生活保護受給中は離婚することができないのでは?と思っている人がいますが、実は生活保護受給中でも離婚することはできます。
生活保護の条件として、「生活保護受給中に離婚してはいけない」なんてものはありません。
同様に、「離婚を理由に生活保護を申請してはいけない」なんてものもありません。
生活保護には様々な制限は確かにかかりますが、それは資産形成をしてはいけないとか、訪問調査を受けなければいけないとか、ケースワーカーの指示に従わなければいけないとかであって、その中に離婚は含まれていません。
そのため、生活保護受給中に離婚すること、離婚後に生活保護の申請をすることは、どちらも可能です。
下記では、それぞれの離婚のパターンごとに、必要な手続きや注意点等について、詳しくご説明します。
離婚前から生活保護を受給していて、離婚後も生活保護を受給する場合
現在の世帯をAとすると、離婚して世帯Aの他にもう一つ世帯Bができるような場合です。
このように元々一つだった世帯が二つになる場合のことを「世帯分離」と言います。
世帯分離にはいくつか種類があるんですが、離婚して世帯分離をするケースが最も多く、手続き的に受給者にとっても、ケースワーカーにとっても一番簡単です。
その理由は、転居費用が生活保護費から出るからです!!
転居費用の支給が認められる条件は全部で18通りあり、その条件の中のどれか1つにでも該当すれば転居費用が支給されます。
離婚の場合、転居費用の支給が認められる条件の一つである「離婚(事実婚の解消を含む。)により新たに住居を必要とする場合」に該当するため転居費用は敷金等を含め全額支給されます。
そのため、世帯分離をするうえで必ず揉める転居費用については特に心配はありません。
転居費用の他に必要な手続きとして、元々の世帯Aについては世帯員が減るため、変更申請書の提出が必要になります。
そして、変更申請書を提出すると、提出した日から生活保護費の支給金額に変更が生じます。
変更申請書の提出日によっては、元々の世帯である世帯Aに対して返還金が発生し、請求される可能性があるため、提出するタイミングには注意が必要です。
新たにできる世帯Bについては、新規の申請と同様に生活保護の申請書を提出する必要があります。
申請後、約1ヶ月の間、金融機関調査、扶養義務調査、訪問調査等の各種調査が行われて生活保護の条件を満たすかどうか検討されます。
その結果が出ない限り、生活保護費の支給は一時的にストップするため、転出する世帯Bにとっても、提出するタイミングは非常に重要となります。
そのため、離婚する場合は、すぐに離婚届を出さず、まずは離婚して別々に暮らすことについて担当ケースワーカーに相談しましょう。
そして、ケースワーカーの指示に従い、転居の手続きを行い、その後、世帯の変更申請および生活保護の申請をしましょう。
離婚後の生活保護費について
離婚後の生活保護費についてですが、基本的に世帯数が減るため、支給金額は下がります。
ただし、母子世帯、父子世帯になる場合は生活保護費が離婚することによって増額する場合があります。
上図は生活保護費の事例ですが、一番上の3人世帯(夫婦子一人世帯)と一番下の母子3人世帯を見比べてみてください。
同じ3人世帯でも3人世帯(夫婦子1人世帯)と母子3人世帯では生活扶助費が約3万円も違います。
しかも、大人2人の方が食費等は掛かるはずなのに、母子3人世帯の方が多いです。
その理由は母子(父子)の場合、児童養育加算の他、母子加算も含まれるからです。
そのため、子どもがいる世帯は離婚した方が支給金額が増え、結婚していた時よりも贅沢な暮らしができる可能性があります。
逆に子どもがいなくなった方は、生活保護費の支給金額がガクッと下がるため、注意が必要です。
離婚後、生活保護から脱却する場合
離婚後、片や生活保護を受給し、片や生活保護を辞める場合も、元々の世帯から世帯員が減るため、
生活保護の変更申請書の提出が必要です。
この場合も変更申請書の提出日によっては、返還金が発生する可能性があるため注意が必要です。
離婚後、どちらも生活保護をやめる場合は生活保護の辞退届が必要となります。
生活保護を受けていない人が、離婚して生活保護を受給する場合
今まで生活保護を受給してないかった方が、離婚後、生活保護を受給する場合は、通常どおりの生活保護の新規申請になります。
この場合は注意点が2つあります。
1つ目は生活保護を受給する前に離婚が成立しているため、引越し費用は支給されません。
自費で敷金・礼金の他、引越し費用は捻出しなければいけません。
2つ目は離婚するまでは、生活保護を受給していない=資力があると言うことなので、子どもがいる場合や、離婚原因が相手方にある場合は、養育費や慰謝料を請求する必要があります。
生活保護費の支給金額については、下図を御覧ください。
単身世帯の場合は、高齢者単身世帯を、子どもがいる場合は母子世帯が支給金額の目安となります。
表にある「1級地-1」などは級地と言い、都会ほど支給金額が高くなるように設定されています。
自分の住んでいる地域の級地が不明お場合は2級地-2のところの金額を目安とすると良いと思います。
ちなみに、具体的な金額については、級地とは別に市役所ごとで多少の修正が入るため、ネット等で見ても絶対にわかりません。
1円単位までハッキリとした金額が知りたい場合は、福祉事務所に行って聞きましょう。
「知り合いや近所の人に知られるかも…」と心配される方もいると思いますが、相談者のプライバシーを保護するための相談スペースが用意されているため安心してください。
最後に
生活保護を受給していても結婚・離婚どちらも自由にできます。
ただし、生活保護を受給中している場合、世帯員の異動があるため、必ず福祉事務所に報告しなければいけません。
もしも、離婚後、世帯が別れたのに報告していない場合は、不正受給となる可能性もあるため、変動があった場合は、必ずケースワーカーに報告しましょう。
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