新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界は戦後最悪の経済危機に直面しました。
新型コロナウイルス感染拡大を抑制するために多くの国で感染の抑制を目的とした渡航制限や外出制限(ロックダウン)等が実施されました。
国内においても人や物の交流が制限された影響でコロナショックと呼ばれる経済危機に陥り、企業の業績が悪化し、給料が減額されたり、仕事を失う人も多数出てきました。
日本では新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、特別定額給付金をはじめとして、以降、2回目、3回目と様々な給付金が対象者に対して支給されましたし、今もコロナ関連の給付金は検討されています。
そこで気になるのが、これらの給付金は生活保護受給者に対しても支給されているのかどうか?ではないでしょうか?
このページでは、
- 給付金は生活保護受給者に対しても支給されているのか?
- 給付金はどういう取り扱いがされているのか?
- 2回目、3回目と支給されている給付金の取り扱いはどうなのか?
- そもそも生活保護受給者に対して給付金を支給するのはおかしいのではないか?
等の疑問に対して、わかりやすく説明します。
1人10万円の特別定額給付金は全額支給され収入認定もしなかった
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うことを目的に、特別定額給付金として1人当たり10万円が令和2年の6月頃から順次支給されました。
この特別定額給付金についてですが、生活保護受給者にも満額支給されています。
例えば単身世帯の場合は10万円、4人世帯の場合は40万円、一般世帯と同様に特別定額給付金も支給されました。
特別定額給付金が支給されたとは言え、通常、生活保護受給者が何らかの収入を得た場合は収入認定を行い、その収入分、生活保護費を減額します。
給料収入の場合、基礎控除等が付くため、年金収入等のように全額が生活保護費から引かれるわけではありませんが、同様に収入認定を行い、生活保護費の支給金額を減額します。
では、特別定額給付金も同様に収入認定をして、その分、生活保護費を減額したのでしょうか?
実は、特別定額給付金として支給された1人当たり10万円については、国の方から「収入認定をするな!」と指示がありました。
そのため、収入認定はされず、毎月支給される生活保護とは別に1人当たり10万円がそのまま自由に使えるお金として生活保護受給者に支給されました。
例えば母子3人世帯の場合は、生活扶助や住宅扶助、教育扶助、生業扶助等を合わせると約30万円ほどの支給がありますが、それに加えて30万円が別途支給されたため、一時的にではありますが、1ヶ月で合計約60万円も使えたことになります。
2回目以降の給付金の取り扱いは?
特別定額給付金として、1人当たり10万円が支給された後にも、2回目、3回目と様々な給付金が支給されました。
例を挙げると、
令和3年度に「子育て世帯への臨時特別給付金」として児童を養育している者の年収が960万円以上の世帯を除き、0歳から高校3年生までの子供たちに一人当たり10万円相当が給付されました。
令和4年度に「住民税非課税世帯に対する臨時特別給付金」として住民税非課税世帯等に対して1世帯当たり10万円を給付されました。
令和4年度に「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」として、児童扶養手当受給者等、その他住民税非課税の子育て世帯に、児童一人当たり一律5万円が支給されました。
これら2回目以降の給付金についても、生活保護受給者は住民税非課税世帯、低所得世帯に該当することから、全額支給され、しかも収入認定されませんでした。
そのため、特別定額給付金と同様に2回目以降の給付金も毎月支給される生活保護費とは別に自由に使えるお金として支給されました。
例えば母子3人世帯の場合、特別定額給付金として30万円、子育て世帯への臨時特別給付金として20万円、住民非課税世帯に対する臨時特別給付金として10万円、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金として10万円、ここ数年で生活保護費とは別に合計70万円も自由に使えるお金として給付金が支給されていることになります。
各自治体が実施した給付金も別途生活保護受給者に支給されている
上記の例は国の政策として、支給された給付金です。
国の政策とは別に各自治体が国からの新型コロナ関連の特別交付金を活用した独自の給付金を設けています。
各自治体が実施した給付金についても同様に条件に該当すれば生活保護受給者にも支給され、収入認定されません。
自治体独自の分については、大学生に対してのもの、保育士に対してのものなど、生活保護受給者には関係ないものも多いですが、条件に該当し、対象となる場合は生活保護受給者に対しても給付金が支給され、しかも収入認定されないため、自由に使えるお金となっています。
生活保護受給者への給付金はおかしいのか?
生活保護受給者に対して給付金が支給されることはおかしいことなのでしょうか?
結論から言うと、世間一般的に生活保護受給者への給付金はおかしいと思われても仕方がないと思います。
その理由は2つあります。
おかしいと思う1つ目の理由は、新型コロナウイルス感染症の影響を直接影響を受けた人たちに支援が行き届いていないからです。
新型コロナウイルス感染症により、大打撃を受けたのは飲食関係です。
飲食店に対しては、休業協力・事業継続に関する支援金が支給されましたが、飲食店に商品を売る卸売業に対しては、ほとんど支援がされていません。
また、医療従事者等は新型コロナウイルス感染症の対応により、オーバーワークを強いられているのに、年収要件を満たさないからと給付金が貰えていません。
公務員も新型コロナウイルス感染症のワクチン接種への対応のために残業が増えていますが、予算がないため残業代は出ず、それどころか、期末勤勉手当(ボーナス)が減額されています。
しかも、昨今の円安等による影響で物価は上がるのに、新型コロナウイルス感染拡大の影響による不景気のせいで給料が上がらず困っている一般世帯に対して、生活保護受給者は景気と関係なく物価高に応じて支給金額が増額されます。
このように、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた人たちに対しての支援が不十分なのにも関わらず、新型コロナウイルス感染拡大の影響を一切受けていない生活保護受給者に対して各種給付金が支給されているのは、やはりおかしいと言われても仕方がないと思います。
おかしいと思う2つ目の理由は、生活保護の趣旨に合致していないからです。
生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を送るうえで必要な金額を支給する制度です。
生活保護制度では、最低限度の生活費として足りない分を生活保護費として支給するわけですから、その趣旨にそって、給付金も収入認定をし、最低生活費に足りない部分を生活保護費として支給するべきです。
それにも関わらず、生活保護制度の趣旨を無視して、給付金を収入認定せず、満額自由に使わせるのは、おかしいと言われても仕方がありません。
給付金以外の立ち退き料等も生活保護受給者に全額支給される
生活保護制度の趣旨を無視して、おかしな収入認定をするのは、今回の給付金に限りません。
例えば老朽化した市営住宅を取り壊す場合、その市営住宅に住んでいる住民に対して税金から転居費用が支給されます。
生活保護受給者が立ち退きが必要な市営住宅に住んでいた場合も一般世帯と同様に転居費用として数十万円が支給されます。
生活保護でも転居が認められた場合、転居費用が支給されるため、転居費用が支給されること自体は問題ではありません。
ただ、生活保護費から転居費用を支給する場合は、転居に実際にかかった金額のみです。
引越し業者と交渉して転居費用を減額しても、何ら得はありません。
しかし、立ち退き料として支給された転居費用は値引き交渉して、値下げに成功すれば、その差額分は自分の懐に入れることができます。
この10万円は収入認定されることもなく、生活保護受給者が自由に使えるお金となる。
頑張って値下げ交渉をして転居費用を10万円にした場合、生活保護費から転居費用として10万円支給される。
実額支給のため、生活保護受給者に値下げ交渉をするメリットがない
どちらも原資は税金なのにも関わらず、一方は実額支給で、一方は定額支給により手元に残るのは、取り扱いとしてはおかしいのではないか?と思います。
まとめ
生活保護受給者が医療券なしで受診する方法について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 新型コロナウイルス感染症関連の給付金は全額支給され、しかも国からの指示で収入認定もされなかったため、全額自由に使えるお金として支給された。
- 2回目以降の給付金についても同様に自由に使えるお金として、生活保護受給者の手に渡った
- 国からの給付金の他、自治体独自の給付金があり、条件に合致すれば、自治体独自の給付金も生活保護受給者は受け取っている
- 新型コロナウイルス感染拡大によって何ら影響を受けない生活保護受給者が影響を受けた人達よりも手厚く支援されている現状はおかしいと言われても仕方がない
- 生活保護の趣旨に沿って考えても、給付金を収入認定をしないのはおかしい
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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