生活保護受給者の中にはケースワーカーから嫌がらせを受けたり、不当な対応をされることもあると思います。
嫌がらせ等を受けた場合、どこに苦情を言うべきなのか?泣き寝入りするしかないのか?気になるところだと思います。
そこで、このページでは、嫌がらせを受けた時の対処法や、苦情をどこに言うべきか?また苦情を言った場合の効果について、詳しくご紹介したいと思います。
事務手続きに関する苦情は福祉事務所へ
事務手続きに関する苦情であれば市役所の福祉事務所に連絡すれば解決できます。
例えば入学準備金等の一次扶助の申請をしたのに支給日を過ぎてもなかなか支給しれくれない、収入申告書を提出したのにケースワーカーが紛失した等、事務手続きに関する苦情は福祉事務所に言いましょう。
なお、担当ケースワーカーに苦情を言っても対応してくれない可能性もあるため、そのケースワーカーの上司に当たる係長、課長、部長に対応を代わってもらいましよう。
そうすればすぐに対応してくれます。
ただし、担当ケースワーカーの事務手続きミスにより返還金が発生したような場合は、いくら苦情を言っても返還金は返さなければいけません。
例えば給料収入を毎月キチンと収入申告していたのに、担当ケースワーカーが収入認定をし忘れたばかりに生活保護費の過払いが発生したようなケースがそれに該当します。
給料収入なので基礎控除等は見てもらえますが、それでも生活保護費の過払い分がある場合は生活保護法上、返還しなければいけません。
「ケースワーカーがミスしたのに、なぜ返還しなければいけないのか!?」と憤るのは当然ですし、その事について福祉事務所に苦情を言うべきですが、だからと言って、税金が原資である生活保護費を多くもらっても良いと言う理由にはならないので、生活保護費の返還はしなければいけません。
総務部に苦情を言っても意味がない
ケースワーカーは市役所職員なので、人事権を持つ総務部に苦情を言ったら良いのではないか?と思う方がいらっしゃいますが、ハッキリ言って総務部に苦情を言っても意味がありません。
確かに職員の人事権は総務部が持っていますが、役所は縦割り行政のため、各部のことは各部が処理することになります。
そのため、福祉部が行うことについては、総務部が口出しすることはできません。
例えば引っ越しをしたいのに引っ越し代を福祉事務所が支給しれくれないと苦情を言っても、その引っ越し代をを支給するかどうかの法的判断は福祉事務所にあるため、総務部は口出しをすることはできません。
また、総務部に苦情を言っても、電話している方が実際に生活保護を受給している人なのか?実際にケースワーカーが嫌がらせをしたのか?状況が全くわからないため、良いとも悪いとも何とも判断することができません。
そのため、総務部に苦情を言っても「総務部に苦情が入っていたよ」と福祉部に連絡が入るだけで、何ら効果がありません。
投書による苦情は伝わるだけで対応してくれない
市役所には投書箱が設置されていて、匿名で「こうして欲しい!」「○○課の職員の対応が悪い」等、市民の声を届けることができます。
この投書箱にケースワーカーからの嫌がらせの苦情を投書した場合はどうるのか?ですが、これも同様に効果がありません。
投書箱に投書された内容は大抵総務部が各所管課におろすため、上記の総務部に苦情を入れる場合と同じ結果になります。
また、匿名での投書については、そもそも回答する義務も発生しません。
匿名はあくまで意見であり、そういう意見もある、と伝わるだけです。
匿名は最も簡単で責任もありませんが、その分、効果もありません。
議員を通じて苦情を言う場合は法的根拠が必要
市役所に対する議員の力は大きいため、議員を通じて苦情を言うと、比較的要望が通り安いです。
しかし、その場合、必ず法的な根拠が必要になります。
議員を通すと、黒も白になるイメージがあると思いますが、そんなことをすると、議員が他の議員もしくは議員候補者から攻撃されてしまうため、そんな迂闊なことはしません。
議員ができるのはグレーを白にすることなので、議員に助けを求める場合は、必ず他の議員等から攻められないように、法的根拠が求められます。
例えば家具什器費で支給できる時期は生活保護受給開始時、支給できる項目は食事に直接関係するものと決まれています。
それを「テレビが壊れたから家具什器費で支給してもらおうと思ったのに福祉事務所が許可を出さない。どうにかして欲しい。」と苦情を議員に伝えても突っぱねられるか、せいぜい一緒に福祉事務所に行って、駄目な理由を再度聞くくらいしかできません。
正式な手続きをするなら県に不服申立をする
福祉事務所の処分に対して不服がある場合、最終手段として県に対して不服申立をすることで審査請求をすることができます。
具体的には
・保護の条件を満たしているのにも関わらず申請が認められなかった
・保護の申請をしたら遅くとも1ヶ月以内に決定が降りるはずなのに、何の決定もないまま放置されている
・保護の申請をしたいのに申請書を渡してくれない
・申請書を提出しても受け付けてくれない
・決定された生活保護費の金額が少ない
・生活保護の廃止・停止に不満がある
・就労指導等の指示の内容について不満がある
上記のような場合に正式に対応してもらいたい場合は、県に審査請求をするのが一番です。
ただし、不服申立をした場合は、最終的に裁判になるので、結論が出るまでに、かなりの時間と労力がかかります。
また、法的に判断されるため、不服申立をしたからと言って、必ず勝てるとも限りません。
担当ケースワーカーを変えてもらうことはできない
担当ケースワーカーから嫌がらせを受けている、担当ケースワーカーの対応が悪い等、担当ケースワーカーを変えてもらいたいと思った場合、どうすれば良いのか?ですが、残念ながら担当ケースワーカーを変えてもらうことはできません。
担当ケースワーカーを変えてもらいたいと言う要望は多いため、いちいち聞いてたら福祉事務所の仕事が回りません。
そのため、どれだけ福祉事務所等に苦情を言ったとしても、担当ケースワーカーが変わることはありません。
市役所の人事異動があるまで我慢するしかありません。
嫌がらせではなく指導指示の可能性があります
「担当ケースワーカーから嫌がらせを受けている」と相談を受けて、話を聞いてみると、その内容が指導指示の場合が多々あります。
例えば「病気なのに働けと嫌がらせを受けている」と相談がありますが、病状調査の結果、労働可もしくは軽労働可と医師の診断があれば就労活動をしなければいけないため、担当ケースワーカーは就労指導をします。
また、「病気じゃないのに病院に行けと言われた」と相談がありますが、本人に病識はない場合もありますが、医師から治療に専念する必要があると診断されたら、担当ケースワーカーは通院指導をします。
ケースワーカーは生活保護受給者が自立に向けた活動をするように指導指示をしなければいけません。
指導指示されて嫌かもしれませんが、それがケースワーカーの仕事なので、そこはお互い我慢するしかありません。
指導指示に従わないと廃止になる可能性があります
担当ケースワーカーの指導指示が気に入らないからと言って、従わない場合はどうなるのか?ですが、最悪の場合は生活保護が停止・廃止になる可能性があります。
指示に従わなかったら、すぐに生活保護が停止・廃止になるわけではないので、安心してください。
指導指示をする場合、まずは口頭指導が行われます。
例えば「就職活動してくださいね」と電話もしくは会って言葉だけで2回から3回指導します。
口頭指導に従わない場合は、次に文書指導が行われます。
文書指導では「期日までに就職活動をして報告するように」と記載のある書類が渡されます。
文書指導が出たらレッドカードです。
期日までに指導指示に従わなければ生活保護が停止・廃止になります。
そのため、遅くとも文書指導が出たら、どれだけ嫌であっても指示に従う必要があります。
ケースワーカーからの嫌がらせを減らす方法
ケースワーカーからの嫌がらせを減らす方法はケースワーカーからの指示に従うのが一番です。
ケースワーカーは訪問格付けに応じて定期的に訪問調査をしなければいけません。
そして、訪問格付けは都道府県ごとに異なりますが
・1ヶ月に1回
・2ヶ月に1回
・3~4ヶ月に1回
のどれかに分類されます。
格付けの基準ですが、新規や指導指示に従わない問題のある生活保受給者ほど訪問頻度が多く、特に問題のない生活保受給者ほど訪問頻度が少なくなります。
また、ケースワーカーは1人で100世帯ほど抱えているため、特に問題のあるケースにだけ注力し、問題のないケースに関しては極力エネルギーを使いたくありません。
そのため、問題のないケースであれば訪問頻度も少なく、訪問時の滞在時間も最小限に抑えることができます。
つまり、ケースワーカーからの指示に素直に従うのが、最も賢い受給者と言えます。
例えば就労指導一つとっても、嫌だ嫌だとゴネて問題ケースとなる世帯がいますが、とりあえずハローワークに行って少しでもパソコン操作をすれば、それは立派な就労活動になります。
まとめ
担当ケースワーカーから嫌がらせを受けた時の対処法や、苦情をどこに言うべきか?また苦情を言った場合の効果について、詳しくご紹介させていただきました。
嫌がらせ等を受けて苦情を言う時は事務手続きに関することは福祉事務所、福祉事務所に言っても駄目な場合は上級行政庁である県庁に対して不服申立をしましょう。
しかし、嫌がらせと思うことであっても、実は指導指示の場合があります。
そのため、ケースワーカーと接触する機会を減らすのが嫌がらせを受けない最良の手段です。
そして、ケースワーカーと会わないようにするためには、ケースワーカーの指導指示を素直に聞くのが一番です。
また、いつもいつも苦情を言ったり、指導指示に従わなければ、「どうにかして嫌がらせをしてやろう」とケースワーカーは考えるかもしれません。
逆に普段からケースワーカーの指示に従う模範的な生活保受給者であれば、ケースワーカーに何か頼みごとをしたときは「なんとかできる方法を考えてみよう!」と協力してくれます。
そのため、就職活動をしたくなくても、病院に通院したくなくても、ケースワーカーの指導指示に、少なくとも上辺だけはキチンと従いましょう。
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