Q 生活保護受給中でも結婚することはできますか?
A 生活保護受給中でも結婚することはできます。
生活保護受給中は結婚することができないのでは?と思っている人が多数いますが、実は生活保護受給中でも結婚することはできます。
生活保護の条件として、「結婚してはいけない」なんてものはありません。
生活保護を受給することで、様々な制限は確かにかかりますが、それは資産形成をしてはいけないとか、訪問調査を受けなければいけないとか、ケースワーカーの指示に従わなければいけないとかであって、その中に結婚は含まれていません。
そのため、結婚することはもちろん可能です。
ただし、結婚することによって、世帯の状況が変わるため結婚する場合は、ケースワーカーに報告する他、様々な手続きをしなければならない点については注意が必要です。
生活保護受給者同士で結婚する場合
結婚すると、どちらかの世帯が、もう一方の世帯に転入するよう指示されます。
なぜなら結婚した以上、社会通念上同居する方が望ましく、また生活保護費の支給金額もそれぞれの世帯で支給するよりも少なくて済むからです。
世帯A10万円+世帯B10万円=合計20万円
結婚して世帯Bが世帯Aに転入した後の生活保護費の支給金額は
世帯A(世帯B転入済)15万円=合計15万円
20万円-15万円=5万円
この場合、生活保護費の支給金額が5万円少なくて済みます。
世帯が同じになることで、支給金額も一本化されて減額しますが、同様に家賃や光熱費等の支出も一本化されて減額するため、月々の生活費自体は、大して変わりはありません。
ただし、結婚する場合は、離婚する場合と異なり、引越し費用が認められません。
生活保護費から引越し費用を支給してもらうには、全部で18個ある条件のうち、どれか一つを満たさなければいけませんが、結婚だけでは、その条件を満たさないため、支給されません。
一応転居費用を出してもらう方法として、敷金・礼金の戻りや世帯変更に伴う生活保護費の過払金を返還免除してもらうなど、引越し費用の一部を別の形で支給してもらうことは可能です。
しかし、それらは担当ケースワーカーの判断に依りますので基本的には自分で支出すると思っていた方が良いです。
生活保護受給者と生活保護受給者ではない人が結婚する場合
生活保護は世帯で認定するため、片方は受給して、片方は受給しないなんて言うことは許されません。
結婚後、全員生活保護をやめるか、全員生活保護を受給するかのどちらかしかありません。
結婚後に生活保護をやめる場合
はじめに、結婚して生活保護をやめる場合は辞退届を提出する必要があります。
なぜなら生活保護の申請がないと現在生活保護受給中ではない方の給料収入等がわからず、保護の要件を満たすかどうかがわからないからです。
結婚したからと言って、ケースワーカーの職権で勝手に生活保護を廃止にすることはできません。
なお、廃止日によっては、返還金が発生するため、廃止日をいつにするかについては、担当ケースワーカーとよく話し合いましょう。
結婚後も生活保護を続ける場合
次に、結婚後も生活保護を受給する場合は、現在生活保護を受給していない方が新たに生活保護の申請をする必要があります。
※現在生活保護受給中の世帯に入るため、厳密に言うと生活保護の変更申請となります。ただし、申請内容や申請から決定までの流れは、新規の申請と全く一緒です。
そのため、約1ヶ月の間、金融機関調査、扶養義務調査、訪問調査等の各種調査が行われて生活保護の条件を満たすかどうか検討されます。
当然、結婚する人に最低生活費以上の給料収入がある場合や多額の貯金があり、調査の結果、生活保護を受けなくても生活ができる見込みがある場合は、生活保護は廃止となります。
仮に給料収入や貯金があっても、最低生活費以下であれば生活保護を継続して受給することができるので、ご安心ください。
まとめ
生活保護受給中の方が結婚する場合は、様々な手続きをしなければいけません。
だからと言って面倒だからと黙っている場合は、不正受給となり、最悪生活保護の廃止となるため、必ず申告しましょう。
結婚だけでなく、内縁の妻、内縁の夫のように同居する場合も同様の手続きが必要なので、その点も注意が必要です。
また、結婚することによって、今後の生活保護の金額等にも変化が起きます。
特に生活保護受給者同士が結婚する場合は、タイミングが悪いと返還金等も請求される可能性もあります。
そのため、結婚する場合は、必ず事前に担当ケースワーカーと、どういうタイミングで手続きを行うのがベストなのか相談しましょう。
結婚後についてですが、妊娠、出産する可能性があります。
生活保護受給者が妊娠・出産した場合は、妊婦加算、産婦加算、児童養育加算がつきますし、生活扶助費の金額も増額されます。
そのため、世帯に変化が起きそうな時は事前に必ず担当ケースワーカーに相談しましょう。