生活保護法第二十七条を根拠に担当ケースワーカーは生活保護受給者に対して、
生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができます。

そして生活保護法第二十八条及び第六十二条を根拠に指導指示に従わない場合、
生活保護の停止又は廃止の処分をすることができます。

上記のように規定されているため、確かに指導指示する権限は福祉事務所にはあります。
しかし実際には、指導指示をしても強制力は、ほとんどないに等しいです。

理由その①
指導してから不利益処分(生活保護の停止・廃止)に至るまでの期間が長すぎる。

Q 担当ケースワーカーの指導指示に従わない場合どうなりますか?で説明したように
不利益処分(生活保護の停止・廃止)をするためには
再三の口頭指導⇒文書指導⇒弁明の機会の供与⇒不利益処分(生活保護の停止・廃止)
と言う手続きを取る必要があります。

そのため、実際に不利益処分(生活保護の停止・廃)に至るまでには
最短でも約2ヶ月間は必要になってきます。

また、その指導をしている間に一度でも改善されれば
口頭指導から、やり直しになります。

つまり文書指導があった時のみ指導指示に従っていれば
口頭指導⇒文書指導⇒口頭指導
を繰り返すのみで、いつまで経っても不利益処分(生活保護の停止・廃止)に至りません。

理由その②
文書指導の内容に様々な制限があるため、容易に達成できる指導しかできない。

例えば就労指導の場合、「○ヶ月以内に就職すること」「毎月○社以上求職活動すること」
指導したいところですが、このような文書指導はできません。
※口頭指導の場合は強制力がないため、指導できますし、実際に指導しているはずです。

不景気と言う環境要因もあるため、「就職すること」を条件にすることはできません。
また必ず期日の指定(最長6ヶ月以内)をするよう規定されています。

そのため、福祉事務所は「○ヶ月以内に○社以上応募しなさい」くらいしか指導できません。

理由その①、その②だけを見ても指導指示なんて意味がないと思うかもしれませんが
理由その③が最も問題です。

理由その③
指導指示に従わなくても不利益処分(生活保護の停止・廃止)にしかならない。

不利益処分(生活保護の停止・廃止)になった場合、その後、数年間は生活保護を受給できない等の
規定はありません。

そうです。

指導指示に従わず不利益処分(生活保護の停止・廃止)になったとしても
現状生活に困っている状態であれば、不利益処分(生活保護の停止・廃止)を受けた
翌日に再度、生活保護を申請すれば、すぐに生活保護を再開することができます。

※ただし、生活保護開始決定までに最長1ヶ月掛かります。また調査に応じない場合等、
申請時の要件に関わる部分の場合は申請が却下されるため注意が必要です。

上記のような現状のため、不真面目な生活保護受給者に対して
福祉事務所は何も打つ手がありません。

本来は、そういう人達を指導するために、あるはずなんですが・・・。

この現状を改善するには、法改正により、指導権及び罰則の強化が必要です。

生活保護を脱却しようと努力している真面目な生活保護受給者が一番の被害者のため
早く改正されると良いんですが・・・。