Q 生活保護受給中の場合、修学旅行の費用はどうなりますか?
A 小・中学生の場合、就学援助制度から支給されます。高校生の場合、修学旅行の費用は勤労控除の対象になります。
小・中学生は教育扶助、高校生は生業扶助から入学準備金や教材費等が支給されます。
では修学旅行の費用も教育扶助や生業扶助から支給されるのでしょうか?
残念ながら修学旅行の費用については生活保護費からは支給されません。
支給はされませんが、別の制度や控除を使うことで負担を減らすことができます。
小・中学生の場合、就学援助制度から支給されます。
就学援助制度とは生活保護受給者もしくは生活保護受給中ではないが生活が困窮している者に対して学用品費等の教育費を支給する制度です。
生活保護受給者に対しては、教育扶助から学用品費等が支給されているためほとんど支給対象にはなりませんが、修学旅行の費用については就学援助制度から全額支給されます。
そのため、生活保護費からは支給されませんが、実際の負担はありません。
ただし注意点として
・修学旅行の費用を一切支払わなくて良い場合
・修学旅行の費用を一度支払った後に返還される場合
の2パターンがあります。
どちらにしろ最終的には負担はありませんが、後者の場合は修学旅行の費用を貯めておく必要があります。
支払う必要があるのかどうかは、自治体ごとではなく学校ごとに違うため、心配であれば子供が通っている学校に問い合わせて確認しましょう。
高校生の場合、修学旅行の費用は勤労控除の対象になります
高校生にアルバイト等の給与収入がある場合、基礎控除・未成年者控除とは別に更に修学旅行の費用を必要経費として控除される場合があります。
あくまで修学旅行に行く高校生本人の給与収入に対して認められる控除です。
同じ世帯の者が給与収入を得ていたとしても、控除されませんので、注意が必要です。
修学旅行の費用を必要経費として認めてもらうための手続きとしては
・修学旅行費用の請求書
・受領書
を提出する必要があります。
修学旅行の勤労者控除を受けるための注意点は2つあります。
1つ目は修学旅行費用が控除される条件に当てはまる事が少ないため、控除できることを担当ケースワーカーが知らない場合があります。
全てのケースワーカーは生活保護手帳を持っており、その生活保護手帳を参考に生活保護の指導を行っていますので、もしも「控除できない」と言われた場合は「生活保護手帳を確認して欲しい」と伝えましょう。
2つ目は、生活保護受給者から修学旅行費用を控除して欲しいと申請する必要があります。
担当ケースワーカーが修学旅行の勤労控除について知っていても控除するよう勧めることは、まずありません。
また、あとで該当していたことが判明しても、遡って認定してくれることもありません。
もしも該当しそうだなと思ったら担当ケースワーカーに相談しておきましょう。
高校生が働いていない場合は生活保護費を貯めるしかない
小・中学生の場合は義務教育のため、就学援助制度がありましたが高校生の場合は残念ながら何もありません。
修学旅行に行く高校生本人がアルバイト等をして収入を得ていない限り修学旅行費用は生活保護費から全額負担しなければいけません。
もし高校生の子を修学旅行に行かせてあげたい場合は、毎月の生活保護費から少しずつ貯めておきましょう。
「生活保護受給中は貯金できないのでは?」と勘違いされている方もいますが、生活保護受給者でも貯金できます。
むしろ、生活扶助の中には家具・家電が壊れた時の費用も含まれているため、貯金はしなければいけません。
預貯金の使用目的が明確であり、その使用目的が自立に必要だと判断された場合はその金額までの預貯金は認められます。
修学旅行の費用は、この条件に該当するため、貯金しても問題ありません。
まとめ
生活保護受給中だと子どもを修学旅行に行かせてあげられない!と不安に思っていた方もいたと思いますが、上記のとおり、義務教育である小学校・中学校の間は就学援助制度があるため、何も心配いりません。
高校生の場合は、勤労控除を利用するにしても生活保護費から全額支出しなくてはいけませんが、少なくとも私の経験では今まで一度も「修学旅行に行かせられない!」と言う相談を受けたことがありません。
そのため、生活保護受給者であっても修学旅行は普通に行けます。
心配無用です。
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