介護扶助とは生活保護制度で定められている8種類の扶助の1つです。
介護扶助の項目は広義的には下記のとおり全部で8項目です。
2.福祉用具
3.住宅改修
4.施設介護
5.介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る。)
6.介護予防福祉用具
7.介護予防住宅改修
8.移送
1~4は要介護者を5~8は要支援者を対象とした扶助です。
※要介護者とは、要介護状態にある65歳以上の人、あるいは、要介護状態にある40歳~64歳までの人で、特定疾病によって、身体上か精神上の障害を持つと認められた人のことを言います。
※要支援者とは、身支度や家事など日常生活に支援が必要で65歳以上の要介護者となる可能性がある人、あるいは、40歳~64歳までの人で、特定疾病によって、要介護者となる可能性がある人のことを言います。
介護扶助の趣旨
介護扶助とは介護保険法における要介護者又は要支援者の介護サービス費に充てるための扶助です。
介護扶助の内容は基本的に介護保険の保険給付の対象となるサービスと同じ内容です。
例えば通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、訪問介護(ホームヘルプ)の利用料や福祉用具の購入費、住宅改修費等が介護扶助で賄うことができます。
介護扶助の支給方法
介護扶助の支給方法は現金支給ではなく現物支給(サービスの提供)です。
介護サービスに掛かる費用は全額支給されます。
例えば住宅扶助の場合は、生活保護受給者が住宅扶助を現金で受け取るため、生活保護受給者が大家さんにお金を支払いに行く必要があります。
しかし、介護扶助の場合は、実際に受けた介護サービスにかかった費用を福祉事務所が事業者に全額支払うため、生活保護受給者はお金を支払う必要がありません。
つまりタダで介護サービスを受けることができます。
ただし、普通に利用している限り自己負担はありませんが、保険対象外のサービスを利用した場合や介護保険における支給限度額を超えたサービスを利用した場合は、自己負担分が出てしまいます。
注意しておきましょう。
介護扶助と介護保険の負担割合
介護サービスに対する国の制度は介護扶助の他にも介護保険があります。
生活保護を受給していない人でも介護保険法による第1号被保険者(65歳以上)又は第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)に該当する方が介護サービスを利用した場合、サービス料の9割は介護保険から支払われ、残りの1割が自己負担となります。
では、生活保護受給者が介護サービスを利用した場合、介護保険と介護扶助の負担割合はどうなるのか?についてですが、生活保護は他法他施策優先のため、まずは介護保険が優先されます。
そのため、介護保険法による第1号被保険者(65歳以上)又は第2号被保険者(40歳以上65未満の医療保険加入者)に該当する生活保護受給者が介護サービスを利用した場合もサービス料の9割は介護保険から支払われます。
そして、本来は支払わなければいけない、この1割の自己負担分が介護扶助費として支給されます。
ただし、40歳以上65歳未満の生活保護受給者の場合、少し状況が異なります。
通常、国民健康保険または社会保険に加入している人は40歳以上になると介護保険に加入し、介護保険料の徴収が始まります。
しかし、生活保護受給者は、フルタイムで働いていない限り国民健康保険にも社会保険にも加入していないため、介護保険に加入することができません。
そのため特定疾病により要介護又は要支援状態にある生活保護受給者が介護サービスを利用する場合でも、介護保険からは一切支給がありません。
では、この場合の介護サービス料はどうなるのか?ですが、安心してください。
サービス料の全額が介護扶助から支出されます
介護保険が使える場合は他法他施策優先のため、介護扶助から1割しか支出されませんが、介護保険が使えない場合は全額介護扶助から支出されるため、生活保護受給者は自己負担なく介護サービスを受けることができます。
まとめ
生活保護制度で定められている8種類の扶助のうち、介護扶助について、ご紹介させていただきました。
負担割合等について、細かく書きましたが、要するに生活保護を受給している方は、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、訪問介護(ホームヘルプ)の利用料や福祉用具の購入費、住宅改修費等のあらゆる介護サービスが介護扶助により全てタダで受けることができます。