生活保護を受給していて、ケースワーカーの対応や福祉事務所の処遇に納得できないことはありませんか?
「不当な扱いを受けた」「申請を断られた」「減額の理由が不明」など、困っているのに相談先が分からず一人で抱え込んでいる方も少なくありません。
本記事では、生活保護に関する苦情をどこに相談すべきか、苦情窓口の種類、具体的な対応手順、そして問題解決の方法まで、実例を交えて詳しく解説します。

生活保護で苦情が発生するケース

よくある苦情の内容
生活保護に関する苦情には、以下のようなケースがあります。
1. 申請時の対応に関する苦情
- 申請書を渡してもらえない(水際作戦)
- 「まだ若いから働ける」と決めつけられた
- 「親族に連絡するまで申請できない」と言われた
- 必要書類が揃っていないと門前払いされた
- 説明が不十分で理解できなかった


2. ケースワーカーの対応に関する苦情
- 高圧的・威圧的な態度
- プライバシーを侵害される
- 約束の訪問日に来ない
- 電話や相談に応じてくれない
- 差別的な発言をされた
- 必要な支援をしてくれない
3. 保護費に関する苦情
- 減額・廃止の理由が不明確
- 収入認定の計算が間違っている
- 支給が遅れる
- 必要な加算が支給されていない


4. 医療扶助に関する苦情
- 医療券の発行が遅い
- 必要な医療を受けさせてもらえない
- 指定医療機関が少ない
- 通院交通費が認められない


5. その他の苦情
- 就労指導が過度
- 家庭訪問の頻度が多すぎる
- 個人情報が漏洩した
- 転居の許可が下りない
苦情を言うことは正当な権利
重要なポイント 生活保護受給者が納得できない対応に対して苦情を言うことは、正当な権利です。
生活保護法の理念 生活保護法第1条は、「最低限度の生活を保障する」と定めています。この権利が侵害されていると感じたら、遠慮なく声を上げるべきです。

苦情を言っても不利益はない 苦情を申し立てたことで、保護の停止や減額などの不利益を受けることはありません。もしそのような対応があれば、それ自体が新たな問題となります。

苦情窓口の種類と選び方

1. 福祉事務所内の苦情窓口
まず相談すべき窓口 問題が発生したら、最初に福祉事務所内の上級職員に相談することをおすすめします。
相談先
- ケースワーカーの上司(査察指導員、係長)
- 福祉事務所の所長
- 苦情相談担当窓口(設置されている場合)
メリット
- 迅速な対応が期待できる
- 直接的な解決につながりやすい
- 誤解やコミュニケーション不足の場合、その場で解消できる
相談方法
- 福祉事務所を訪問
- 電話で相談の予約
- 「ケースワーカーの対応について相談したい」と伝える
注意点
- 感情的にならず、冷静に事実を伝える
- 日時、場所、発言内容など具体的に説明
- 可能であればメモや記録を持参
2. 都道府県・市区町村の苦情相談窓口
福祉事務所での解決が難しい場合 福祉事務所内での相談で解決しない場合、自治体の苦情相談窓口に相談できます。
設置されている窓口
- 都道府県の生活保護担当課
- 市区町村の監査・苦情担当部署
- オンブズマン制度(一部自治体)
相談方法 自治体のホームページで「生活保護 苦情」「福祉 苦情窓口」などで検索するか、代表電話で問い合わせます。
対応内容
- 苦情内容の聞き取り
- 福祉事務所への事実確認
- 改善指導
- 回答・報告
3. 厚生労働省の相談窓口
国レベルの相談窓口 厚生労働省にも生活保護に関する相談窓口があります。
連絡先
- 厚生労働省 社会・援護局 保護課
- 電話番号:03-5253-1111(代表)
- 受付時間:平日9:30~18:15
相談内容
- 自治体の対応に問題がある場合
- 制度そのものに関する疑問
- 全国的な問題提起
注意点 個別の保護決定を直接変更する権限はありませんが、自治体への指導や助言を行うことができます。
4. 法テラス(日本司法支援センター)
法的な支援が必要な場合 生活保護の問題について、弁護士の助言や支援が必要な場合に利用できます。
連絡先
- 法テラス・サポートダイヤル:0570-078374
- 受付時間:平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00
サービス内容
- 無料法律相談(収入等の要件あり)
- 弁護士費用の立替制度
- 情報提供
メリット
- 専門的な法的アドバイス
- 審査請求や訴訟のサポート
- 費用の心配が少ない
5. 弁護士会・司法書士会
法律専門家への相談 各地の弁護士会・司法書士会でも、生活保護の相談を受け付けています。
相談方法
- 各都道府県の弁護士会に問い合わせ
- 法律相談センターを利用
- 初回30分無料などの制度もあり
対応内容
- 法的観点からのアドバイス
- 審査請求の代理
- 訴訟の代理
6. 社会福祉協議会
地域の福祉相談窓口 市区町村の社会福祉協議会でも、生活保護の相談を受け付けています。
サービス内容
- 一般的な福祉相談
- 他の支援制度の紹介
- 専門機関への橋渡し
メリット
- 身近で相談しやすい
- 総合的な福祉支援が受けられる
苦情を申し立てる際の準備

1. 事実の記録
記録すべき内容
- 日時(年月日、時刻)
- 場所
- 相手(ケースワーカーの名前、役職)
- 具体的な発言内容
- 状況の経緯
- 証人の有無
記録方法
- ノートやスマホのメモに記録
- 録音(事前に伝えることが望ましい)
- メールや文書は保存
記録例 「令和〇年〇月〇日 14時頃、福祉事務所にて、担当ケースワーカーA氏から『あなたは働けるのに働こうとしない』と決めつけられた。私は医師の診断書を提出しているにも関わらず、それを無視された」
2. 証拠の収集
有効な証拠
- 文書(通知書、診断書、収入証明など)
- メールやLINEのやり取り
- 録音データ
- 写真
- 第三者の証言
保管方法
- コピーを取る
- デジタルデータはバックアップ
- 原本は大切に保管
3. 要求内容の明確化
何を求めるか明確にする
- 謝罪
- 保護費の再計算・支給
- ケースワーカーの変更
- 保護決定の取り消し
- 再発防止策
具体的な要求を明確にすることで、解決がスムーズになります。
苦情申し立ての手順

ステップ1:冷静に状況を整理
感情的にならない 怒りや不満はもっともですが、まず冷静に状況を整理しましょう。
整理すべきこと
- 何が問題なのか
- いつ起こったのか
- なぜ納得できないのか
- どうして欲しいのか
ステップ2:相談窓口を選ぶ
問題の性質に応じて窓口を選ぶ
| 問題の種類 | おすすめの窓口 |
|---|---|
| ケースワーカーの対応 | 福祉事務所の上司 |
| 保護決定に不服 | 審査請求、法テラス |
| 申請を受け付けてもらえない | 生活保護問題対策全国会議 |
| 法的な問題 | 弁護士会、法テラス |
| 一般的な相談 | 社会福祉協議会 |
ステップ3:相談・申し立て
相談方法
- 電話で予約
- 窓口を訪問
- メールやウェブフォームで問い合わせ
相談時に伝えること
- 自分の基本情報(氏名、住所、保護受給の有無)
- 問題の内容(事実を具体的に)
- 証拠や記録
- 要求内容
ステップ4:対応を待つ
調査・確認 窓口が福祉事務所に事実確認を行います。
期間 通常、数日~数週間かかります。
進捗確認 一定期間経っても連絡がない場合、こちらから問い合わせましょう。
ステップ5:結果の確認と次の対応
納得できる結果の場合
- 改善を確認
- 再発防止を要請
納得できない場合
- 審査請求の検討
- 他の窓口への相談
- 訴訟の検討(弁護士と相談)
審査請求の手続き

審査請求とは
保護決定に不服がある場合の正式な手続き 生活保護の決定(却下、減額、廃止など)に納得できない場合、都道府県知事に対して審査請求ができます。
法的根拠 生活保護法第64条に基づく権利です。
審査請求の対象
審査請求できる決定
- 保護申請の却下
- 保護の変更(減額)
- 保護の停止
- 保護の廃止
- 就労指導
審査請求の期限
期限は厳格 処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内
期限を過ぎると審査請求できなくなるため、早めの対応が重要です。
審査請求の手順
1. 審査請求書の作成
- 様式は福祉事務所または都道府県で入手
- 必要事項を記入
- 処分の内容
- 処分があったことを知った年月日
- 不服の理由
- 求める内容
2. 審査請求書の提出
- 福祉事務所経由で都道府県知事に提出
- 郵送も可能
3. 審理
- 都道府県の審査会による審理
- 必要に応じて口頭意見陳述の機会
4. 裁決
- 認容(処分の取り消し)
- 棄却(処分の維持)
- 通常、数ヶ月~1年程度
5. 再審査請求・訴訟
- 裁決に不服がある場合、厚生労働大臣への再審査請求
- 裁判所への行政訴訟
審査請求中の生活
原則として処分は有効 審査請求をしても、原則として元の処分は有効です。
例外 執行停止の申し立てができる場合があります。弁護士に相談しましょう。
生活費の確保
- 生活福祉資金貸付制度の利用
- 他の支援制度の活用
- 支援団体への相談
苦情申し立ての注意点

1. 記録を残す
すべてのやり取りを記録に残しましょう。
- 相談日時
- 相談先
- 対応した担当者
- 相談内容と回答
2. 感情的にならない
怒りや不満はもっともですが、感情的になると話が進みません。
- 冷静に事実を伝える
- 要求を明確にする
- 相手を攻撃しない
3. 一人で抱え込まない
問題を一人で解決しようとせず、支援者を頼りましょう。
- 支援団体
- 弁護士
- 家族・友人
4. 諦めない
一度断られても、諦めずに他の窓口に相談しましょう。複数の窓口を活用することで、解決の道が開けることがあります。
5. 悪質な業者に注意
「生活保護の申請を代行します」などと称する悪質な業者には注意してください。
- 高額な手数料を要求される
- 個人情報を悪用される
- 不正受給に加担させられる
公的機関や信頼できる支援団体を利用しましょう。
よくある質問

Q: 苦情を言うと保護を打ち切られませんか?
A: 正当な苦情を申し立てたことで保護を打ち切ることは違法です。もしそのような対応があれば、さらに上級機関に相談してください。

Q: 匿名で苦情を言えますか?
A: 一部の窓口では匿名相談も可能ですが、具体的な対応を求める場合は実名での相談が必要です。
Q: 苦情申し立てにお金はかかりますか?
A: 公的機関への苦情申し立ては無料です。弁護士に依頼する場合も、法テラスを利用すれば費用の心配は少なくなります。
Q: 苦情を言ったらケースワーカーとの関係が悪化しませんか?
A: 正当な苦情であれば、関係が悪化することを恐れる必要はありません。むしろ、問題を明確にすることで適切な支援につながります。
Q: 審査請求と苦情申し立ての違いは?
A: 審査請求は処分に対する正式な不服申し立てです。苦情申し立ては、対応や態度などより広い範囲の問題を相談できます。
まとめ

生活保護に関する苦情窓口と対応方法について、重要なポイントをまとめます。
主な苦情窓口
- 福祉事務所内(上司、所長)
- 都道府県・市区町村の苦情窓口
- 厚生労働省
- 法テラス
- 生活保護問題対策全国会議
- 弁護士会・司法書士会
- 社会福祉協議会
- 全国生活と健康を守る会
苦情申し立ての手順
- 冷静に状況を整理
- 相談窓口を選ぶ
- 証拠を準備
- 相談・申し立て
- 対応を待つ
- 結果を確認
審査請求
- 処分に不服がある場合の正式手続き
- 期限は3ヶ月以内
- 都道府県知事に請求
重要なポイント
- 苦情を言うことは正当な権利
- 記録を残す
- 感情的にならない
- 一人で抱え込まない
- 諦めない
生活保護に関して納得できないことがあれば、遠慮なく相談してください。あなたには適切な支援を受ける権利があります。



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