皆さんご存知のように生活保護の受給が開始すると、毎月最低生活費として、生活保護費が支給されるようになります。


また、生活保護の受給が開始すると、お金がもらえるだけでなく、実は無料になるものや支払いが免除されるものが多数あります。
そこで、このページでは、生活保護の受給が開始されると、無料になるものや支払いが免除になるものについて、わかりやすくご紹介します。

診療・薬代・手術代等の医療費
生活保護を受給すると、8つの扶助が受けられます。

その8つの扶助の中に、医療扶助と言うものがあり、この医療扶助により、診療代、薬代、手術代等、あらゆる医療サービスを無料で受けることができます。

もちろん入院した場合は入院費も医療扶助から支給されます。

また、生活保護受給者が例えばガンになったとしても、この医療扶助により、全て無料で抗がん剤を投与してもらったり、ガンの摘出手術を受けることができます。

ただし、注意点が2つあります。
1つ目の注意点としては、医療扶助が受けられる範囲は国民健康保険の保険給付の対象となるサービスに限定されます。
放射線治療の「陽子線治療」や「重粒子線治療」の他、「内視鏡手術支援ロボット(ダビンチ)」による患部の切除手術など、いわゆる先進医療は、国民健康保険のサービス対象外のため、がん治療のためでも医療扶助は支給されません。
とは言え、先進医療と言えば聞こえは良いですが、先進医療とは要するに国がまだ認可していない危険な医療行為であり、非常にリスクの高い治療法であるため、受けられなくても、特に支障はありません。
2つ目の注意点としては、初めて受診する場合は、医療券を発行し、病院に提出する必要があります。

医療券がなくても受診してくれる病院もありますが、大半の病院は医療券がなければ受診させてくれない、もしくは医療費を請求されます。

支払った医療費も、後日、医療券を持っていけば返してくれるとは言え、医療費の負担は大きいため、初めての病院に行く場合は、必ず福祉事務所に行って医療券を発行してもらってから病院に行きましょう。
喪主となる場合の葬儀費用
生活保護の8つの扶助の中に葬祭扶助と言うものがあります。

この葬祭扶助により、急遽、生活保護受給者の親等が亡くなり、喪主になったとしても、生活保護費から支給されるため、無料で葬儀をあげることができます。
ただし、支給されるのは最低限度の葬祭費実額のみです。
葬祭扶助で葬式をあげる場合、本当に必要最低限のお葬式になるため、よくあるお葬式とは異なり、かなり質素なお葬式になってしまう点には注意をする必要があります。
「貯金と葬祭扶助を足せば良いのでは?」と思う方がいらっしゃいますが、残念ながら、葬祭扶助は足りない部分を補填したり、一律支給と言った運用はできません。

そのため、少しでもアップグレードされた葬式をする場合は、一切葬祭扶助は支給されず、全額自己負担となります。
固定資産税や住民税等の各種税金や滞納分
生活保護を受給すると、固定資産税や住民税、国民健康保険税等、あらゆる税金が免除され無料になります。


また、生活保護を受給する前に滞納している各種税金については、執行停止となるため生活保護受給中は支払う必要がなくなります。
しかも執行停止期間が3年間継続すると租税債権は消滅します。
つまり、滞納分がなくなるため支払わなくて良くなります。
仮に、その後、生活保護を脱却しても過去の滞納分は消滅しているため、請求されることはありません。
しかし、執行停止期間が3年未満の場合は、滞納分は消滅しないため、生活保護を脱却した後に請求されることになります。
例えば税金の滞納が100万円ある場合、生活保護受給中は執行停止となるため請求されません。そして、そのまま3年間生活保護を受給し続ければ滞納分が消滅するため、その後、生活保護を脱却しても請求されません。しかし、3年未満で生活保護を脱却した場合は、滞納分は消滅していないため、脱却後に滞納分の100万円が請求されます。
そのため、過去に滞納した税金については、生活保護を受給しても、すぐには消滅しないので、気をつけましょう。
国民年金保険料
生活保護を受給すると、国民年金保険料の支払いが免除され無料になります。

国民年金保険料免除には法定免除、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、
学生納付特例、若年者納付猶予と様々な種類があります。
上記のうち、生活保護を受給した場合は法定免除になります。
法定免除の場合、免除された期間については受給資格期間に含まれます。
そのため国民年金保険料を支払わなくても年金をもらうことができます!
老齢年金の場合、20歳から60歳までの40年間の内、生活保護受給期間が10年間(120月)あれば年金の受給権を得ることができます。
例えば40歳から50歳まで生活保護を受給した場合、老齢基礎年金の納付要件(120月)を満たすため、65歳から老齢基礎年金の受給権が発生します。
では、免除を受けた期間の年金額はいくらになるのか?についてですが、国民年金保険料を納付した場合を100%とすると、法定免除の場合50%が年金額に反映されます。
このように、生活保護を受給すると、国民年金保険料の支払いが免除されるだけでなく、老齢基礎年金の受給権も発生します。
上下水道使用料
生活保護を受給すると、上下水道使用料が免除されて無料になります。
ただし、自治体によっては上下水道使用料は免除ではなく、減免となり、あくまで割引されるだけの場合もありますので、詳しくは担当ケースワーカーにお問い合わせ下さい。

なお、上下水道と同じライフラインである電気・ガスについては、残念ながら無料にはなりません。

無料にはなりませんが、その代わりに電気・ガスについての費用については、生活扶助の中に含まれていますので、ご安心を。

NHK放送受信料
生活保護を受給すると、自宅にテレビがあってもNHK放送受信料は無料になります。


このページでご紹介している各種無料になるものは生活保護の受給が開始されると、自動的に無料になりますが、このNHK放送受信料を無料にするには、申請手続きをしなければいけません。
NHK放送受信料を無料にするための手続方法についてですが、生活保護の受給決定や支援を行う福祉事務所の窓口に「放送受診料免除申請書(全額免除)」と「受信料免除専用の封筒」があります。
この「放送受診料免除申請書(全額免除)」にNHK受信料を免除したい世帯の代表の名前、住所、電話番号を記入して押印します。
次に、担当ケースワーカーに必要事項を記入済みの「放送受診料免除申請書(全額免除)」を渡して福祉事務所長の枠に記名押印してもらいます。
最後に、「受信料免除専用の封筒」に必要事項を全て記載した「放送受診料免除申請書(全額免除)」を入れてポストに投函すれば手続き完了です。
切手は不要のため、郵送費はかかりません。
提出後、だいたい1~2週間後にNHKから「免除証明書」が届きます。
以降は受信設備であるテレビやパソコン、スマートフォン等が家にあってもNHK受信料は免除されるため、NHK受信料を支払う必要はありません。


介護保険料は実質無料
生活保護を受給すると、介護保険料が無料になります。


通常、生活保護を受給していない場合、40歳になると第2号被保険者となるため、介護保険料を支払うことになります。
しかし、生活保護受給者は第2号被保険者に該当しないため、介護保険料を支払う必要がありません。
65歳になると、生活保護受給者でも第1号被保険者になるため、介護保険料を支払わなくてはいけなくなりません。
しかし、65歳からは介護保険料と同額の介護保険料加算が毎月の生活保護費にプラスされるようになるため実質無料です。

しかも、介護保険料については代理納付と言う形で自動処理されます。

そのため、生活保護でも介護保険料を支払うようになりますが、事務側で勝手に処理され、月々支給される生活保護費も変わらないため、介護保険料を支払っていることにすら気づきません。
介護サービス使用料
生活保護を受給すると、介護保険サービスを無料で受けることができます。
通常は介護サービスを使用する場合、介護保険が適用され、残りの金額については、自己負担しなければいけません。
しかし、生活保護を受給している場合、一般世帯が利用する場合と同様に介護保険が適用され、残りの部分については、生活保護の8つの扶助のうち介護扶助が適用されるため、無料で介護保険サービスを利用することができます。

そのため、生活保護受給者は訪問サービスや通所サービスの他、家の階段やお風呂に手すりを付けたりなども無料でしてもらえます。
なお、介護保険サービスを利用する場合は、窓口はケースワーカーではなく、介護保険担当課となります。
保育園の保育料
生活保護を受給すると、子どもを保育園に預けた場合の保育料が無料になります。

保育園の保育料は所得に応じて決まるため、生活保護受給者の場合は月々の保育料が無料になります。
注意点としては、生活保護から保育料等が支払われるわけではありません。
そのため、幼稚園に通わせる場合は、自己負担が発生するので気をつけましょう。

また、生活保護受給者の場合、働いていなくても、障害やうつ病等によって今現在働ける状態でなくても、保育園に優先的に入園させてもらうことができます。

1.保育園に優先的に入れる、2.保育料が無料、これら2つの理由により、生活保護受給者の場合、保育園に入園させることをオススメします。
まとめ
生活保護だと無料になるものや支払いが免除になるもの一覧について、できるだけわかりやすくご説明させていただきました。
初めて生活保護を支給された時に「生活保護の支給金額は少なすぎる!」と思った方も多数いらっしゃると思います。

しかし、上記のように、生活保護を受給すると、様々なものが無料になるため、十分生活することができます。ご安心下さい。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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