生活扶助とは生活保護制度で定められている8種類の扶助の1つです。
生活扶助の項目は広義的には、下記のとおり全部で2項目あります。
1.衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
2.移送
一応2項目ありますが、生活扶助=1.衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものと考えてもらって特に問題はありません。
生活扶助の趣旨・目的
生活扶助とは通常予想される生活需要のために支給されるものです。
通常予想される生活需要とは、食費、衣料費、光熱費はもちろんですが、家具・家電などが故障した場合の買い替え費用についても生活扶助に含まれています。
「あれ?家具・家電の費用は別途支給されるんじゃないの?」と思った方もいると思います。
確かに一時扶助の中に「家具什器費」と言う支給項目があります。
しかし、家具什器費は最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると 認められる場合にのみ、臨時的に支給されるものなので、残念ながら、生活保護を受給開始してからは、全ての家具・家電は毎月支給される生活保護費を貯めて購入しなければいけません。
生活保護費でも目的を持った貯金が認められている理由は、この家具・家電の購入費用分も含まれているからなので、毎月支給される生活保護費は全て使い切らないように気をつけましょう。
生活扶助の支給方法
生活扶助は、毎月決められた支給日に生活保護費として現金支給されます。
世帯によっては、毎月の生活保護費の中に、生活扶助の他、教育扶助、住宅扶助等も含まれているため、支給金額だけを見ても、生活扶助費としていくら支給されているかは、わかりません。
もし生活扶助の金額を詳しく知りたい場合は、生活保護費と一緒に渡される支給金額決定通知書を確認する必要があります。
生活扶助の金額
生活扶助の金額は(1)級地基準を基に(2)基準生活費(3)各種加算を算出して、それらを足し合わせて算出します。
生活扶助の金額算定方法を下記で詳しく書いていきますが、生活扶助は生活保護制度で定められている8種類の扶助の中でも、かなり複雑です。
そのため、先にざっくりとだけ、説明すると、生活扶助の金額は都市部に行くほど高く、また、世帯の人数が増えれば増えるほど、高くなります。
そして、あくまで目安ですが、生活扶助の金額は1人世帯だと約7万円、それから1人増えるごとに約4万円が追加されます。
この他にも上記のとおり教育扶助や住宅扶助、その他各種加算があるため、実際の生活保護費の支給金額は、さらに多くなります。
それでは、生活扶助の金額について、より詳しい内容についてご紹介します。
生活扶助の級地基準とは
(2)基準生活費(3)各種加算の金額に影響を与える基準です。
都会ほど物価が高いのに全ての地域で同じ金額を支給するのは不公平ですよね。
生活扶助の級地基準とは、その物価の地域差を考慮するための基準です。
最低賃金が各都道府県によって異なることや、勤務地によって地域手当が出るのと似ています。
生活扶助の級地基準は1級地‐1~3級地‐2まであり、それぞれの市町村ごとに決められています。
なお、生活扶助の級地基準は、数が少なくなるほど、支給金額が高くなります。
つまり、1級地‐1が最も支給額が高く、3級地‐2が最も支給額は低くなります。
基準生活費とは
基準生活費は1.居宅基準2.入院基準3.救護施設基準4.介護施設基準の4種類あります。
生活保護受給中の者は、必ずどれかの基準に分類されて世帯の基準生活費が決定します。
1.居宅基準
居宅基準とは、その名のとおり、家に住んでいる場合に適用される基準です。
大抵の生活保護受給者は、この居宅基準に該当します。
さらに、居宅基準には第1類と第2類の2種類あります。
居宅基準の第1類は衣類や飲食者など個人が消費する生活費のための支給です。
金額は世帯員の年齢によって決まります。
居宅基準の第2類は電気、ガス、水道など世帯全体として、まとめて消費する生活費のための支給です。
金額は世帯の人数によって決まります。
2.入院基準
入院期間が一ヶ月を超えた場合、入院日の翌月から居宅基準から入院基準に変更になります。
入院基準の基本額は全国一律23,110円と決まっています。
居宅基準と比べて少ない理由は、まず入院中は食事代等が医療扶助から支給されるため
食事代等が必要ないからです。また光熱費も基本料金しか掛からないからです。
なお、入院中については、支給金額が変わることから、自己負担が発生したり、長期入院すると住宅扶助(家賃の支給)がなくなるなどの注意点が多々ありますので、下記のページを参考に気をつけましょう。
3.救護施設基準
救護施設や更正施設に入所が決まった場合に居宅基準から救護施設基準に変更になります。
居宅基準とは違いますが金額的には、ほぼ居宅基準と変わりはありません。
4.介護施設基準
介護施設に入所した日の翌月から居宅基準から介護施設基準に変更になります。
介護施設基準の基本額は全国一律9,880円です。
介護施設入所中は介護保険及び介護扶助から食事代等が支給されるため
入院基準と同様に支給額が少額になります。
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各種加算とは
妊娠中、育児中、障害者等は、そうでない方と比較して、より生活費が多くかかると考えられています。
それらの差を補うために支給されるのが各種加算です。
加算には、様々な種類のものがありますが、主なものは、下記のとおりです。
なお、加算については、それぞれの条件に該当すれば、支給されるため、条件に該当すれば複数の加算を同時に受けることができます。
まとめ
生活保護制度で定められている8種類の扶助のうち、生活扶助の基準や金額について、ご紹介させていただきました。
繰り返しになりますが、生活扶助の金額は都市部に行くほど高く、また、世帯の人数が増えれば増えるほど、高くなります。
そして、生活扶助の中で特に注意してもらいたいことは、通常予想される生活需要のために支給されるものなので、家具・家電の購入費も含まれていると言う点です。
家具・家電が壊れた場合、特に生活に直結する冷蔵庫や洗濯機が壊れた場合などは、非常に困ると思います。
しかし、福祉事務所に行ってケースワーカーに相談しても、毎月の生活保護費の中に家具・家電代も含まれているため、残念ながらどうしようもありません。
目的を持った貯金をすることは、生活保護法上も認められているため、毎月の生活保護費は全て使い切らず、もしもの時のために、少しずつでも貯めておきましょう。