生活保護の受給が開始すると税金はどうるなのか?毎月支給される生活保護費から支出しなければいけないのか?気になるところだと思います。
そこで、このページでは、
・生活保護受給者の各種税金はどうなるのか?免除されるのか?
・生活保護受給開始前に滞納した税金はどうなるのか?
・免除される場合に申請は必要か?
などについて詳しくご説明していきたいと思います。
生活保護受給者は固定資産税が免除される
固定資産税とは、家・土地などの不動産を所有している場合に賦課される税金です。
固定資産税は生活保護の受給が開始されると免除されます。
つまり、支払わなくてよくなります。
あれ?そもそも生活保護受給者は家・土地などの不動産を所有してはいけないんじゃないの?と思う方もいらっしゃると思いますが、実は生活保護受給者の方でも家・土地などの不動産を所有してる方は多数います。

なぜなら自宅がある生活保護受給者であれば、そのまま住み続けてもらった方が、住宅扶助を支払わなくて良い分、生活保護費の支給額を減らせるからです。

また、相続等によって自宅以外に不動産を所有している場合についても、すぐに現金化できないため、売却できるまで、所有することを認めています。


もちろん、不動産が売却できた場合は、売却できるまでに支給した生活保護費については福祉事務所に返還しなければいけませんが、その間の固定資産税は全額免除となります。

生活保護受給者は国民健康保険税が免除される
会社員の方は社会保険に加入しているため社会保険料を、自営業の方や無職の方は国民健康保険に加入しているため国民健康保険料を支払わなければいけません。
では、生活保護受給者の場合はどちらの医療保険に加入しているのか?についてですが、実は生活保護受給者は社会保険にも国民健康保険にも加入していません。

生活保護受給者の場合、医療扶助から医療費及び薬代の10割全額が支給されるため、医療保険に加入する必要がありません。

社会保険にも国民健康保険にも加入していないことから、生活保護受給者は国民健康保険税を支払う必要がなく、全額免除されます。
生活保護受給者は国民年金保険料が免除される
生活保護の受給が開始されると国民年金保険料は法定免除されるため支払う必要がありません。
免除された場合の年金の取り扱いですが、実は生活保護受給者も65歳になると老齢基礎年金が支給されるようになります。
極端な話、国民年金保険料を支払う期間の20歳から60歳までの全期間生活保護を受給し、一切国民年金保険料を支払わなかったとしても、老齢基礎年金をもらうことができます。

もちろん、老齢基礎年金を満額もらえるわけではありませんが、平成21年3月以前の期間は1か月を1/3、平成21年4月以降の期間は1か月を1/2として計算して老齢基礎年金が支給されます。
例えば平成21年4月から全期間生活保護を受給し、法定免除となった場合は、老齢基礎年金が半額支給される計算となります。
生活保護受給者は住民税が免除される
住民税は所得に応じて賦課される税金です。
生活保護受給者は所得がないため住民税は非課税となるため支払う必要がありません。
なお、生活保護受給者が働いて収入を得ている場合は住民税が課税されることがあります。

しかし、毎月キチンと給料収入を福祉事務所に申告していれば地方税等の公租公課は必要経費としてみてもらえるため、住民税を支払ったとしても、実質自己負担なしとなります。

生活保護受給者でも自動車税・軽自動車税は免除されない
生活保護受給者は自動車やバイクの利用・所有が認められていません。


例外として早期に生活保護からの脱却が見込まれる場合や通勤に必要な場合など、特別な事情がある場合は自動車やバイクの所有が認められることがあります。
しかし、自動車やバイクにかかる費用については、所有が原則認められていないことから一切生活保護からの扶助はなく、税金についても免除の規定がありません。
そのため、自動車やバイクの所有が認められていたとしても、自動車税・軽自動車税については毎月支給される生活保護費から支出する必要があります。
消費税は生活保護費の支給金額で調整される
消費税については、何かしらの商品を購入すると支払わなければいけない税金のため、生活保護受給者も当然支払わなければいけません。
しかし、生活保護受給者の場合、消費税の増税に合わせて生活保護費も増額されます。

そのため、消費税の増額が直接家計の負担につながる一般世帯と異なり、消費税が増額しても生活保護受給者への影響はそこまで大きくありません。
物価の上昇についても同様で、年に1度、生活保護費の基準が見直しされるため、物価が上がっても、生活保護費が増えるため、一般世帯と比べると、そこまで影響がありません。
過去に滞納した税金は執行停止になり消滅する
生活保護を受給する前に滞納している各種税金については、執行停止となるため生活保護受給中は支払う必要がなくなります。
しかも執行停止期間が3年間継続すると租税債権は消滅します。
つまり、滞納分がなくなるため支払わなくて良くなります。
仮に、その後、生活保護を脱却しても過去の滞納分は消滅しているため、請求されることはありません。
しかし、執行停止期間が3年未満の場合は、滞納分は消滅しないため、生活保護を脱却した後に請求されることになります。
例えば税金の滞納が100万円ある場合、生活保護受給中は執行停止となるため請求されません。そして、そのまま3年間生活保護を受給し続ければ滞納分が消滅するため、その後、生活保護を脱却しても請求されません。しかし、3年未満で生活保護を脱却した場合は、滞納分は消滅していないため、脱却後に滞納分の100万円が請求されます。
税金免除の手続きは不要
各種税金の免除については、特に手続きをする必要はありません。
生活保護の受給が開始されると、生活保護の担当課から税金の担当課に対して情報を流すため、自動的に免除されます。
ただし、ごくたまに情報共有が上手くいかない、もしくは行き違いによって税金が請求されることがあります。
その場合は、担当ケースワーカーに連絡しましょう。

そうすれば、すぐに対応してくれるはずです。
もしも対応してくれない場合は、福祉事務所に対して苦情を入れれば上司や別のケースワーカーが対応してくれます。

まとめ
生活保護の税金の免除について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 生活保護受給者は固定資産税、国民健康保険税、国民年金保険料、住民税が免除される
- 自動車税、軽自動車税は免除されないため支払わないといけない
- 消費税は増税されても、その分、生活保護費が増額されるため影響は少ない
- 過去に滞納した税金は生活保護の受給が開始されると執行停止となる
- 執行停止期間が3年間継続すると債権は消滅するが3年未満だと消滅せず、生活保護脱却後に請求される
- 免除の手続きは必要ない
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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