「大阪で一人暮らしをする場合、生活保護はいくらもらえるの?」「その金額で本当に生活できるの?」大阪で生活保護の申請を考えている方、または既に受給している方にとって、具体的な金額は最も気になる情報でしょう。
大阪市は生活保護の基準額が全国で最も高い「1級地-1」に分類されており、他の地域より支給額が高く設定されています。
しかし、実際にどれだけの金額が支給され、それで何ができるのか、正確な情報を知っておくことが重要です。
本記事では、大阪における一人暮らしの生活保護について、年齢別・状況別の具体的な支給額、内訳の詳細、実際の生活費シミュレーション、申請から受給までの流れまで、実例とデータを交えながら徹底解説します。
大阪市の生活保護基準額の特徴

1級地-1とは
生活保護の基準額は、全国を6つの級地(1級地-1、1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1、3級地-2)に分け、地域の物価水準に応じて設定されています。
1級地-1(最も基準額が高い地域)
- 東京都区部
- 大阪市
- 横浜市
- 名古屋市
- 京都市
- 神戸市 など、大都市圏
大阪市が1級地-1に該当する理由
- 物価水準が高い
- 家賃相場が高い
- 都市部特有の生活コストがある
この分類により、大阪市の生活保護基準額は、地方都市や町村部と比較して約1.2倍~1.3倍高く設定されています。
大阪市内でも区によって違いはあるのか
基本的には同じです。大阪市内であれば、北区、中央区、天王寺区など、どの区に住んでいても生活保護の基準額は同じです。
ただし、住宅扶助(家賃の上限額)については、市区町村単位で設定されているため、大阪市全域で統一されています。

大阪府内の他市町村との比較
大阪府内でも、自治体によって級地が異なります。
1級地-1: 大阪市、堺市、東大阪市
1級地-2: 豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、八尾市など
2級地-1: 岸和田市、泉佐野市、富田林市など
2級地-2: 河内長野市、大阪狭山市など
同じ大阪府内でも、級地が異なれば支給額に差が出ます。
大阪市の一人暮らし生活保護の支給額

年齢別の基本的な支給額
大阪市における一人暮らしの生活保護費は、年齢によって異なります。
2025年度の基準額をご紹介します。
【20代~40代の単身世帯】
- 生活扶助:約79,230円
- 住宅扶助:上限42,000円 合計:約121,230円
【50代の単身世帯】
- 生活扶助:約79,230円
- 住宅扶助:上限42,000円 合計:約121,230円
【60代前半(60~64歳)の単身世帯】
- 生活扶助:約79,230円
- 住宅扶助:上限42,000円 合計:約121,230円
【高齢者(65歳以上)の単身世帯】
- 生活扶助:約74,630円
- 高齢者加算:約17,930円
- 住宅扶助:上限42,000円 合計:約134,560円
高齢者は生活扶助基準額は若干低くなりますが、高齢者加算があるため、全体としては多めになります。

支給額の内訳詳細
生活保護費は以下の要素で構成されています。
1. 生活扶助(基本部分)
第1類(個人的経費)
- 食費
- 被服費
- 保健衛生費
- 娯楽費など
第2類(世帯共通経費)
- 光熱費
- 家具什器費
- 日用品費など
大阪市の単身世帯(20~64歳)の生活扶助基準額は約79,230円です。

2. 住宅扶助
家賃として支給される金額で、大阪市の単身世帯の上限は42,000円です。
実際の家賃が42,000円以下であれば、実費が支給されます。42,000円を超える物件に住んでいる場合、超過分は自己負担となるか、転居指導を受けることがあります。

3. 各種加算
該当する場合に追加される金額
障害者加算
- 1級・2級の身体障害者、知的障害者、精神障害者:約26,810円
- 3級の身体障害者:約17,870円

母子加算
18歳未満の子を養育するひとり親世帯(一人暮らしの場合は該当しない)

妊産婦加算: 妊娠中または出産後6ヶ月以内の方:約9,130円


介護施設入所者加算
介護施設に入所している場合
4. その他の扶助
医療扶助
医療費が全額公費負担(現物給付、保護費として振り込まれない)

介護扶助
介護サービス費用が公費負担(現物給付)

冬季加算
11月~3月に暖房費として支給(大阪市で単身世帯約3,000円/月)

特例加算
物価高騰の影響を受ける生活保護受給世帯の経済的負担を軽減するため、生活扶助基準額に臨時的・特例的上乗せして支給(大阪市で単身世帯約1,500円/月)

ケース別の具体的な支給額
【ケース1】30歳男性、健康、アパート暮らし(家賃38,000円)
- 生活扶助:79,230円
- 住宅扶助:38,000円(実費) 合計:117,230円
【ケース2】35歳女性、妊娠中、アパート暮らし(家賃42,000円)
- 生活扶助:79,230円
- 妊産婦加算:9,130円
- 住宅扶助:42,000円 合計:130,360円
【ケース3】55歳男性、身体障害者手帳2級、アパート暮らし(家賃40,000円)
- 生活扶助:79,230円
- 障害者加算:26,810円
- 住宅扶助:40,000円 合計:146,040円
【ケース4】70歳女性、健康、アパート暮らし(家賃35,000円)
- 生活扶助:74,630円
- 高齢者加算:17,930円
- 住宅扶助:35,000円 合計:127,560円
【ケース5】45歳男性、冬季(12月)、アパート暮らし(家賃42,000円)
- 生活扶助:79,230円
- 冬季加算:約3,000円
- 住宅扶助:42,000円 合計:124,230円
大阪市の住宅扶助(家賃)の詳細

単身世帯の家賃上限額
大阪市における単身世帯の住宅扶助の上限額は42,000円です(2025年度)。
この金額には以下が含まれます。
- 家賃
- 共益費(管理費)
含まれないもの:
- 敷金・礼金(別途、一時扶助として支給される場合がある)
- 仲介手数料(同上)
- 更新料(同上)
- 火災保険料(同上)
42,000円で借りられる物件
大阪市内で家賃42,000円以内の物件の相場
北区・中央区など都心部
- ワンルーム・1K
- 築30年以上
- 駅から徒歩10分以上
- 6畳~8畳程度
東住吉区・平野区など郊外
- ワンルーム・1K
- 築20年~30年
- 駅から徒歩5~10分
- 8畳~10畳程度
西成区(あいりん地域周辺)
- ワンルーム・1K
- 築年数は様々
- 駅から徒歩5分以内も可能
- 簡易宿泊所(ドヤ)も選択肢に
家賃が上限を超える場合
現在住んでいる物件の家賃が42,000円を超える場合、以下の対応が求められます。
1. 転居指導
福祉事務所から、上限額以内の物件への転居を指導されます。ただし、すぐに転居する必要はなく、一定の猶予期間(通常3~6ヶ月)が与えられます。

2. 差額は自己負担
転居しない場合、42,000円を超える部分は生活扶助から自己負担する必要があります。
例:家賃50,000円の物件に住んでいる場合
- 住宅扶助:42,000円
- 自己負担:8,000円(生活扶助から支出)
- 実質的な生活費:79,230円 – 8,000円 = 71,230円
生活保護受給者向けの物件探し
1. 福祉事務所に相談
担当ケースワーカーに相談すると、生活保護受給者を受け入れている不動産業者や物件を紹介してもらえることがあります。
2. 生活保護対応の不動産業者
大阪市内には、生活保護受給者専門または対応可能な不動産業者が複数あります。
3. 無料低額宿泊所
一時的な住まいとして、無料低額宿泊所(福祉施設)を利用する選択肢もあります。
注意点
- 「生活保護お断り」という物件も多い
- 敷金・礼金なしの物件を探す
- 連帯保証人不要の物件を探す(保証会社利用)
実際の生活費シミュレーション

月12万円での生活費内訳
大阪市で一人暮らし、30代男性、生活保護費約12万円の場合の生活費をシミュレーションします。
【収入】
- 生活扶助:79,230円
- 住宅扶助:40,000円(実費) 合計:119,230円
【支出】
- 家賃:40,000円(住宅扶助から支払い)
- 電気代:約4,000円
- ガス代:約3,000円
- 水道代:約2,000円(2ヶ月分4,000円を月割り)
- 携帯電話:約3,000円(格安SIM)
- インターネット:約3,000円
- 食費:約30,000円(1日約1,000円)
- 日用品:約3,000円
- 衣服費:約2,000円
- 交通費:約3,000円
- 娯楽・交際費:約3,000円
- 予備費・貯蓄:約2,230円
合計:約119,230円
ギリギリの生活となり、余裕はほとんどありません。
節約のポイント
生活保護費内で生活するための節約ポイント
1. 光熱費の節約
- エアコンの設定温度を適正に(冬は20度、夏は28度)
- LED電球に交換
- 待機電力を削減
- こまめに電気を消す

2. 通信費の節約
- 格安SIM・格安スマホに変更(月1,000円~3,000円)
- 無料Wi-Fiを活用
- 不要なオプションを解約


3. 食費の節約
- 自炊中心
- スーパーの割引時間帯を利用
- もやし、豆腐、卵など安価な食材を活用
- 冷凍保存を活用
- フードバンクの利用も検討
4. 日用品の節約
- 100円ショップを活用
- ポイントカードを活用
- 大容量パックを購入(長期的には割安)
5. 交通費の節約
- 徒歩や自転車を活用
- 回数券や1日乗車券を活用
- 不要不急の外出を控える
余裕を持った生活をするには
生活保護費だけでは余裕のある生活は難しいため、以下の方法を検討しましょう。
1. 就労による収入
生活保護を受けながら働くことは可能です。就労収入は基礎控除後に収入認定されるため、手元に残る金額が増えます。

例:月5万円のアルバイト収入の場合
- 収入:50,000円
- 基礎控除:約20,000円
- 収入認定:30,000円(この分だけ保護費が減額)
- 手元に残る:約20,000円プラス
2. 各種支援制度の活用
- フードバンク(食料支援)
- 生活困窮者自立支援制度
- 社会福祉協議会の各種支援
3. ボランティア団体のサポート
地域のNPO・ボランティア団体が、食料や衣類の提供、無料の法律相談などを行っています。
生活保護申請から受給までの流れ(大阪市)

申請前の準備
1. 必要書類を準備
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 預金通帳
- 給与明細(働いている場合)
- 年金証書(年金受給者の場合)
- 賃貸契約書
- 医療関係の書類(通院している場合)
2. 相談窓口に連絡
大阪市の場合、お住まいの区の福祉事務所(生活保護担当)に連絡します。
大阪市各区の福祉事務所
- 北区保健福祉センター
- 中央区保健福祉センター
- 西区保健福祉センター など、各区に設置

3. 事前相談
窓口で生活状況を説明し、生活保護の要件を満たすか確認します。

申請手続き
1. 申請書の提出
福祉事務所で「生活保護申請書」を提出します。申請は口頭でも可能ですが、書面での申請が推奨されます。

2. 調査期間(申請日から14日以内、特別な理由がある場合は30日以内)
家庭訪問(実地調査)
ケースワーカーが自宅を訪問し、生活状況を確認します。

資産調査
- 銀行口座の残高
- 生命保険の有無
- 不動産の所有状況
- 自動車の有無
扶養義務者への照会
親・兄弟姉妹・子どもなど、扶養義務者に「扶養照会」が送られます(DVなど特別な事情がある場合は省略可能)。


就労能力の判定
働ける状態か、医師の診断なども参考に判定されます。
3. 決定通知
調査結果に基づき、保護の可否が決定され、「保護決定通知書」または「却下通知書」が送付されます。
初回支給日
保護開始日
通常、申請日から保護が開始されます。

初回支給
保護決定後、数日~1週間程度で初回の保護費が支給されます。保護開始日から月末までの日割り計算となります。
例:4月15日に保護決定の場合
- 4月分:4月15日~30日分の日割り(約5.3万円)
- 5月分:5月1日に満額支給(約12万円)
支給方法
口座振込が原則ですが、口座がない場合は窓口での現金支給も可能です。
大阪市で生活保護を受ける際の注意点

守るべきルール
1. 収入・資産の申告義務
- 就労収入があった場合は必ず申告
- 預金通帳の定期的な提示
- 生命保険の契約・解約の報告

2. ケースワーカーの訪問に応じる
定期的な家庭訪問があります。訪問を拒否すると、保護が停止される可能性があります。

3. 就労指導に従う
働ける状態と判断された場合、就労活動を行う必要があります。正当な理由なく拒否すると、保護が停止されることがあります。

4. 生活保持義務
「健康で文化的な最低限度の生活」を維持する努力が求められます。
やってはいけないこと
1. 虚偽の申告
収入を隠したり、資産を偽って申告することは不正受給となり、刑事罰の対象です。

2. 無断転居
転居する場合は、必ず事前にケースワーカーに相談・報告が必要です。
3. 高額な資産の保有
- 自動車の保有(原則禁止、例外あり)
- 高価な貴金属
- 高額な生命保険
4. 借金
生活保護費での借金返済は原則として認められていません。新たな借金も避けるべきです。

生活保護から自立するには
生活保護は一時的なセーフティネットです。自立を目指すことが推奨されています。
1. 就労による自立
- ハローワークでの求職活動
- 就労支援プログラムの活用
- 職業訓練の受講

2. 段階的な自立
いきなり保護廃止ではなく、就労収入が増えるにつれて保護費が減額され、最終的に自立する流れです。

3. 自立後の支援
保護廃止後も、一定期間(通常6ヶ月)は医療扶助や住宅扶助の継続が認められる場合があります。
よくある質問(FAQ)

Q1:大阪市で一人暮らしの場合、生活保護はいくらもらえますか?
A:年齢や状況によって異なりますが、20代~60代前半の健康な方で約12万円、65歳以上の高齢者で約13.5万円が標準的です。内訳は生活扶助約8万円、住宅扶助(家賃)上限4.2万円です。

Q2:大阪市の家賃上限42,000円で住める物件はありますか?
A:あります。ただし、都心部では築年数が古い物件や駅から離れた物件が中心となります。郊外や西成区であれば、選択肢は比較的多いです。生活保護対応の不動産業者に相談すると見つかりやすいです。
Q3:大阪市は他の地域より生活保護費が高いのですか?
A:はい、大阪市は全国で最も基準額が高い「1級地-1」に分類されているため、地方都市や町村部と比較して約1.2倍~1.3倍高い金額が支給されます。
Q4:生活保護を受けながら働くことはできますか?
A:はい、可能です。就労収入は基礎控除後に収入認定されるため、働いた分だけ手元に残る金額が増えます。自立に向けて就労は推奨されています。

Q5:大阪市で生活保護を申請したいのですが、どこに行けばいいですか?
A:お住まいの区の保健福祉センター(福祉事務所)の生活保護担当窓口に相談してください。大阪市には24区すべてに福祉事務所が設置されています。
Q6:医療費は別途支給されますか?
A:医療扶助として、医療費は全額公費負担されます(現物給付)。ただし、保護費として振り込まれるわけではなく、医療機関に直接支払われる仕組みです。受診時に「医療券」を提示します。

Q7:生活保護費で貯金はできますか?
A:少額の貯蓄は認められています(目安として生活保護費の0.5ヶ月分程度)。ただし、過度な貯蓄は資産と見なされ、保護が減額または廃止される可能性があります。

Q8:大阪市から他の市に引っ越した場合、生活保護費は変わりますか?
A:はい、転居先の自治体の級地に応じて、支給額が変わります。例えば、大阪市(1級地-1)から河内長野市(2級地-2)に転居した場合、受給額は減少します。
まとめ:大阪市の生活保護で計画的な生活を

重要ポイントの再確認
大阪市の一人暮らし生活保護費は約12万円~13.5万円で、年齢や状況によって異なります。全国で最も基準額が高い地域の一つです。
内訳は生活扶助約8万円、住宅扶助上限4.2万円で、医療費は別途医療扶助として全額公費負担されます。
月12万円前後での生活は余裕がないため、節約と計画的な支出が必要です。就労による収入を得ることで、生活に余裕が生まれます。
申請から受給まで14日~30日かかり、調査期間中は生活状況の確認が行われます。
生活保護は自立までの一時的な支援であり、就労による自立を目指すことが推奨されています。
最後に
大阪市で生活保護を検討している方は、お住まいの区の保健福祉センターに相談してください。
生活に困窮している場合、生活保護を受けることは権利であり、決して恥ずかしいことではありません。
適切な支援を受けながら、自立に向けた一歩を踏み出しましょう。

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