「引っ越したいのに初期費用が高くて払えない」「今の家賃を払い続けるのが苦しい」そんな不安を抱えていませんか。賃貸契約の初期費用は家賃の数ヶ月分にのぼることも多く、貯蓄が少ない方にとっては大きな壁になります。
本記事では、初期費用の相場や節約方法を整理したうえで、生活保護・生活困窮者自立支援制度といった公的支援を使ってどう乗り越えればよいかを、制度の根拠とあわせてわかりやすく解説します。ひとりで悩まず、使える制度を知ることが解決への第一歩です。
賃貸の初期費用はなぜ高い?相場と内訳を確認しよう

賃貸契約時の初期費用は、一般的に家賃の4〜6ヶ月分が目安とされます。
家賃7万円の物件であれば30〜40万円前後、家賃10万円なら40〜60万円程度を想定しておくと安心とされています。
【内訳】
- 敷金・礼金(各1ヶ月分が一般的)
- 仲介手数料(家賃1ヶ月分程度)
- 前家賃
- 保証会社利用料(家賃の30〜100%程度)
- 火災保険料
- 鍵交換費用など
これらを合計すると、敷金・礼金なしの物件では家賃の3〜4ヶ月分、敷金・礼金ありの物件でも家賃の5〜6ヶ月分に着地することが多くなっています。
| 項目 | 相場の目安 |
|---|---|
| 敷金 | 家賃0〜2ヶ月分 |
| 礼金 | 家賃0〜2ヶ月分 |
| 前家賃 | 家賃1ヶ月分 |
| 仲介手数料 | 家賃0.5〜1ヶ月分(+消費税) |
| 保証会社利用料 | 家賃0.5〜1ヶ月分程度 |
| 火災保険・鍵交換など | 合計1〜3万円程度 |
このように、初期費用は決して小さな金額ではありません。「払えない」と感じるのは、決して珍しいことではないのです。
初期費用を自力で抑える7つの工夫

公的支援に頼る前に、まずは自分でできる工夫を確認しておきましょう。
- 敷金・礼金なし物件を選ぶ:初期費用を家賃の3〜4ヶ月分程度まで圧縮できる
- フリーレント物件を選ぶ:入居後一定期間の家賃が無料になる
- 仲介手数料が無料・割引の不動産会社を利用する
- 契約時期を閑散期(5〜8月頃)にずらす:繁忙期より交渉に応じてもらいやすい
- 保証会社のプランを比較する
- 不動産会社に分割払いを相談する
- クレジットカード払い対応の物件を探す(手数料・金利には注意)
こうした工夫で負担が軽くなるケースもありますが、そもそも収入が少なく生活自体が苦しい場合は、公的な制度を使うことも視野に入れる必要があります。
生活が苦しいなら「生活困窮者自立支援制度」の活用を

生活困窮者自立支援法に基づき、収入減少や失業などで生活に困っている方を支える仕組みが「生活困窮者自立支援制度」です。


この制度の中に、初期費用の悩みに直結する2つの支援があります。
(1) 住居確保給付金
離職・廃業や、それに近い収入減少により住居を失うおそれがある方が対象で、家賃相当額が自治体から大家等へ直接支払われます(代理納付)。

住居確保給付金は「給付金」であり、貸付制度とは異なり返済の必要はありません(虚偽申請が発覚した場合を除く)。
2025年4月からは転居費用補助も新設され、より幅広い方が利用しやすい制度に拡充されました。家賃補助は求職活動が要件となりますが、転居費用補助は家計改善が目的のため求職活動は求められません。
申請の流れは
- 申請者が自立相談支援機関へ相談し申請書類を提出
- 自立相談支援機関が市区町村へ書類を送付
- 決定後は市区町村等が直接大家等へ給付金を支払う
という仕組みになっています。
自立相談支援機関は、家賃の支払いに困っている方だけでなく、多重債務やひきこもりなど幅広い生活課題の相談窓口としても機能しています。
(2) 生活福祉資金貸付制度(総合支援資金・住宅入居費)
社会福祉協議会が窓口となり、低所得世帯等に住居確保のための資金を貸し付ける制度です。

住宅入居初期費用の支払いが困難な場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度(総合支援資金(住宅入居費))の利用を検討できます。
住居確保給付金と異なり返済義務のある「貸付」ですが、低利子または無利子で借りられる点が特徴です。
まずはお住まいの地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。

どうしても生活が立ち行かないなら「生活保護」も選択肢に

家賃や初期費用だけでなく、生活そのものが困窮している場合は、生活保護の申請も検討すべき段階です。


生活保護は日本国憲法第25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づく、国民の正当な権利であり、ためらう必要はありません。

生活保護と初期費用の関係
生活保護受給が決定している状態で転居が必要になった場合、住宅扶助の中から初期費用にあたる敷金・礼金などが支給されることがあります。


引っ越し費用についても、事前に複数社の見積書を用意して福祉事務所に提出することで、初期費用とは別に福祉事務所から業者へ直接支払われます。

転居費用が認められる主なケース
ただし、生活保護受給中の転居費用は無条件で支給されるわけではありません。支給対象となるのは、実施機関の指導により家賃の低い住居へ転居する場合や、立退きを強制された場合、社宅からの退去に伴う転居など、一定の正当な理由がある場合に限られます。
逆に、より広い部屋に住みたい、ペット可の物件に移りたいといった自己都合による転居は、原則として対象外です。

認められるかどうかは自治体やケースワーカーの判断によって異なるため、転居を考えている場合は事前にケースワーカーへ相談することが重要です。


また、家賃滞納による強制退去が理由の場合は、本人の管理責任とみなされ、転居費用の支給を受けられない点にも注意が必要です。

「初期費用ゼロ」を謳う業者や安易な借入には要注意

「初期費用0円」「審査なしですぐ入居」といった甘い言葉で誘う業者や、消費者金融での安易な借入は避けましょう。
高い金利負担がさらに家計を圧迫し、家賃滞納の悪循環に陥るリスクがあります。
困ったときにまず頼るべきは、消費者金融ではなく、自治体の福祉事務所や社会福祉協議会、自立相談支援機関といった公的な窓口です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 生活保護を申請すれば必ず初期費用が支給されますか?
A. 生活保護の受給が決定し、かつ転居に正当な理由があると認められた場合に、住宅扶助の枠内で支給される可能性があります。自己都合の転居では原則対象外なので、必ず事前にケースワーカーに確認しましょう。
Q2. 生活保護の申請前にかかる初期費用は支給されますか?
A. 原則として、生活保護の申請前に発生した費用は対象外です。ただし、家賃が住宅扶助の上限を大幅に超えている場合や、現在の住環境が健康上危険である場合など、例外的に受給前でも支給対象となるケースがあります。
Q3. 住居確保給付金と生活保護はどちらを申請すべきですか?
A. 就労による収入回復が見込める場合はまず住居確保給付金の利用を検討し、生活全体の立て直しが必要な場合は生活保護の相談を並行して行うのが一般的です。まずは自立相談支援機関に相談すれば、状況に応じた制度を案内してもらえます。
Q4. 生活保護の申請は自分の状況でも対象になりますか?
A. 収入や資産の状況によって異なりますが、判断に迷う場合こそ相談する価値があります。申請は国民の権利であり、ためらわずに福祉事務所へ相談することが大切です。



まとめ

賃貸の初期費用は家賃の4〜6ヶ月分と高額になりがちですが、支払いが難しいからといって一人で抱え込む必要はありません。
まずは敷金礼金なし物件やフリーレントの活用など自助努力で負担を減らし、それでも厳しい場合は住居確保給付金や生活福祉資金貸付制度といった生活困窮者自立支援制度、さらに生活そのものが立ち行かない場合は生活保護の活用も視野に入れましょう。
どの制度も、正当な理由があれば利用できる公的な仕組みです。まずはお住まいの自治体の福祉事務所や社会福祉協議会、自立相談支援機関に、ためらわずに相談することから始めてみてください。


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