「生活保護を申請したら、実際いくらもらえるの?」「自分の場合はどう計算すればいい?」生活保護費の金額について、このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
生活保護費は最低生活費から収入を引いた差額が支給されます。

2025年10月からは物価高騰対策として特例加算が月額1,500円に引き上げられ、単身世帯で月10万円〜13万円、母子家庭で月19万円〜24万円が目安となっています。
この記事では、生活保護費の計算方法を初心者の方にもわかりやすく解説し、世帯別・地域別の具体的なシミュレーションを豊富に紹介します。
生活保護費の基本的な計算式

シンプルな計算式
生活保護費の計算は、以下のシンプルな式で表されます。
生活保護費 = 最低生活費 – 収入
最低生活費とは厚生労働省が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために必要な金額のことです。

収入とは働いて得た給与だけでなく、年金、児童扶養手当、失業保険、仕送りなど、あらゆる収入が含まれます。

計算例(イメージ)
ケース1: 収入がない場合
- 最低生活費: 13万円
- 収入: 0円
- 生活保護費: 13万円
ケース2: 収入がある場合
- 最低生活費: 13万円
- 収入: 5万円(年金)
- 生活保護費: 8万円
このように、収入が少なくても最低生活費に満たない場合は、その差額が支給されます。
最低生活費を上回る場合
もし収入が最低生活費を上回っている場合、生活保護は受給できません。
ケース3: 収入が最低生活費を上回っている場合
- 最低生活費: 13万円
- 収入: 15万円
- 生活保護費: 0円(受給不可)
最低生活費の内訳を理解しよう

最低生活費は、以下の要素を合計して算出されます。
最低生活費 = 生活扶助 + 住宅扶助 + その他の扶助
生活扶助|日常生活に必要な費用
生活扶助は、食費、光熱費、被服費など日常生活に必要な費用をカバーします。


生活扶助は第1類と第2類に分かれています。
第1類|個人単位の経費
食費や被服費など、個人にかかる経費です。年齢によって金額が異なります。
年齢別の基準額(1級地-1の場合)
| 年齢 | 月額(円) |
|---|---|
| 0〜2歳 | 22,790 |
| 3〜5歳 | 28,640 |
| 6〜11歳 | 37,030 |
| 12〜17歳 | 44,900 |
| 18〜19歳 | 44,080 |
| 20〜40歳 | 42,520 |
| 41〜59歳 | 41,010 |
| 60〜64歳 | 38,960 |
| 65〜69歳 | 37,590 |
| 70〜74歳 | 35,410 |
| 75歳以上 | 34,060 |
世帯に複数人いる場合、全員分を合計した後に逓減率を掛けます。
逓減率
- 1人世帯: 1.0(100%)
- 2人世帯: 0.855(85.5%)
- 3人世帯: 0.785(78.5%)
- 4人世帯: 0.745(74.5%)
- 5人世帯: 0.725(72.5%)
※世帯人数が増えるほど1人あたりの費用が抑えられるため逓減率が設定されています。
第2類|世帯単位の経費
光熱費や家具家電購入費など、世帯全体にかかる経費です。
世帯人数別の基準額(1級地-1の場合):
| 世帯人数 | 月額(円) |
|---|---|
| 1人 | 45,160 |
| 2人 | 50,900 |
| 3人 | 56,310 |
| 4人 | 58,720 |
| 5人 | 61,130 |
住宅扶助|家賃に相当する費用
家賃、間代、地代、敷金等が対象です。

実際の家賃額が支給されますが、上限額が設定されています。
主要都市の住宅扶助上限額(単身世帯)
| 地域 | 上限額(円) |
|---|---|
| 東京都23区 | 53,700 |
| 大阪市 | 40,000 |
| 名古屋市 | 37,000 |
| 札幌市 | 36,000 |
| 福岡市 | 37,000 |
※地域によって細かく住宅扶助の上限額は設定されているため、お住まいの上限額を知りたい場合は福祉事務所に確認してください。

その他の扶助
生活状況に応じて以下の扶助が追加されます:
- 教育扶助: 義務教育の学用品費など
- 医療扶助: 医療費(全額補助)
- 介護扶助: 介護サービス費(全額補助)
- 出産扶助: 出産費用
- 生業扶助: 就労に必要な技能習得費用
- 葬祭扶助: 葬儀費用
級地制度|地域によって金額が違う理由
級地とは?
全国の市町村は、物価水準に応じて1級地、2級地、3級地に分類されています。さらに各級地内で1、2に細分化されます。
級地の分類
- 1級地-1: 物価が最も高い(東京23区、大阪市など)
- 1級地-2: 物価が高い(横浜市、京都市など)
- 2級地-1: 物価が中程度(仙台市、広島市など)
- 2級地-2: 物価がやや低い(郡部など)
- 3級地-1: 物価が低い(地方都市)
- 3級地-2: 物価が最も低い(町村部)
級地による金額の違い
同じ世帯構成でも、住んでいる地域によって支給額が大きく変わります。
単身世帯(60歳)の生活扶助の比較
| 級地 | 生活扶助 | 差額 |
|---|---|---|
| 1級地-1 | 約80,000円 | 基準 |
| 2級地-1 | 約75,000円 | -5,000円 |
| 3級地-1 | 約70,000円 | -10,000円 |
| 3級地-2 | 約66,000円 | -14,000円 |
都市部と地方では月約1万円〜1.5万円の差が出ます。
自分の地域の級地を調べる方法
- 厚生労働省のウェブサイトで「級地一覧」を検索
- お住まいの市町村名で検索
- 福祉事務所に問い合わせる
【世帯別】生活保護費の計算シミュレーション

ケース1: 単身世帯(65歳・東京都23区)
世帯構成: 65歳・男性・単身・収入なし
計算
- 第1類: 37,590円
- 第2類: 45,160円
- 特例加算: 1,500円
- 生活扶助合計: 84,250円
- 住宅扶助: 53,700円(上限)
- 最低生活費: 137,950円
収入: 0円
生活保護費: 137,950円
ケース2: 単身世帯(40歳・地方都市)
世帯構成: 40歳・女性・単身・2級地-1
計算
- 第1類: 39,260円(2級地-1の調整後)
- 第2類: 41,670円(2級地-1の調整後)
- 特例加算: 1,500円
- 生活扶助合計: 82,430円
- 住宅扶助: 35,000円
- 最低生活費: 117,430円
収入: 年金50,000円
生活保護費: 67,430円
ケース3: 高齢者夫婦(70歳・65歳・東京都23区)
世帯構成: 70歳・男性、65歳・女性・夫婦2人・収入なし
計算
- 第1類: 夫35,410円 + 妻37,590円 = 73,000円
- 逓減率: 73,000円 × 0.855 = 62,415円
- 第2類: 50,900円
- 特例加算: 1,500円 × 2人 = 3,000円
- 生活扶助合計: 116,315円
- 住宅扶助: 64,000円(2人世帯上限)
- 最低生活費: 180,315円
収入: 年金合計120,000円
生活保護費: 60,315円
ケース4: 母子家庭(母35歳・子10歳・東京都23区)
世帯構成: 35歳・母親、10歳・子ども・母子2人世帯
計算:
- 第1類: 母42,520円 + 子37,030円 = 79,550円
- 逓減率: 79,550円 × 0.855 = 68,015円
- 第2類: 50,900円
- 特例加算: 1,500円 × 2人 = 3,000円
- 生活扶助合計: 121,915円
- 母子加算: 23,260円
- 児童養育加算: 10,190円
- 生活扶助合計: 155,365円
- 住宅扶助: 64,000円
- 教育扶助: 約2,600円
- 最低生活費: 221,965円
収入: 児童扶養手当44,000円、児童手当10,000円
生活保護費: 167,965円
ケース5: 4人家族(父40歳・母38歳・子12歳・10歳・大阪市)
世帯構成: 4人家族・1級地-1(大阪市)
計算
- 第1類: 父42,520円 + 母42,520円 + 子①44,900円 + 子②37,030円 = 166,970円
- 逓減率: 166,970円 × 0.745 = 124,393円
- 第2類: 58,720円
- 特例加算: 1,500円 × 4人 = 6,000円
- 基本生活扶助: 189,113円
- 児童養育加算: 10,190円 × 2人 = 20,380円
- 生活扶助合計: 209,493円
- 住宅扶助: 50,000円(4人世帯)
- 教育扶助: 約5,200円(2人分)
- 最低生活費: 264,693円
収入: アルバイト80,000円、児童手当20,000
生活保護費: 164,693円
級地別比較表|単身世帯(65歳)
| 地域例 | 級地 | 生活扶助 | 住宅扶助 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 東京23区 | 1-1 | 84,250円 | 53,700円 | 137,950円 |
| 横浜市 | 1-2 | 81,500円 | 52,000円 | 133,500円 |
| 札幌市 | 2-1 | 77,000円 | 36,000円 | 113,000円 |
| 地方都市 | 3-1 | 70,000円 | 30,000円 | 100,000円 |
収入がある場合の計算方法

収入の種類
生活保護費の計算で「収入」として扱われるものは多岐にわたります。
収入に含まれるもの:
- 給与・賞与
- 年金(国民年金、厚生年金、遺族年金等)
- 児童扶養手当
- 失業保険
- 退職金
- 仕送り
- 養育費
- 保険金
- 不動産収入
- その他あらゆる収入
基礎控除|働いている場合の特例
アルバイトやパートで働いて収入を得ている場合、基礎控除が適用され、収入の一部が控除されます。

基礎控除額(月額)
| 収入額 | 控除額 |
|---|---|
| 0〜22,000円 | 収入の30% |
| 22,001〜78,000円 | 6,600円+超過分の15% |
| 78,001円以上 | 15,000円+超過分の5% |
計算例: 月収50,000円の場合
- 22,000円までの控除: 6,600円
- 超過分28,000円の15%: 4,200円
- 合計控除額: 10,800円
- 収入認定額: 50,000円 – 10,800円 = 39,200円
収入がある場合のシミュレーション
ケース: 単身世帯(40歳・東京都23区)・アルバイト収入あり
最低生活費: 138,000円
アルバイト収入: 80,000円
基礎控除の計算
- 22,000円までの控除: 6,600円
- 超過分58,000円の15%: 8,700円
- 合計控除額: 15,300円
収入認定額: 80,000円 – 15,300円 = 64,700円
生活保護費: 138,000円 – 64,700円 = 73,300円
実際の手取り: 80,000円(給与) + 73,300円(生活保護費) = 153,300円
働いて収入を得ることで、生活保護費のみの場合より生活水準が上がります。

加算制度|追加でもらえるお金

母子加算
ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)に支給される加算です。

母子加算額(1級地-1の場合):
| 児童数 | 月額(円) |
|---|---|
| 1人 | 23,260 |
| 2人 | 26,670 |
| 3人以上 | +3,410/人 |
児童養育加算
18歳まで(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の児童を養育している場合に支給されます。

児童養育加算額
- 1人あたり: 月額10,190円
障害者加算
障害者手帳を所持している場合に支給されます。

障害者加算額(1級地-1の場合):
| 等級 | 月額(円) |
|---|---|
| 1級・2級 | 26,810 |
| 3級 | 17,870 |
介護施設入所者加算
特別養護老人ホームなどの施設に入所している場合
- 月額9,800円
在宅患者加算
在宅で長期療養が必要な場合
- 月額13,270円
妊婦加算
妊娠6ヶ月以上の妊婦:
- 月額9,140円

冬季加算
11月〜3月に支給される暖房費

- 北海道: 月額約12,000円〜13,000円
- 東北地方: 月額約5,000円〜8,000円
- 東京: 月額約2,000円〜3,000円
2025年の最新改正|特例加算の増額

特例加算とは
物価高騰による生活費の増加に対応するため、2023年度から導入された時限的な加算です。
改正の経緯
- 2023年度: 月額1,000円
- 2024年度: 月額1,000円(継続)
- 2025年10月〜: 月額1,500円(500円増額)
対象者
生活保護を受給しているすべての人が対象です。
支給額
- 1人あたり月額1,500円
- 世帯員全員に支給
具体例
- 単身世帯: 1,500円
- 2人世帯: 3,000円
- 4人世帯: 6,000円
支給期間
2025年10月から2026年度末まで(2年間の時限措置)となっています。
2026年後以降については、今後の法改正によって変わってきます。
よくある質問

Q1: 生活保護費はいつ振り込まれますか?
A: 毎月1日〜5日頃に振り込まれます(自治体により異なります)。
支給日が土日祝日の場合は、直前の平日に振り込まれることが多いです。正確な支給日は、お住まいの地域の福祉事務所にご確認ください。

Q2: 生活保護費から税金は引かれますか?
A: いいえ、生活保護費は非課税です。
生活保護費には所得税も住民税もかかりません。また、国民健康保険料や介護保険料も免除されます。

Q3: 年金をもらっていても生活保護は受けられますか?
A: はい、受けられます。

年金額が最低生活費を下回っている場合、その差額が生活保護費として支給されます。
例:
- 最低生活費: 13万円
- 年金: 6万円
- 生活保護費: 7万円
Q4: 働きながら生活保護を受けることはできますか?
A: はい、可能です。
働いて得た収入のうち、基礎控除を差し引いた金額が収入として認定されます。働いた方が生活保護費のみより手取りが増えるため、就労は推奨されています。

Q5: 生活保護費の計算は誰がしますか?
A: 福祉事務所のケースワーカーが計算します。

申請者が自分で計算する必要はありません。ただし、大まかな金額を知りたい場合は、インターネット上の生活保護費計算ツールを利用することもできます。
Q6: 持ち家があっても生活保護は受けられますか?
A: 条件次第で受けられる場合があります。

売却価値が低い、ローンが完済しているなどの条件を満たせば、持ち家を保有したまま受給できることがあります。ただし、住宅扶助は支給されません(固定資産税や修繕費は別途相談可能)。
Q7: 生活保護費で貯金はできますか?
A: 原則として認められていません。
生活保護は「最低限度の生活」を保障する制度のため、貯金ができるほどの余裕があると判断されると、支給が減額または停止される可能性があります。
ただし、冠婚葬祭費用や子どもの進学費用など、正当な理由がある場合の少額の積立は認められることがあります。

Q8: 生活保護費は毎年変わりますか?
A: 5年に1度見直されますが、臨時の改定もあります。
物価や賃金の変動に応じて、随時調整されることがあります。2025年は物価高騰に対応した特例加算が増額されました。
まとめ:生活保護費の計算式は簡単だが世帯によって異なる

生活保護費の計算|重要ポイント
1. 基本的な計算式
生活保護費 = 最低生活費 – 収入
2. 最低生活費の構成
- 生活扶助(第1類+第2類)
- 住宅扶助
- その他の扶助(教育、生業、医療、介護等)
3. 地域による違い
- 1級地-1(都市部): 最も高い
- 3級地-2(町村部): 最も低い
- 単身世帯で月1万円〜1.5万円の差
4. 世帯別の目安額(収入なしの場合)
- 単身世帯: 月10万円〜13万円
- 高齢者夫婦: 月15万円〜18万円
- 母子家庭(母+子1人): 月19万円〜24万円
- 4人家族: 月26万円〜30万円
5. 収入がある場合
- 基礎控除が適用される
- 働いた方が手取りが増える仕組み
6. 加算制度
- 母子加算: 月2.3万円〜
- 児童養育加算: 月1万円/人
- 障害者加算: 月1.8万円〜2.7万円
- 冬季加算: 月2千円〜1.3万円
7. 2025年の改正
- 特例加算が月額1,500円に増額
- 2年間の時限措置
正確な金額を知るには
この記事で紹介した計算方法は目安です。正確な金額を知りたい場合は
- 福祉事務所に相談
- 最も確実で正確
- 個別の事情を考慮してもらえる
- オンライン計算ツールを利用
- 厚生労働省や民間サイトで提供
- 簡易的な目安を知ることができる
- 支援団体に相談
- NPO法人などが無料相談を実施
- 申請のサポートも受けられる
最後に
生活保護費の計算は複雑に見えますが、基本的な仕組みを理解すれば、ご自身でもおおよその金額を把握できます。
生活保護は憲法で保障された国民の権利であり、生活に困窮している方が利用すべき制度です。
「こんな金額では生活できない」と感じるかもしれませんが、医療費や介護費が全額免除される点も考慮すると、最低限度の生活は保障されています。
生活保護の受給を検討されている方は、まずはお住まいの地域の福祉事務所に相談することから始めてください。


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