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生活保護でも大学・専門学校に進学できる?学費や生活費はどうなる?

Q&A

一昔前までは、高校を卒業して、すぐに働く人が多かったですが、最近は、大学・専門学校に進学する人が増えてきています。

そのため、
「友達と一緒に大学・専門学校に進学して、もっと多くのことを学びたい!」
「子どもは大学・専門学校まで行かせてあげたい!」

と思う生活受給者も増えてきています。

生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障していますが、大学・専門学校の学費まで支給してくれるのでしょうか?気になるところだと思います。

そこで、このページでは
・生活保護世帯の子どもは大学・専門学校に進学することはできるのか?
・大学・専門学校の学費等は生活保護費から支給されるのか?
・大学・専門学校に進学すると生活保護はどうなるのか?
・生活保護世帯の子のほとんどが大学・専門学校に進学しない原因は何か?
・生活保護受給者が大学・専門学校に進学する方法

等について、詳しくご説明します。

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生活保護でも大学・専門学校に進学はできる

大前提として、生活保護世帯の子どもだから大学・専門学校に進学できないと言うことはありません。

生活保護世帯の子どもでも大学・専門学校に進学することは可能です。

厚生労働省が2018年6月25日に公表した「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態調査」によると、生活保護世帯の子どもの大学等進学率は35.3%で、そのうち大学・短期大学進学率が19.0%専修学校・各種学校進学率が16.3%となっています。

このように、実際に生活保護世帯であっても、そのうちの3割以上の子どもは大学・専門学校に進学しています。

しかし、同じく「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態調査」によると、全世帯の大学等進学率は73.0%であることから、生活保護世帯から大学・専門学校に進学することはハードルが高いのも事実です。

では、なぜ生活保護世帯の子どもは大学・専門学校に進学率が低いのか?

その理由は3つあります。

生活保護から大学・専門学校の学費等は出ない

生活保護には8つの扶助があり、そのうち小学校・中学校の間は教育扶助から教育費が支給されます。

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高校生になると、教育扶助はなくなりますが、代わりに生業扶助が支給されるようになるため、生業扶助から高校の通学に必要な入学準備金や教材代等は支給されます。

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これだけ充実している生業扶助ですが、残念ながら大学・専門学校等の学費については、支給されません。

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たしかに大学・専門学校等に進学した方が、将来的に、高収入になる可能性が高く、より自立しやすいでしょう。

しかし、生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を送れる費用しか支給できません。

大学・専門学校等に進学しなくても高校を卒業すれば就職して、生活保護を脱却できるだけの収入を十分稼ぐことができるため、大学・専門学校等の学費は支給されていません。

大学・専門学校に進学すると生活保護は廃止となる

生活保護世帯の子どもが高校を卒業して大学・専門学校に進学する場合、入学準備金等の学費が支給されないだけではなく、そもそも生活保護が廃止となるため、生活保護費の支給そのものがなくなります。

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なお、生活保護が廃止となり、生活保護費の支給がなくなるのは、進学をしようとする子だけであって、元の世帯そのものが生活保護の廃止になるわけではありません。

元々の家族は生活保護費は1人分減額となりますが、生活保護を受給し続けることが可能です。

生活保護の生活扶助とは?生活扶助の基準や金額についてわかりやすく解説
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また、大学・専門学校に進学する子については、生活保護が廃止となるとは言え、その家から必ず出なければいけないわけではありません。

世帯分離と言う手続きを取ることで、生活保護費は出ませんが、今までどおり家族と一緒に生活することは可能です。

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とは言え、世帯分離をすると、年に1回は収入を調査されますし、その収入調査の結果、パート・アルバイト等による収入が最低生活費以上あると、生活保護世帯に加入させられて給料収入として収入認定されてしまうため、学費も稼ぐためには家を出て一人暮らしをする方が良いです。

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大学・専門学校に進学するだけの学力がない

生活保護制度を改正して、学費・入学準備金等を支給するようになれば生活保護世帯の子どもが大学・専門学校に進学しやすくなるのか?と言うと、そうはならないと思われます。

ハッキリ言って、生活保護受給者の子どもの学力は平均以下の子がほとんどです。

中には夢や目標を持って一生懸命勉強をしている子どももいますが、それは非常に稀です。

では、なぜ生活保護世帯の子どもは学力が低いのか?その理由は2つあります。

1つ目の理由は塾に通わせるのが難しいからです。

最近の子ども達は塾に行く子が多いですが、生活保護世帯の子どもは塾に行っていません。

多くの方は「塾に行かせるお金がないからでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

毎月支給される生活保護費は塾代を捻出できるだけの金額が支給されています。

子どもがいると、生活扶助、教育扶助、児童養育加算も付くため、支給金額で言えば、塾に通わせることは可能です。

児童養育加算
児童養育加算の要件や金額等について詳しく説明しています。

特に母子家庭では、様々な加算が付くため、月に使えるお金は多いです。

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では、なぜ塾に行かせないのか?それは、そこまで子どもの教育に熱心な方がいないからです。

生活保護費として支給されるお金の使いみちに対して、ケースワーカーが口出しすることはできません。

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生活保護受給者が自由に使えるため、余程子育て・教育に熱心な親でなければ、子どもを塾に行かせることはありません。

2つ目の理由は親の姿を見ているからです。

生活保護世帯の子どもは小学校高学年くらいから、自分の家庭が生活保護を受給していることに気が付きます。

そして、親が働いていないことに劣等感を抱くようになり、反抗期に激しく反抗したり、どうにか変わろうと努力します。

そこで、変われる子どもは、ものすごい勉強のできる子どもに成長していくんですが、大抵の子どもは頑張れず、高校生くらいになると「親と同じように困ったら生活保護を受給すれば良いんだから、好きなことだけしていれば良いや。」となり、全く努力しなくなります。

負の連鎖について
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優秀で大学や専門学校に行く子どもがいるような生活保護世帯の親は大抵、生活保護を脱却できないにしても必ず働いています。

生活保護は働きながらでも受給できるの?仕事で得た収入の取り扱いは?
「生活保護を受けながら仕事はできない!」 「生活保護受給中は働いたら駄目!」 「働きだしたら生活保護がすぐに廃止させられる!」 と言ったデマを時々信じている方がいらっしゃいますが、それらはハッキリ言って嘘です。 生活保護を受けながら仕事はで...

以上の理由により、生活保護世帯の子どもの学力自体が、大学・専門学校に行けるほどないので、生活保護世帯に大学・専門学校に行く学費を出せば良いと言う簡単な問題ではありません。

生活保護でも大学・専門学校に進学する方法

現状、生活保護世帯の子どもが大学・専門学校に行きたいと思っても、生活保護費から学費等は出ません。

では、生活保護世帯の子どもは一生懸命努力して勉強しても、お金がないことを理由に大学・専門学校に進学することをあきらめなければいけないのでしょうか?

実は、下記に紹介する方法により、学費等は賄うことができるため、生活保護受給世帯の子どもも、努力すれば大学・専門学校に進学することができます。

各種奨学金等を活用する

文部科学省の発表によると、平成29年12月の「新しい経済政策パッケージ」、平成30年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2018(いわゆる骨太の方針)」において、意欲ある子供たちの進学を支援するため、授業料・入学金の免除または減額と、返還を要しない給付型奨学金の大幅拡充により、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校を無償化する方針を決定しています。

そして、この新たな支援措置は、令和2年4月から実施しています。

つまり、令和2年4月以降からは、奨学金を利用することで大学・専門学校の入学金・授業料の支払いは減りますし、毎月の生活費としてもらえる奨学金も返さなくて良いため、負担がだいぶ減ります。

もちろん、この奨学金だけでは足りないため、他の奨学金も利用することにはなりますが、奨学金を利用することで、生活保護世帯の子どもでも大学・専門学校に進学することができます。

基礎控除等を利用して進学に必要は費用を貯金する

生活保護世帯の人がお仕事をして給料収入を得た場合、収入申告をしなければいけませんが、給料収入は、その他の収入と違い、きちんと収入申告をすれば収入認定額から交通費等の必要経費を差し引くことや各種控除を受けることができます。

生活保護における給料収入の取り扱いは?収入申告しないとどうなる?
生活保護受給中に給与収入を得た場合の取扱いについて詳しく説明しています。

各種控除のうち、基礎控除は給料収入があれば誰でも受けることができます。
最低基礎控除額は15,000円で、給料収入が増えれば増えるほど基礎控除額も増額していきます。

さらに未成年者が就労している場合、基礎控除に加えて未成年者控除を受けることができます。
未成年者控除の額は11,600円です。

なお、基礎控除と違い、未成年者控除は一律11,600円です。
つまり、給料が増えても、減っても控除額は変わりません。

例:最低生活費10万円、給料収入63,000円の場合
最低生活費10万円-(給料収入63,000円-基礎控除20,000円-11,600円)=68,600円
支給額68,600円+給料収入63,000円=131,600円

となり、働かない場合と比べて月に使えるお金が31,600円増えます。

これらの各種控除により増えた金額を少しずつ貯金に回していけば大学・専門学校に進学にすることができます。

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貯金があると生活保護を申請できない、もしくは生活保護が廃止になると勘違いされている方が多いですが、生活保護は貯金があっても受給することができます。 と言いますか、むしろ生活保護を申請する時も受給中もある程度の貯金は必要です。 ただし、生活保...

まとめ

生活保護でも大学・専門学校に進学できるのかどうか?について、詳しく説明させていただきました。

生活保護制度では、自立をするのに大学・専門学校まで進学する必要はない、と言う考えのため、残念ながら大学・専門学校の進学に必要な学費等の支給はありません。

また、生活保護世帯は、そのまま生活保護を受給し続けることが可能ですが、進学をする子どもは、仮に同じ家に住み続けるとしても、世帯分離と言う方法により、生活保護から外されてしまいます。

しかし、奨学金を利用したり、高校生の時にパート・アルバイトをして、貯金をすることによって、大学・専門学校に進学することは可能です。

生活保護受給者がパート・アルバイトした場合の収入認定や注意点
生活保護の受給が始まると、自立に向けた取り組みをする必要があります。 病気がある人は、まず治療に専念する必要がありますが、病気の状態が軽度の場合や健康な場合は、経済的な自立に向けて就職活動をしなければいけません。 とは言え、いきなり正社員や

実際に生活保護世帯の子どもでも35.3%は大学・専門学校に進学することができています。

そのため、確かに一般世帯の子どもと比べると条件は厳しいのかもしれませんが、「生活保護世帯だから・・・」と諦める必要はなく、努力して勉強すれば行きたい大学・専門学校に進学することは可能なので、ぜひ頑張ってください。

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