生活保護の受給を開始すると、様々な制限が掛かってきます。
例えば自動車やバイクの所有や利用は認められていませんし、就労指導を受けたり、数ヶ月に1度訪問調査を受ける必要があります。
では、旅行はどうなんでしょうか?
国内旅行や海外旅行も生活保護の受給を開始するとできないのでしょうか?
また、遊ぶ目的ではない旅行、例えば実家への帰省もできないのでしょうか?
気になるところだと思います。
そこで、このページでは、生活保護受給者の旅行について詳しくご説明します。
生活保護でも旅行・帰省は自由にできる
結論から述べますと、生活保護でも旅行や実家への帰省は自由できます。
生活保護では健康で文化的な最低限度の生活を送ることが保障されています。
この「文化的な」と言うのがキーワードで、生活保護では、食事等、生活する上で最低限度の金額が支給されるわけではなく、音楽やゲーム、お酒、タバコ、ギャンブル等の趣味に使えるお金も支給されています。
そして、生活保護受給者に一度生活保護費を支給したら、ケースワーカーがお金の使い方について、とやかく言う資格はなく、生活保護受給者が自由に使えることになっています。
そのため、当然、生活保護費を貯めて旅行や実家に帰省することも可能です。
ただし、注意点として、預金調査によって貯金があることが判明した場合、「何のための貯金か?」とケースワーカーに尋ねられます。
その時に「旅行するため。」と答えたら、返還金の対象となってしまうため、「家電が壊れた時のために貯金している。」と答えましょう。
生活保護でも海外旅行に行けるが生活保護費を返還しなければいけない
生活保護受給中でも海外旅行に行くことは可能です。
ただし、観光等、遊び目的で海外旅行に言った場合は、その交通費及び宿泊費に充てられる額については収入認定されてしまうため、福祉事務所に返還しなければいけません。
海外旅行の旅費が、たとえ生活保護費をコツコツ貯めて用意した旅費だとしても、本来は最低生活の維持のために活用すべきお金を別の目的で使用したことになるため、返還しなければいけません。
ただし、生活保護費のやりくりによる預貯金等で海外旅行をした場合でも、下記の条件のいずれかに該当する場合は福祉事務所に返還する必要はありません。
- 親族の冠婚葬祭、危篤の場合及び墓参り
- 修学旅行
- 公的機関が主催するする文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る)
- 高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者の海外留学であって世帯の自立助長に効果的であると認められる場合
なお、上記例外的な目的のための海外旅行だとしても、親族等から旅費を出してもらった場合は返還金の対象となるため、注意しましょう。
国内旅行や帰省はケースワーカーに報告する必要はない
海外旅行については、返還金の対象となるため、ケースワーカーへの報告が必要ですが、国内旅行や帰省する場合は、特にケースワーカーに報告する必要はありません。
なぜなら生活保護費の使い道は自由のため、ケースワーカーに報告する義務は特にないからです。
ただし、長期に家を空ける時には報告が必要です。
訪問調査の結果、いつも家におらず、不在連絡票を置いても何の反応もない場合は居住実態がないと見なされ、生活保護が廃止となってしまいます。
そのため、長期で家を空ける場合は理由等をケースワーカーに報告する必要があります。
旅行に行ける生活保護受給者はほとんどいない
「生活保護受給者が旅行に行くとはけしからん!」と憤る方もいらっしゃると思いますが、安心してください。
実際に生活保護受給中の方が旅行に行くことは、ほとんどありません。
理由は2つあります。
1つ目は旅行に行けるほどのお金の余裕がないからです。
特に単身世帯は住宅扶助を含む毎月の生活保護費の支給金額は約13万円しかありません。
支給金額から家賃分を除くと生活費として使えるお金は約7万円しか残りません。
電気代等の光熱費を払ったり、食費等を払うと、ほとんど残りません。
もちろん、少額でもコツコツ貯めれば旅行に行く事は可能ですが、生活保護受給者の方はお金のやりくりが苦手な方が多いため、旅費を貯められる人は、ほとんといません。
2つ目の理由は一緒に旅行に行く人がいないからです。
母子世帯の場合は、月々の生活保護費の支給金額は20万円を超えます。
加えて、小学校・中学校・高校の教育費として教育扶助、生業扶助も支給されます。
そのため、母子世帯は毎月使えるお金に、かなりの余裕があり、旅行に必要なお金も楽に貯めることができます。
しかし、生活保護を受給していることを友人に内緒にしている場合がほとんどです。
中には友人に生活保護の方が楽だからと言って、勧める人もいますが、大抵友人が離れていきます。
そのため、一緒に旅行に行く友人等がいません。
以上、2つの理由から、実際に旅行に行く生活保護受給者は、ほとんどいません。
まとめ
生活保護でも旅行や実家への帰省はできるのか?について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 生活保護でも旅行や帰省は自由にできる
- 生活保護でも海外旅行はできるが、旅費については返還する必要がある
- 旅行を申告する必要はないが、長期に家を留守にする場合は申告する必要がある
- 実際に旅行に行く生活保護受給者は、ほとんどいない
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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