生活保護の受給を開始すると、ケースワーカーから「代理納付しますか?」と聞かれることがあると思います。
しかし、いきなり代理納付しますか?と聞かれても、そもそも代理納付とはどういうものなのかわからないため、判断のしようがないと思います。
そこで、このページでは、
・生活保護の代理納付とは何か?
・代理納付でできる支払いとはどんなものがあるのか?
・代理納付の手続き方法
・代理納付のメリット・デメリット
・生活保護受給者は代理納付をするべきかどうか?
について詳しくご説明したいと思います。
生活保護の代理納付とは
生活保護の代理納付とは、その名称のとおり生活保護受給者に代わって福祉事務所がお金を支払うことを言います。
生活保護の受給が開始されると、毎月生活保護費が支給されます。
また、各種申請をすることで、生活保護費が追加支給されることがあります。
本来であれば、生活保護費は全て生活保護受給者に支給し、生活保護受給者自ら食費や電気代、家賃等のあらゆる支払いをしなければいけません。
しかし、一部の支払いについては、生活保護受給者が代理納付の申請手続きをすることで、福祉事務所が、生活保護受給者の代わりに支払いを行ってくれます。
なお、生活保護受給者の代わりに払ってくれるとは言え、その費用を福祉事務所が負担してくれるわけではありません。
例えば生活保護費10万円、家賃4万円の生活保護受給者の場合、代理納付をすると家賃分の4万円が生活保護受給費から引かれて支給金額は6万円になります。
パッと見、支給金額が減らされて損した気分になるかもしれませんが、代理納付をしなくても、結局は家賃4万円は支払わなくていけないため、月々に使えるお金は6万円と代理納付をしてもしなくても金額は変わりません。
代理納付ができる支払いとは
代理納付は生活保護法第33条第4項が根拠となっています。
生活保護法第33条第4項
住宅扶助のための保護金品は、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。
生活保護費は全部で8つの扶助がありますが、代理納付ができる支払いは上記のとおり生活保護法上は住宅扶助に限定されています。
具体的には
・家賃
・地代
・敷金及び礼金
・住宅維持費
・引越し費用
など、住宅に関する費用のみが認められています。
しかし、実務上は住宅扶助に関するもの以外にも、例えば上下水道代や介護保険料などの公共料金に関するものや葬祭費に関しては代理納付してくれる福祉事務所もあります。
代理納付の手続き方法
代理納付の手続き方法は簡単で、福祉事務所の窓口に行き、委任状を提出するだけで手続きが完了します。
なお、手続きの際には印鑑が必要となりますので、忘れずに持っていきましょう。
手続きが完了すると、早ければ次回の支払いから、遅くても次次回の支払いから代理納付がスタートします。
代理納付をやめる時も同様に、窓口に行って手続きをする必要があります。
実際に代理納付が止まる時期も同じで、早ければ次回の支払いから、遅くても次次回の支払いからとなります。
代理納付のメリット・デメリットとは
代理納付のメリットは余計なことを考えずにお金が使えることです。
代理納付をしない場合、生活保護費の中から家賃や上下水道代などの公共料金の支払いを支払わなければいけないため、わざわざ振り込みに行ったり、引き落とされるまで口座に残しておかなければいけない金額を考えながら生活をしなければいけません。
しかし、代理納付をしていれば、生活保護費が支給された時点で、家賃や上下水道代などの公共料金は既に支払い済みなので、支給された金額全てを生活費や趣味など、好きなことに自由に使うことができます。
代理納付のデメリットは特にありません。
代理納付の手続きも簡単ですし、家賃や上下水道代などの公共料金をわざわざ支払う手間が省けるため、ハッキリ言ってメリットしかありません。
生活保護受給者は代理納付するべき
私は生活保護受給者は代理納付はするべきだと思っています。
その理由は上記のとおりメリットしかないと言うのもそうなんですが、それとは別にもう1つ理由があります。
それは、もしも生活保護費を使い込んでしまって、支払いができなくなった場合、不正受給となり、徴収金として全額徴収されるからです。
例えば引越し代として20万円が支給され、その全額をパチンコ等のギャンブルにつぎ込んでしまった場合、引っ越し業者に支払う20万円に加えて、不正受給となることから福祉事務所に対しても20万円返還しなければいけなくなり、合計40万円も負担しなければならない羽目になります。
上記の例のように2重で支払うことにならないためにも、生活保護受給者は代理納付できるものは全て代理納付してもらうべきです。
まとめ
生活保護の代理納付について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 代理納付とは生活保護受給者に代わって福祉事務所がお金を支払うこと
- 代理納付ができるのは原則住宅扶助だけだが、実務上は公共料金等も代理納付可能
- 代理納付の手続きは窓口で簡単にできる
- 代理納付のメリットは支給された金額全てを趣味等に費やすことができること
- 代理納付のデメリットは特に無い
- 生活保護費を目的外使用をすると不正受給となるため、代理納付できるものは代理納付するべき
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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