生活保護受給者が生活保護を受給するまでの経緯は、人の数だけあるため千差万別です。
しかし、生活保護を受給することになる人の特性や生活保護を受給するようになったことで出てくる特性には共通する箇所もいくつかあります。
そこで、このページでは、初めに生活保護を受給する人には、どういう特徴があるのか?また、どんなタイプの人がなりやすいのか?についてご説明します。
そして、次に、生活保護を受給することで、どのような特徴をもつようになるのか?について、このページでは、わかりやすくご説明します。
高齢者世帯の生活保護受給者が最も多い
特性と言うか属性になりますが、生活保護を受給する人の大半は実は高齢者の方々です。
その根拠として、まずは、こちらの表をご覧ください。
表の黄色マーカーの部分が全国で生活保護を受給している世帯数と構成割合をあらわしているんですが、なんと全生活保護世帯の55.3%が高齢者世帯です。
では、なぜ生活保護受給者に高齢者がこんなにも多いのでしょうか?
その理由は2つあります。
1つ目の理由は、国民皆年金制度が導入される前、または現在の制度になる前の世代だからです。
昭和36年に国民皆年金制度が導入されました。
国民皆年金制度が導入された当初は、現行の制度と異なり、加入するかしないかは個人の判断に委ねるものでした。
その後、昭和60年から現在のように20歳以上になったら全国民が自動的に加入することになりましたが、それまでに加入していなかった方は年金受給権がない人が多いため、資産等がない限りは、生活保護を受給するしか収入がありません。
2つ目の理由は、国民基礎年金の支給金額が少なすぎるからです。
令和4年度の国民基礎年金は満額でも月64,816円しかありません。
単身高齢者世帯への生活保護支給金額は住む場所によって異なりますが、月に約10万円~約13万円支給されます。
このように最低生活費を支給する生活保護費の方が国民基礎年金よりも明らかに多いのが実態です。
会社員だった方は基礎年金に加えて厚生年金が支給されるため、生活保護を受ける必要はありませんが、自営業の方などは定年はありませんが、国民年金にしか加入していないため、働けなくなったら年金収入で足りない部分を生活保護で補うしかありません。
生活をするだけなら生活費を切り詰めれば基礎年金だけで生活することも可能でしょうが、高齢のため、がん等の病気にもなりやすく、別途医療費も必要になります。
医療費も必要となると、基礎年金だけでは全然足りないので、生活保護を受けるしかありません。
このように社会保障がうまく機能していないことが原因で、生活保護受給者の大半が高齢者世帯となっています。
騙されやすい人が多い
生活保護受給者の特徴として、非常に騙されやすい人が多いです。
「貧困ビジネス」と言うものをご存知でしょうか?
貧困ビジネスとは、社会的弱者を顧客として稼ぐビジネスの総称です。
例えばゼロゼロ物件、ヤミ金融など様々な種類の貧困ビジネスが存在しています。
その中に生活保護受給者を対象とした貧困ビジネスもあります。
内容としては、ホームレスに住居を提供し、生活保護の申請方法を教えたりするなど、生活保護が受給できるようにサポートをします。
内容だけを聞くと、非常に良い事業のように聞こえますし、実際にそういう支援を行っているボランティア団体も存在しています。
しかし、悪徳業者の場合、生活保護受給者を狭いスペースに押し込み、家賃や諸経費等、様々な項目を付けて大半の生活保護費を巻き上げ、本人には数千円しか渡しません。
さらにヒドイ事業者は生活保護受給者を精神科に連れて行って、うつ病と偽り、医療扶助で処方された精神向上剤等のうつ病の薬を転売したりします。
明らかに不当な扱いを受けているんですが、「生活保護を受給できるのは、彼らのおかげだから」と言って、むしろ感謝しています。
実際のところは、生活保護が受給できるかどうかは条件を満たすかどうかだけで、仮に議員を連れて来たとしても、生活保護の決定に影響は一切ありません。
担当ケースワーカーも騙されていると伝えるんですが、聞く耳を持ちません。
このようにビジネスとして成立するほど、生活保護受給者は騙されやすい特徴を持つ人が多いです。
欲望・誘惑に弱い人が多い
生活保護受給者の特徴として、欲望・誘惑に弱い人が多い特徴があります。
例えばお酒やタバコ、パチンコ等のギャンブルにどっぷりとハマっている生活保護受給者が多数いますし、そういう方たちは実際に生活保護費の大半がそれらの欲望を満たすために使われているのも事実です。
「私たちが汗水流して稼いだお金で払った税金でお酒やたばこ、ましてやギャンブルをするなんて何事だ!」とお怒りになる気持ちは非常によくわかります。
実際に「生活保護受給者がパチンコに行ってるぞ!指導しろ!」と言う問い合わせもよくあります。
ただ、生活保護受給者はお酒もタバコもパチンコ等のギャンブルをすることも法律上、認められています。
なぜなら生活保護受給者は「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されているからです。
この「健康で文化的な」がキーワードで、生きていくために最低限必要なものだけではなく、趣味等に使えるお金も支給金額には含まれています。
そのため、ケースワーカーがお金の使い道について、どうこう言う権限はありません。
また、同じ理由で生活保護費は現物支給ではなく、現金支給となっています。
話が少し横にズレましたが、生活保護費をお酒やタバコ、パチンコ等のギャンブルに使うこと自体は問題はありません。
しかし、例えば家賃であったり、子どもの教育費等、絶対に手をつけてはいけないお金に手を付けたり、最悪の場合、借金をしてしまうことも多々あります。
生活保護受給者は原則として借金が禁止されています。
また、生活保護費は差し押さえることができないため、銀行や消費者金融など、普通の金融機関はお金を貸してくれません。
唯一貸してくれるのは「トゴ(10日で5割)」や「ヒサン(1日で3割)」もの法外な金利の闇金業者くらいだけです。
一般的な感覚で言えば、そんな法外な金利で借りるわけありませんが、欲望に弱いため、借りてしまい、その後、闇金業者に利子を払うだけの生活保護受給者も多数います。
このように生活保護受給者は欲望・誘惑に弱い特徴を持つ人が多いです。
なお、借金については自制してもらうしかありませんが、家賃等、使い込んでしまう心配がある人は代理納付と言う制度を利用することで、使い込みを防ぐことは可能なので、心配な方はケースワーカーに相談して利用してみましょう。
働けるのに働かない人が多い
生活保護受給者の特徴として働けるのに何かと理由をつけて働かない人が多いです。
生活保護受給者の中でお仕事をすることができないほどの病気や障害を持っている方はごくごく少数です。
うつ病等により、フルタイムで働くことは難しいかもしれませんが、パート・アルバイト等の軽労働は可能な方が大多数を占めています。
では、なぜ働かないのか?ケースワーカーは働くように指導指示をしないのか?
その理由は現在の生活保護制度にあります。
現在の生活保護の受給条件は「世帯収入が最低生活費以下かどうか」だけだからです。
以前は働けるのに働かない場合は、それを理由に生活保護を却下することができましたが、不景気となり「仕事がないのは社会にも責任がある」との考えから、それこそ若くて健康そのものの人であっても収入がなければ生活保護が受けられるように改正されました。
「働けるのに働かないのは不正受給じゃないの?」と勘違いされている方が大変多いですが、わざと働かないのは不正受給にはなりません。
不正受給とは、収入や資産が本当はあるのに、申告せずに生活保護を受給することです。
ケースワーカーも働くように指導指示をすることは可能ですが、指導指示に従わないことを理由に生活保護を廃止するのには、かなりの労力が必要です。
また、生活保護受給者からすると、働かなくてもお金がもらえるのに、わざわざキツイ思いをして働くメリットがありません。
そのため、生活保護受給者の特徴として健康で働くことができるのに働いていない、働く気がない人が多いです。
なお、実際は、働いて得た給料収入には基礎控除が付き、生活保護費から給料が全額引かれるわけではないため、月々に使える自由なお金は増えます。
そのため、少しでも働いて給料収入を得た方が、本当は生活保護受給者にとってもプラスになるんですが、なかなか就労に結びつくのは難しいです。
外見を気にしなくなる
生活保護受給者の特徴として、受給期間が長くなればなるほど、外見を気にしなくなります。
それも不思議なことに、高齢者だからとか、男性だからとか関係なく、生活保護受給者になると、一番外見を気にしそうな若い女性でも、外見を気にしなくなります。
具体的には、まず最初の変化として、体型が肥満になっていきます。
その後、お風呂に入らなくなったり、洗濯をせずにいつも同じ服を着るようになるため体臭もきつくなります。
最終的には外見だけでなく、部屋の中もゴミ屋敷化していきます。
このように、生活保護受給者の特徴として、受給期間が長くなれば長くなるほど、どんどん外見を気にしなくなり、最終的には、ゴミ屋敷に住むようになる方が多数います。
生活保護受給者の中には精神的な病気を抱えており、その病気が原因で外見に興味がなくなる場合もありますが、下記の特徴でもご紹介していますが社会との関係や繋がりが希薄なことも原因ではないか?と個人的には思っています。
友達や親族との交流を避けて孤立する
生活保護受給者の特徴として、友達や親族との交流を避けて孤立する人が多数います。
いまだに生活保護を受給することは恥だと思う人や引け目を感じる人が多く、生活保護を申請したり、実際に受給を開始したことをバレたくないため自ら友達や親族との交流を避けるようになります。
特に生活保護を申請した時に実施される親族に対する扶養義務調査は非常に嫌がられます。
しかし、実際は逆で、生活保護受給者こそ、親族の援助が必要です。
扶養義務調査をする理由は、仕送り等の経済的な援助をしてもらうことだと思われがちですが、福祉事務所も、この不景気の中、経済的な援助を受けられるとは思っていません。
では、なぜ扶養義務調査をするのか?
それは、扶養義務調査の本当の目的は精神的な援助をしてもらうことだからです。
精神的な援助とは、社会との繋がりを保つことはもちろんですが、生活保護受給者が入院しなければいけなくなった時の保証人や手術をする時の承諾者になることです。
残念ながら、ケースワーカーは保証人や承諾者になることはできないため、絶対に親族の協力は必要です。
親族や友人との交流を続ける必要性を伝えても、どうしても引け目を感じるようで、生活保護受給者の特徴として、親族や友人との距離を取るようになります。
無気力になるか他人に対して攻撃的になる
生活保護受給者の特徴として、言動が無気力になるか、他人に対して攻撃的になるかどちらかに分かれる人が多いです。
無気力になる人は「どうせ生活保護を受けているから…」「何をやってもどうせ無駄だ」と言って、自立に向けた取り組みだけでなく、私生活にも関心がなくなっていきます。
他人に対して攻撃的になる人は生活保護を受けていることに負い目があることから、他人を批判したり、少しのことでもクレームつけたりして、少しでも自分が優位な立場になるよう振る舞います。
本来、生活保護制度は人生をやり直すための制度のため、生活保護を受けたから駄目と言うことは一切ないんですが、本人がそう思い込んでしまい、何事にもやる気がなくなるか、こんな自分にした社会が悪いと全ての責任を他人のせいにして攻撃をするようになります。
このように、生活保護受給者の特徴として、何事にも無関心になって人生を投げ出す人や自分のプライドを守るために他人に攻撃的になる人がいます。
まとめ
生活保護受給者の特徴は?どんなタイプの人が多い?について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると生活保護受給者の特徴は
- 生活保護受給者の大半は高齢者世帯
- 貧困ビジネスなどに騙されやすい特徴がある
- お酒やタバコ、ギャンブル等の欲望・誘惑に弱い
- 働かなくても生活保護を受けられるので、若くて健康で働けるのに何かと理由をつけて働かない
- 社会との繋がりが希薄になり、外見を気にしなくなるため洗濯やお風呂に入らない
- 親族や友人の援助が必要なのに自ら交流を避けて孤立する
- 自分は何をやっても無駄だと無気力になる
- 自身のプライドを保つたために他人に対して攻撃的になる
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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