生活保護は国が提供する最後のセーフティネットであり、生活に困窮した人が最低限の生活を送れるように支援する制度です。
生活保護で受け取れるお金は一般的に「給付金」と呼ばれますが、実際には複数の扶助(=給付)の組み合わせで成り立っています。
この記事では、次のような疑問を持つ方へ向けて、生活保護の給付金についてわかりやすくまとめています。
- 生活保護にはどんな給付金があるの?
- 現金でもらえるのはどれ?
- 医療費は本当に無料?
- 住宅扶助はいくらまで?
- 給付金が減額される場合はある?
生活保護制度は複雑で誤解も多いため、正しい知識を知っておくことでスムーズに利用できるようになります。
生活保護の給付金は8種類ある|現金と現物給付の違い

生活保護の給付金(=扶助)は全部で8種類あります。この8つを必要に応じて組み合わせることで、世帯の最低生活費が保障される仕組みになっています。
1. 生活扶助(現金給付)
食費・衣類・日用品・光熱水費など、生活の基本に必要な費用が支給されます。
給付金の中心となる部分で、年齢や家族構成によって金額が変わります。

2. 住宅扶助(現金給付)
家賃や地代、引越し費用などが支給されます。
家賃の上限は自治体ごとに異なります。

3. 医療扶助(現物給付)
診察料や薬代など、医療費が無料になります。
受給者は病院でお金を払わず、福祉事務所が医療機関に直接支払います。

4. 介護扶助(現物給付)
介護保険サービスを利用する際の費用が無料になります。

5. 教育扶助(現金給付)
義務教育に必要な費用(教材費・給食費など)が支給されます。

6. 生業扶助(現金給付)
就職活動・資格取得・高校進学などに必要な費用が支給されます。

7. 出産扶助(現金給付)
出産にかかる費用(約40万円前後)が支給されます。

● 8. 葬祭扶助(現金給付)
葬儀にかかる費用(約20万円前後)が支給されます。

以上が生活保護の「給付金」に該当する8つの扶助です。
大きく分けると、
- 現金給付(生活扶助・住宅扶助など)
- 現物給付(医療扶助・介護扶助)
という形になっています。
給付金の金額はどう決まる?最低生活費の算定方法

生活保護で支給される金額(給付金)は、次の式で決まります。
最低生活費 -(収入+収入認定される給付)= 支給額
最低生活費は、
- 年齢
- 地域(1級地〜3級地)
- 世帯構成
- 家賃
などによって細かく計算されます。

たとえば単身者の場合、地域によって月12〜15万円程度が目安です。

そこから収入が差し引かれ、残った分が給付金として支給されます。
よく検索される「生活保護 給付金はいくら?」を詳しく解説

1. 単身者の場合
- 生活扶助:6〜8万円
- 住宅扶助:3〜5万円
合計:10〜13万円前後
2. 母子家庭(親+子1人)
- 生活扶助:10〜12万円
- 住宅扶助:4〜6万円
合計:14〜18万円前後
ただし、児童扶養手当の支給がある場合は収入認定されるため、最終的な支給額は世帯によって大きく変わります。

生活保護で給付金が減額されるケース

次のような場合、生活保護の支給額が減ることがあります。
1. 収入の未申告
パートや仕送りを申告しないと「不正受給」となり、後から返還を求められます。

2. 児童扶養手当が支給される月
児童扶養手当は控除なしで全額収入認定されるため、その月は支給額が大きく減ります。

3. 年金の受給が開始されたとき
年金額が生活保護の一部として計算されるため、保護費は減額されます。

4. 稼働能力のある人が働かない場合
就労指導に従わないと、生活保護の停止・廃止の対象になります。


生活保護の給付金は返さないといけない?

生活保護は基本的に返済不要です。
例外として返還が必要になるのは次のケースです。
- 不正受給(収入の未申告・虚偽申告)
- 生活保護廃止後の過払い
- 遺留金品・保険金が入ったとき
普通に利用している限り、返す義務はありません。
生活保護の給付金は「何に使ってもいいの?」

生活保護費として支給された現金は用途に制限はありません。

ただし、次のような行為は注意が必要です。
- ギャンブル
- 高額な浪費
- 借金の返済
特に生活の維持ができない場合、ケースワーカーから指導が入ることがあります。

生活保護の給付金を受け取るには?申請の流れ

生活保護は申請権が保障されているため、誰でも申請できます。
1. 市区町村の福祉事務所へ相談
「生活に困っている」と伝えれば相談は可能です。
2. 申請に必要なもの
- 本人確認書類
- 通帳
- 家賃契約書
- 収入のわかる書類
- 印鑑
3. 調査(収入・資産・扶養照会など)
生活保護の申請がされたら、福祉事務所は金融機関等に調査を依頼して、生活保護の受給条件を満たすかどうか確認します。

4. 保護開始決定
決定までの期間は通常2週間〜30日です。
保護開始までの期間は何も支給されないため、それまでの生活費は何とか自身でやりくりする他ありません。
なお、生活保護開始決定したあとは、生活保護の申請日からの生活保護費が支給されます。

生活保護と給付金に関するよくある誤解
● 誤解1:貯金があると絶対に受けられない?
貯金額が少額なら申請可能です。

自治体によって基準は異なりますが、手元に少し残っていても問題ありません。
むしろ貯金額・手持ち金0円で申請しても手遅れになりますので、10万円を切った段階で申請するかどうかは別としても相談はしておくべきです。
誤解2:持ち家だと生活保護は受けられない?
マイホームがあっても住み続ける場合は受給可能です。
住んでいない家や土地などの不動産があっても生活保護は受給できます。

しかし、住宅ローンが残っている場合は、生活保護は絶対に受けることはできませんので、その場合は家を売却するか、競売にかけた後に生活保護を申請することになります。

誤解3:車・バイクを持っていると受給できない?
原則は車・バイクを所持している場合は生活保護を受給することはできません。


しかし、就労に必要な場合など条件付きで自動車・バイクの保有が認められるケースもあります。
■ まとめ|生活保護の給付金は「必要な人が確実に受け取れる制度」

生活保護の給付金は、困窮状態から生活を立て直すための重要な支援です。
8種類の扶助を状況に合わせて受け取れるため、経済的な不安がある人にとって大きな助けとなります。
生活保護は決して特別な制度ではなく、誰でも必要な時に利用して良い制度です。
困ったときは一人で抱え込まず、まずは福祉事務所へ相談してみましょう。


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