生活保護受給者が就職するために必要とする資格取得・技能習得費用については、
資格取得費が臨時的に支給されます。
正式名称は技能習得費です。
しかし、技能習得よりも資格取得に利用されることが多いため
このページでは資格取得費として説明します。
ちなみに…
技能習得費は生業扶助に分類されます。
支給条件
就職する上で資格を取得することが必要と認められた場合に支給されます。
ただし、あくまで就職する上で必ず、その資格が必要な場合に限られます。
具体的には、フォークリフト、訪問介護員2級養成研修課程修了(旧ホームヘルパー2級)、
美容師の資格等の場合は支給されます。
漢検、英検、簿記、宅地建物取引主任者等、その資格を持っていれば就職する上で有利になる
程度の資格の場合は支給されません。
支給方法
現金支給です。
毎月決まった日に支給される定例支給ではなく、
追加支給で支給されます。
詳しくはQ 生活保護費の支給日はいつ?をご覧下さい。
支給金額
1つの資格につき年間最大81,000円支給されます。
資格取得の期間が2年を超える場合でも、1年につき
最大81,000円支給されます。
2年目の分については、2年目に再度申請する必要があります。
一度に2年分(152,000円)支給されるわけではありません。
最大で2年間分まで支給されます。
3年目以降については同一資格については支給されないため
生活保護費から実費で支払う必要があります。
81,000円×2=162,000円
162,000円支給されます。
ただし、資格取得費の支給金額には、いくつか例外があります。
自立支援プログラムに基づく場合で1年間のうちに複数の資格を
習得する必要がある場合は1年間で最大216,000円まで支給されます。
また自立助長に資することが確実に見込まれる場合は上限380,000円まで支給されます。
この例外を利用することで自動車運転免許の取得も可能です。
級地が異なっても支給金額の上限は変わりません。
級地については、生活扶助のページで詳しく説明しているので
そちらを確認して下さい。
支給の範囲
資格を修得するために必要な経費全てが支給の範囲です。
そのため、資格取得にかかる受験費用はもちろん、
テキスト代や資格学校までの交通費等も支給されます。
必要な手続き
申請書及び領収書の提出が必要です。
前もって資格取得費が必要な場合は
見積書等を提出すれば前もって支給されます。
当然、その後キチンと資格取得費が使われたかどうかの確認のため
領収書等の提出が必要となります。
領収書の提出がなければ、返還金又は徴収金となる可能性があるため注意が必要です。
提出された領収書(見積書)の金額又は支給金額の上限金額のどちらか安い方が支給されます。
差額については、毎月支給される生活扶助費から負担する必要があります。
76,000円(上限金額)-40,000円(実額)=36,000円(差額)
36,000円差額がありますが、支給されません。
資格が取得できなかった場合
資格を取得するために必要な努力を怠ったため、資格を取得できなかった場合
(例えば講座を欠席する等)は、当然、資格取得費として支給した金額全額が返還金となります。
必要な努力をしていても、資格を取得できなかった場合でも、福祉事務所によっては
全額返還金となる場合があります。
なぜなら、税金を使って資格取得に必要な経費を支給するわけですから、
福祉事務所としても、いい加減な気持ちで受けて欲しくはないからです。
全額返還金とする福祉事務所の場合、資格取得費申請時にケースワーカーより
必ず注意点として説明されますので、相談時に資格取得できなかった場合の取扱いについて
確認しましょう。
資格を取得しても就職できなかった場合
就職活動を怠った場合は資格取得費として支給した金額全額が返還金となります。
また、就職後、すぐに仕事を辞めた場合も、返還金の対象となります。
少なくとも、給与収入を申請することで認められる控除額の合計>資格取得費になるまでは
仕事を続ける必要があります。
取得した資格と全く関係ない職場に就職した場合、返還金の対象となりそうですが
最終的に就職に結びついていれば、職種は何であれ、特に問題にはなく、
返還金の対象には、なりません。
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就職しても生活保護の廃止になるとは限りません
勘違いしている人が多いですが、就職したからと言って、
すぐに生活保護の廃止になるわけではありません。
例え就職できたとしても、収入が最低生活費を上回らなければ
生活保護の条件を満たすため、生活保護の廃止にはなりません。
もちろん、高収入を得られるようになれば廃止になりますが、
すぐに最低生活費を上回るような収入を得ることは、資格を取得できたとしても
なかなか難しいと思います。
資格取得費を利用して、必要な資格を取得し、生活保護を受給しながら、仕事をして、
少しずつ少しずつ自立に向けて努力すれば良いと思います。
就労に関する各種支援
就労に関する支援は資格取得費の他にも
・就労自立給付金
・就労意欲喚起等支援事業
・就労活動促進費
・就職支度費
・Q 車の運転免許を取得できますか?
があります。
これらのページについても、良かったら参照して見てください。