「生活保護を受けているシングルマザーが受けられる母子加算って、いくらもらえるの?」「自分は対象になる?」「申請の仕方は?」ひとり親として生活保護を受けながら子どもを育てている方、または受給を検討している方にとって、母子加算は生活水準を左右する重要な制度です。
本記事では、生活保護の母子加算の金額・対象条件・申請方法・他の支援との組み合わせまで、2026年度の最新情報をもとに徹底解説します。

母子加算とは何か:制度の目的と背景

制度の概要
母子加算は、生活保護法に基づき、ひとり親(母子または父子)世帯の特別な生活需要を考慮して、基本の生活扶助に上乗せして支給される加算制度です。

ひとり親家庭は、一人で子育てと生計維持を担わなければならないため、通常の世帯と比べて特別な支出が生じます。たとえば、子どもの世話のために就労時間が制限される・通院・学校行事等に一人で対応しなければならないなど、生活上の追加的な費用や負担が発生します。
母子加算は、このような事情を考慮し、基本の生活扶助額に上乗せする形で支給されます。

母子加算の歴史
母子加算は1949年(昭和24年)に創設された歴史ある制度です。しかし2008〜2009年にかけて廃止された時期があり、ひとり親家庭の当事者・支援団体が声を上げた結果、2009年(平成21年)に復活した経緯があります。
廃止・復活という歴史を経た母子加算は、ひとり親家庭の生活を守るための重要な制度として現在も機能しています。
2026年度の母子加算の金額

基本的な金額(2026年度)
母子加算の金額は、子どもの年齢・人数・居住地域の「級地区分」によって異なります。
子どもの年齢別・級地別の母子加算額(月額)
| 子どもの年齢 | 1級地(例:東京都23区) | 2級地(例:中規模都市) | 3級地(例:地方) |
|---|---|---|---|
| 0〜2歳の子がいる場合 | 約26,230円 | 約25,000円 | 約23,000円 |
| 3〜5歳の子がいる場合 | 約23,480円 | 約22,400円 | 約20,600円 |
| 6〜17歳の子がいる場合 | 約18,800円 | 約17,900円 | 約16,500円 |
※上記はあくまで目安です。正確な金額はお住まいの市区町村の福祉事務所でご確認ください。

子どもが複数いる場合
複数の子どもがいる場合は、最も年齢が低い子ども(または最も金額が高くなる子ども)の区分に基づいて計算するのが原則です。子どもの人数分の加算が重複して支給されるわけではありません。
金額が年によって変わる理由
母子加算の金額は、一般低所得世帯の消費実態との比較・物価の動向などを踏まえて毎年改定されます。2026年度は前年度からの見直しが反映されています。
母子加算の対象者:誰が受けられるか

基本的な対象条件
母子加算の対象となるのは、次の条件をすべて満たす世帯です。
【母子加算の対象条件】
① 生活保護を受給していること(生活扶助の受給が前提)
② 現に子ども(原則18歳未満)を養育していること
(18歳に達した後の最初の3月31日まで対象)
③ 次の状態のいずれかであること:
・配偶者(事実婚含む)がいない状態
・配偶者が重度の障害の状態にある
・配偶者が長期間(1年以上)不在の状態にある
「ひとり親」の定義について
母子加算における「ひとり親」は、法律上の婚姻関係に限らず、事実婚の解消・配偶者の失踪・長期的な別居なども含まれます。
【母子加算の対象となる「ひとり親」の主な状況】
・離婚・死別
・未婚(婚姻歴なし)
・内縁関係の解消(事実婚の解消)
・配偶者が長期入院・行方不明(1年以上)
・配偶者が受刑中
対象外となるケース
| 状況 | 対象の可否 |
|---|---|
| 配偶者と同居している(別居でも事実上の夫婦関係がある) | 対象外 |
| 子どもが18歳を超えた年度末以降も同居 | その子についての加算は終了 |
| 子どもが施設入所・里親委託中 | 一般的に対象外(個別判断あり) |
| 保護が廃止・停止になっている期間 | 加算なし |
父子加算との違い

父子加算の創設
2013年(平成25年)、男女平等の観点から、それまで「母子加算」のみだった制度に「父子加算」が追加されました。
父子加算との主な違い
| 項目 | 母子加算 | 父子加算 |
|---|---|---|
| 対象 | 子を養育する母 | 子を養育する父 |
| 金額 | 同一の基準額 | 同一の基準額(2013年から同額) |
| 創設年 | 1949年 | 2013年 |
2013年以降は、母子加算・父子加算ともに同じ金額が支給されます。「父子家庭は加算が少ない」という誤解が一部に残っていますが、現在は同額です。
児童養育加算との違いと組み合わせ

児童養育加算とは
生活保護には、母子加算とは別に「児童養育加算」という加算もあります。混同しやすいため、違いを整理します。

| 比較項目 | 母子加算 | 児童養育加算 |
|---|---|---|
| 対象世帯 | ひとり親世帯のみ | 子どもを養育するすべての世帯 |
| 対象の子どもの年齢 | 0〜高校卒業まで | 0〜高校卒業まで(同様) |
| 金額(2026年度・目安) | 約18,800〜26,230円 | 月15,550円(全国一律・概算) |
| 対象世帯の条件 | ひとり親であること | 子どもがいる世帯(ひとり親以外も対象) |
母子加算と児童養育加算は「重複受給できる」
重要なのは、母子加算と児童養育加算は同時に受給できるという点です。つまり、子どもがいるひとり親世帯は両方の加算を合算して受け取ることができます。
【例:東京都23区・6〜17歳の子が1人いるひとり親世帯の場合】
母子加算: 約18,800円
児童養育加算:約15,550円
合計加算額: 約34,350円
(この金額が生活扶助の基本額に上乗せされる)
母子加算の計算例:世帯別シミュレーション

シミュレーション①:東京都23区・30歳・単身母・子ども8歳・無収入
【最低生活費の構成(目安)】
生活扶助(第1類+第2類:母と子ども合算):約94,000円
母子加算(6〜17歳区分・1級地) :約18,800円
児童養育加算 :約15,550円
住宅扶助(上限) : 53,700円
物価特例加算 : 1,500円×2人=3,000円
────────────────────────────────
最低生活費合計:約185,050円
収入(無収入):0円
支給額:約185,050円


シミュレーション②:大阪市・25歳・単身母・子ども2歳・パート収入月5万円
【最低生活費の構成(目安)】
生活扶助(母+乳幼児) :約88,000円
母子加算(0〜2歳区分) :約25,000円
児童養育加算 :約15,550円
住宅扶助(上限) : 40,000円
物価特例加算 : 1,500円×2人=3,000円
────────────────────────────────
最低生活費合計:約171,550円
収入認定額(パート5万円から勤労控除約18,000円を差し引き):32,000円
────────────────────────────────
生活保護費支給額:約171,550円 ー 32,000円 = 約139,550円
総受取額:給与50,000円 + 保護費139,550円 = 約189,550円
パートで働いていても、勤労控除があるため働いた分だけ総収入が増える設計になっています。



シミュレーション③:地方都市・35歳・単身母・子ども10歳・14歳の2人
【最低生活費の構成(目安)】
生活扶助(3人世帯) :約103,000円
母子加算(6〜17歳区分) :約16,500円
児童養育加算(2人分) :約31,100円
住宅扶助(上限) : 33,000円
物価特例加算 : 1,500円×3人=4,500円
────────────────────────────────
最低生活費合計:約188,100円
申請方法と手続きの流れ

母子加算の申請先
母子加算は、生活保護の申請と同時に申請するのが基本です。

すでに生活保護を受給している方が母子加算の対象状態になった場合(例:離婚・配偶者の失踪等)は、その時点で速やかにケースワーカーに申し出る必要があります。
手続きの流れ
STEP 1:福祉事務所(市区町村の生活保護課)に相談
↓
STEP 2:生活保護の申請書類を提出
(申請書・収入申告書・資産申告書・本人確認書類等)
↓
STEP 3:母子加算の対象状況を確認する書類を提出
・子どもの戸籍謄本(続柄・年齢の確認)
・離婚届受理証明書 or 配偶者の死亡診断書等
(ひとり親状態を証明するもの)
↓
STEP 4:審査・保護決定(14日以内、最長30日以内)
↓
STEP 5:母子加算を含む保護費の支給開始


既に受給中で状況が変わった場合
生活保護受給中に離婚・死別等でひとり親になった場合は、速やかにケースワーカーに報告してください。報告した翌月から母子加算が支給されます(遡及支給は原則されないため、早めの申し出が重要です)。

母子加算を受給中の注意点

注意点①:事実婚・内縁関係の解消を正確に報告する
事実婚(内縁)の解消後にひとり親状態になった場合も、母子加算の対象になります。ただし、「事実上の婚姻関係が継続している」とみなされる場合は対象外となります。
注意点②:子どもの年齢変化による加算額の見直し
子どもの年齢が上がると母子加算の区分が変わり、金額が変化します(一般的に子どもの年齢が上がるにつれて加算額は下がる傾向があります)。毎年の保護費の改定通知書で金額を確認してください。
注意点③:子どもが18歳を過ぎた場合の対応
子どもが18歳を超えた年の3月31日以降は、母子加算の対象外となります。同時に、その子が高校を卒業したり、就職したりした場合は世帯構成の変化として報告が必要です。

注意点④:大学進学時の扱い
子どもが大学に進学する場合、原則として世帯から分離する(別世帯として扱う)ことになります。この場合、その子についての母子加算・児童養育加算も終了します。大学進学を予定している場合は事前にケースワーカーと相談してください

生活保護以外のひとり親向け支援制度との組み合わせ

母子加算のある生活保護受給中でも、他の制度と組み合わせることで受けられる支援があります。
児童扶養手当との関係
児童扶養手当は、原則として生活保護の収入認定の対象となります。

つまり、児童扶養手当を受け取っても、その分が生活保護費から差し引かれるため、実質的な受取額は変わりません。
ただし、手当を申請・受給することで「他制度を優先活用した実績」を作ることになるため、ケースワーカーから申請を促される場合があります。
就学援助制度
子どもが義務教育(小・中学校)に通っている場合、市区町村の就学援助制度を利用できます。学用品費・給食費・修学旅行費等の補助が受けられます(生活保護受給世帯は原則として対象)。
高校生等奨学給付金
高校生がいる場合、高等学校等就学支援金(授業料の実質無償化)に加え、「高校生等奨学給付金」として教科書代等の補助を受けられます。
子育て世帯生活支援特別給付金
物価高騰対策として実施される子育て世帯への給付金(児童1人あたり5万円等)も、要件を満たせば対象となる場合があります。ただし、生活保護の収入認定の扱いについては自治体に確認が必要です。
よくある誤解と疑問

誤解①「母子加算は自動的に支給される」
誤りです。 母子加算は、ひとり親状態であることをケースワーカーに申告・証明することで支給されます。黙っていても自動的に加算されるわけではありません。ひとり親状態になったら速やかに報告してください。
誤解②「母子加算をもらうと、他の保護費が減る」
誤りです。 母子加算は生活扶助に上乗せして支給されるものであり、母子加算を受給したことで生活扶助の基本額が減額されることはありません。

誤解③「離婚前から申請できない」
誤りです。 離婚調停中・別居中でも、実質的にひとり親状態にある場合は支援を受けられるケースがあります。ただし、離婚が正式に成立していない場合は個別の判断になりますので、ケースワーカーに相談してください。


誤解④「パートで少し働いたら母子加算がなくなる」
誤りです。 就労収入があっても、最低生活費の範囲内であれば生活保護・母子加算ともに継続されます。勤労控除の制度もあるため、働けば働くほど総収入が増える設計になっています。

よくある質問(FAQ)

Q. 事実婚(内縁)を解消しましたが、子どもと二人で暮らしています。母子加算の対象になりますか?
A. はい、対象になります。法律上の婚姻関係に限らず、事実婚の解消後も母子加算の対象です。ただし、元の相手と事実上の婚姻関係が継続していると判断される場合は対象外となります。ケースワーカーに正直に状況を説明してください。
Q. 子どもが施設に入所中ですが、母子加算は受けられますか?
A. 原則として、子どもが施設入所中の期間は母子加算の対象外となります。ただし、外泊・帰宅が定期的にある場合など、個別の事情によって異なりますので、ケースワーカーに相談してください。
Q. 子どもが成人(18歳)になっても同居しています。母子加算は続きますか?
A. 18歳に達した後の最初の3月31日(高校卒業時期)以降は、その子に関する母子加算・児童養育加算は終了します。同居していても、子どもが就職等で収入を得ている場合は、世帯の収入として認定されます。

Q. 母子加算の申請を出し忘れていました。さかのぼって受け取れますか?
A. 原則として、申し出た月の翌月から支給開始となり、さかのぼっての支給は困難なケースが多いです。気づいた時点で速やかに申し出ることが重要です。
まとめ:受給できる加算はすべて申請する

母子加算について、重要なポイントを整理します。
母子加算の基本まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 生活保護受給中のひとり親(母・父)世帯 |
| 金額 | 月額約16,500〜26,230円(子の年齢・地域による) |
| 申請方法 | 生活保護申請時または状況変化時にケースワーカーへ申し出 |
| 自動支給 | なし(申し出が必要) |
| 児童養育加算との関係 | 重複受給可能(合計で月3〜4万円以上の加算になる) |
今すぐ確認すべきこと
① ひとり親状態でケースワーカーへの申告が済んでいるか
② 母子加算と児童養育加算の両方が支給されているか
(保護決定通知書を確認する)
③ 子どもの年齢変化による加算額の見直しが適切に行われているか
ひとり親で子どもを育てながら生活を支えることは、並大抵のことではありません。受けられる加算・支援はすべて活用することが、あなたとお子さんの生活を守ることにつながります。
不明点があれば、担当ケースワーカーに積極的に相談してください。
今すぐ相談できる窓口
- お住まいの市区町村「福祉事務所・生活保護課」(平日9時〜17時)
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)

