生活保護を受給していると、働いてはいけないのでは?と思う方もいらっしゃいますが、働きながら生活保護を受給することはできます。
なぜなら、生活保護の受給条件は非常にシンプルで「世帯の収入が最低生活費以下であること」だからです。
そのため、最低生活費を超えなければ、生活保護を受給しながら仕事をすることは可能です。
「でも、どうせ一生懸命働いて給料収入を得ても給料全額が、そのまま生活保護費が減らされるから働いても無駄なんじゃないの?」と思う方が多いのではないでしょうか?
確かに年金収入に関しては、その全額が生活保護費から引かれるため、意味はありません。
しかし、給料収入に関しては各種控除があるため、生活保護受給中でも働くほど儲かるようになっています。
給料収入は控除等を受けられる
給料収入は、その他の収入と違い、きちんと収入申告をすれば収入認定額から交通費等の必要経費を差し引くことや各種控除を受けることができます。
給料収入だけ、このような取扱いをする理由は1.勤労に伴う必要経費の補填と2.勤労意欲の増進・自立助長をするためです。
つまり、「働いたってどうせ無駄」と思わせないように、国も考えていると言うことです。
必要経費については、そこまでお得感を感じにくいですが、各種控除があるため、働いて給料収入を得た方が生活保護費のみで生活するよりも、月々に使えるお金も増加するため保護脱却に至らなくても働いた方が絶対にお得です。
特に20代、30代の若い世代の方で、生活保護を受給している人は、生活保護費だけでは足りないと思うので、働くことを検討することをオススメします。
それでは、下記で給料収入が出た場合の各種控除について、具体例を交えながらご紹介します。
基礎控除
基礎控除は給料収入があれば誰でも受けることができます。
最低基礎控除額は15,000円で、給料収入が増えれば増えるほど基礎控除額も増額していきます。
なお、給料収入が15,000円以下の場合は給料全額が控除されます。
つまり、給料分がまるまる生活費として上乗せされます。
給料収入が15,000円以下のため8,000円全額が控除になります。
最低生活費10万円-(給料収入8,000円-基礎控除15,000円)
=最低生活費10万円-0円
=10万円支給額10万円+給料収入8,000円
=108,000円
となり、上記のように働かない場合と比べて、給料収入がある分、月に使えるお金が8,000円増えます。
最低生活費10万円-(給料収入63,000円-基礎控除20,000円)=57,000円
支給額57,000円+給与収入63,000円=12万円
となり、月に使えるお金が20,000円増えます。
このように、給料収入が増えれば、増えるほど、基礎控除も増えるため、より毎月の生活が豊かになります。
ちなみに、平成25年8月までは基礎控除(最低控除額8,000円)と特別控除がありましたが、平成25年8月以降は基礎控除(最低控除額15,000円)のみになりました。
特別控除は条件が別途あったため 生活保護受給者にとっては、基礎控除額が増額された今の制度の方がシンプルで 使い勝手も良いと思います。
未成年者控除
未成年者が就労している場合、基礎控除に加えて未成年者控除を受けることができます。
未成年者控除の額は11,600円です。
なお、基礎控除と違い、未成年者控除は一律11,600円です。
つまり、給料が増えても、減っても控除額は変わりません。
支給額68,600円+給料収入63,000円=131,600円
となり、働かない場合と比べて月に使えるお金が31,600円増えます。
未成年者が働いて給料収入を得た場合、上記のように基礎控除に加えて更に控除がつくため、月々に使えるお金も増えます。
未成年者控除が適用される期間については未成年者である間は継続されます。
新規就労控除
継続性のある仕事に新たに就職した場合、基礎控除に加えて新規就労控除を受けることができます。
新規就労控除の額は11,600円です。
新規就労控除についても、未成年者控除と同様に一律11,600円で、給料が増えても、減っても控除額は変わりません。
支給額68,600円+給料収入63,000円=131,600円
となり、働かない場合と比べて月に使えるお金が31,600円増えます。
新規に就労して給料収入を得た場合、上記のように基礎控除に加えて更に控除がつくため、月々に使えるお金も増えます。
ただし、新規就労控除の適用期間は6ヶ月間です。
7ヶ月目以降は新規就労控除はなくなり、基礎控除のみとなります。
給料収入を申告しなかった場合は全額徴収金となる
給料収入の収入申告をしない方が生活保護費満額+給料収入になるから、お得なんじゃないの?と悪いことを考える人が中にはいますが、絶対にやめてください。
給料収入の収入申告をしなければ生活保護の不正受給となります。
生活保護の不正受給となった場合、隠していた給料収入全額を生活保護法第78条徴収金として、福祉事務所に返還しなければいけません。
給料収入をキチンと申告していれば、上記のように基礎控除等の各種控除を受けることができますが、徴収金となった場合、各種控除は一切受けることができません。
毎月キチンと給料収入を申請していれば、給料全額が控除され、6ヶ月で90,000円も生活保護費に加えて生活することができます。
しかし、未申告であれば、各種控除は一切受けられず、給料として得た90,000円全額を徴収金として、返還しなければいけません。
このように、給料収入を黙って隠していた方が損をするため、給料をもらったら収入申告するべきです。
給料収入は必ずバレる
「いやいや給与収入があってもバレなければ、大丈夫!!」と思ったら大間違いです。
ケースワーカーは生活保護法第29条を根拠に年間の収入について調査をする権限があります。
そして、毎年必ず収入調査をしていますので、給与収入を隠そうと思っても必ずバレます。
100%バレるため、給料収入を隠すだけ無駄ですし、損をするだけなので、給料収入が入ったら、必ず申告しましょう。
給料収入はいくらまで稼いでも良いのか?
いくらまでなら生活保護を続けながら給料収入で稼いで良いのか?ついてですが、最低生活費を超えない範囲であれば、生活保護を受け続けることができます。
最低生活費は8つの扶助の合計金額で算出されます。
そして、それらの扶助の合計金額(最低生活費)が毎月の支給日に支給されている生活保護費です。
つまり、毎月支給される生活保護費以内の給料収入であれば、生活保護を受けながら働くことができます。
そのため、例えば
1人世帯の場合は生活保護費が大体11万円から13万円以内のため、11万円から13万円以内まで
夫婦子2人の4人世帯の場合は生活保護費が17万円から21万円以内のため、17万円から21万円以内まで
を目安に給料収入で稼いでも生活保護の範囲内となります。
まとめ
生活保護受給者が給料収入を得た場合の取り扱いについて、ご説明させていただきました。
生活保護を脱却できるほどの給料収入が得られれば、ケースワーカーから、とやかく言われることもなくなり、良いのでしょうが、なかなかすぐには難しいと思います。
そのため、まずはパート・アルバイトなどで、給料収入を得て、月々に使えるお金を増やしていくことから始めたら良いと思います。
繰り返しになりますが、給料収入は100%福祉事務所にバレます。
そして、最悪の場合は、勤め先にも調査の手が伸びる、つまり生活保護受給中であることがバレてしまうため、くれぐれも申告漏れだけはないように気をつけましょう。
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