしまいます。
夫婦共働きであったとしても同様です。
となるため、医療費としてかかった2万円については医療扶助が支給されず、全額を生活保護受給者が病院に支払わなければいけません。しかし、健康保険に加入していれば医療費は3割負担のため、6,000円しか支払わなくてすみます。
もちろん、世帯収入を超えた分は医療扶助から出るため、健康保険に加入していれば通常どおり3割負担しかしなくて良いため、自己負担額を抑えることができます。
となるため、医療費として自己負担額3万円については、支払わなければいけませんが、残りの3万円については医療扶助が出ます。この場合も、仮に健康保険に加入していれば自己負担額は3割の18,000円だけですみます。
そのため、厚生年金や健康保険に加入できるのであれば加入した方が良いです。
会社に生活保護受給中であることはバレない
生活保護受給中であることを自分から話さない限り生活保護受給中であることが会社にバレることはありません。
仮に会社の人が「○○さんは生活保護受給中でしょうか?」と福祉事務所に尋ねてきたとしても、個人情報のため福祉事務所が答えることは絶対にありません。
もしも周りの人が「福祉事務所の人が生活保護って答えた!」と言う人がいても、その反応を見て生活保護を受給しているかどうか判断しようとしているだけなので無視してください。
ただし、給料収入を申告しなかったり、過小申告をするなどの不正受給の疑いが発生した場合、ケースワーカーが勤め先に調査に行くことがあります。
そうなると、生活保護を受給中であることが職場の仲間にバレてしまうため、職場の仲間にバレたくないのであれば、絶対に収入申告はキチンとしましょう。
不正受給となった場合は全額徴収金となる
給料収入の収入申告をしない方が生活保護費満額+給料収入になるから、お得なんじゃないの?と悪いことを考える人が中にはいますが、生活保護を受けながら仕事をする場合は絶対にやめてください。
給料収入の収入申告をしなければ生活保護の不正受給となります。
生活保護の不正受給となった場合、隠していた給料収入全額を生活保護法第78条徴収金として、福祉事務所に返還しなければいけません。
給料収入をキチンと申告していれば、上記のように基礎控除等の各種控除を受けることができますが、徴収金となった場合、各種控除は一切受けることができません。
毎月キチンと給料収入を申請していれば、給料全額が控除され、6ヶ月で90,000円も生活保護費に加えて生活することができます。
しかし、未申告であれば、各種控除は一切受けられず、給料として得た90,000円全額を徴収金として、返還しなければいけません。
このように、給料収入を黙って隠していた方が損をするため、生活保護を受けながら仕事をする場合は、収入申告するべきです。
給料収入の未申告は必ずバレる
「いやいや給与収入があってもバレなければ、大丈夫!!」と思ったら大間違いです。
ケースワーカーは生活保護法第29条を根拠に年間の収入について調査をする権限があります。
そして、毎年必ず収入調査をしていますので、給与収入を隠そうと思っても必ずバレます。
福祉事務所に100%バレるため、給料収入を隠すだけ無駄ですし、損をするだけなので、生活保護を受けながら仕事をする場合は給料収入が入ったら、必ず申告しましょう。
また、繰り返しになりますが、不正受給の疑いがあれば会社にも調査が行くため、生活保護を受給中であることが職場の仲間にバレてしまいます。
そうなると働きづらくもなるため、収入申告は必ずしましょう。
まとめ
生活保護を受けながら仕事できることや、給料収入の取り扱い、その他生活保護受給者が働くうえで気になるであろうことについて、ご説明させていただきました。
・毎月支給される生活保護費以内の給料収入であれば生活保護を受けながら仕事ができること
・働いて給料をもらった方が毎月の生活費が増えること
・給料収入が入ったら必ず収入申告をすること
この3点だけを最低抑えておいてもらったら大丈夫です。
いきなりフルタイムでガッツリ働くのは難しいと思いますので、まずはパート・アルバイトなど、少しずつで良いので、できることから始めてみてはいかがでしょうか?
その他、生活保護では就職するための支援が多数あるため、ぜひ活用してみてください。
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