東京で生活保護を受給する場合、いくらもらえるのか、具体的な金額が気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、東京都における生活保護の金額、計算方法、申請手順まで、実例を交えながら初心者の方にもわかりやすく解説します。
東京の生活保護金額はいくら?【世帯別受給額】

単身世帯(1人暮らし)の受給額
東京23区に住む単身世帯の場合、生活扶助が76,310円、住宅扶助が53,700円で、合計130,010円が基本的な受給額となります。
年齢や状況によって若干の変動がありますが、東京23区の単身者であれば、おおむね月13万円前後が目安となります。

2人世帯の受給額
2人世帯では生活扶助が123,490円、住宅扶助が64,000円で、合計187,490円となります。
夫婦二人暮らしや親子二人暮らしの場合、約18万円から19万円が標準的な支給額です。
母子家庭の受給額
母子家庭の場合、基本的な生活扶助と住宅扶助に加えて、以下の加算があります。
- 児童養育加算:子ども1人につき月額10,190円
- 母子加算:月額18,800円
例えば、東京23区で母子2人世帯の場合、基本の生活扶助と住宅扶助に加え、約29,000円の加算が上乗せされるため、合計で月額21万円から22万円程度の受給が可能です。


東京都内でも金額は異なる?【級地制度を解説】

級地とは何か
生活保護の支給額は、全国を6つの級地(1級地-1から3級地-2まで)に分けて設定されています。
これは地域ごとの物価水準や生活費の違いを反映したものです。
東京都の級地区分
1級地-1(最も支給額が高い)
- 東京23区全域
- 武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、西東京市、八王子市、立川市、昭島市、多摩市、稲城市
2級地-1
- 青梅市、福生市、羽村市、あきる野市など
3級地-1
- 日の出町、檜原村、奥多摩町など
同じ東京都内でも、23区と多摩地域の一部の市では支給額に差はありませんが、郊外になるほど級地が下がり、受給額も減少します。
生活保護の金額はどう計算される?【仕組みを理解】

最低生活費の計算式
生活保護の支給額は、以下の計算式で決まります。
生活保護費 = 最低生活費 – 世帯の収入
最低生活費とは、厚生労働省が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために必要な費用のことです。

最低生活費の構成要素
最低生活費は主に以下の項目から成り立っています。
8つの扶助
- 生活扶助:食費、衣服費、光熱費など日常生活費
- 住宅扶助:家賃・地代(上限あり)
- 教育扶助:義務教育に必要な学用品費など
- 医療扶助:診察、薬剤、入院などの医療費(全額支給)
- 介護扶助:介護サービス利用費(全額支給)
- 出産扶助:出産に関する費用
- 生業扶助:就労や技能習得のための費用
- 葬祭扶助:葬儀に必要な費用
日常的に支給されるのは主に生活扶助と住宅扶助で、その他は必要に応じて支給されます。


加算制度について
特定の条件に該当する場合、以下の加算が受けられます。
- 母子加算:ひとり親世帯に支給
- 児童養育加算:子どもを養育している場合
- 障害者加算:障害のある方がいる世帯
- 介護施設入所者加算:介護施設に入所している場合
- 在宅患者加算:在宅で療養している場合
- 妊産婦加算:妊娠中または出産後の女性
- 冬季加算:11月から3月に暖房費として支給
- 介護保険料加算:介護保険料相当額
これらの加算により、個々の状況に応じた支援が受けられる仕組みになっています。
働いていても生活保護は受けられる?【収入がある場合】

収入がある場合の計算方法
パートやアルバイトで働いている場合でも、収入が最低生活費に満たなければ生活保護を受けられます。

例:東京23区の単身者で月収8万円の場合
- 最低生活費:約130,000円
- 月収:80,000円
- 基礎控除など:約15,000円(収入から控除)
- 生活保護費:約65,000円
つまり、月収8万円+生活保護費6.5万円で、合計約14.5万円で生活することになります。

勤労控除の仕組み
働いて得た収入には、必要経費(交通費など)や基礎控除が適用され、全額が収入として計算されるわけではありません。これは就労意欲を促進するための制度です。
生活保護の申請方法【東京での手順】

申請窓口はどこ?
生活保護の申請は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で行います。

- 東京23区:各区の福祉事務所
- 市部:各市の福祉事務所
- 住居がない場合:現在いる場所の福祉事務所
まずは相談から始めることをおすすめします。

相談だけでも可能ですし、制度の詳しい説明を受けられます。
申請に必要な書類
申請時には以下の書類を用意するとスムーズです。

ただし、書類が揃っていなくても申請は可能です。
基本的な書類
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 印鑑
- 預貯金通帳(世帯全員分、最新まで記帳済み)
- 家賃がわかる書類(賃貸借契約書など)
- 収入がわかる書類(給与明細、年金証書など)
- 資産がわかる書類(不動産、生命保険、自動車など)
申請から支給までの流れ
- 福祉事務所で相談:生活状況や制度について説明を受ける
- 申請書の提出:必要事項を記入して提出
- 調査:ケースワーカーによる家庭訪問、資産・収入調査
- 審査:原則14日以内(最長30日以内)に決定
- 決定通知:保護開始または却下の通知
- 保護費の支給:開始決定後、毎月3日頃に支給(東京の場合)
申請が受理されれば、申請日に遡って保護費が支給されます。

東京で生活保護を受けるための条件

4つの基本要件
生活保護を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
1. 資産の活用 現金、預貯金、不動産、自動車などの資産がある場合は、まず生活費に充てることが原則です。ただし、居住用の持ち家は保有が認められる場合があります。
2. 能力の活用 働ける能力がある場合は、その能力を活用して働くことが求められます。病気や障害で働けない場合は、医師の診断書などで証明します。
3. 他の制度の活用 年金、雇用保険、児童扶養手当など、利用できる他の社会保障制度があれば、まずそれらを活用します。
4. 扶養義務者の扶養 親、子、兄弟姉妹などの扶養義務者からの援助が可能な場合は、それが優先されます。ただし、親族に相談してからでないと申請できないというわけではありません。

東京23区の生活保護の実態

受給世帯が多い区
生活保護受給世帯数が多い区は足立区、江戸川区、板橋区、大田区、練馬区となっています。
これらの区は人口も多いため、受給世帯数も多くなる傾向があります。
一方、少ない区は千代田区、中央区、港区、文京区、目黒区です。
保護率でみた実態
総世帯数に占める生活保護世帯の割合では、台東区が最も高く、高齢化と貧困度の相関が見られるという特徴があります。
生活保護を受けた後の生活

ケースワーカーとの関係
生活保護を受給すると、担当のケースワーカーが配置されます。ケースワーカーは月に1回程度の家庭訪問を行い、生活状況の確認や自立に向けた支援を行います。


守るべきルール
- 収入があった場合は必ず申告する
- 住所や世帯構成に変更があった場合は届け出る
- ケースワーカーの指導・指示に従う
- 就労可能な場合は求職活動を行う
- 医療機関は指定された医療機関を利用する
支給日について
東京では原則として毎月3日が生活保護の支給日です。3日が土日祝日の場合は、前営業日に支給されます。
また、年末年始やゴールデンウィークなどの大型連休前には、支給日が変更になる場合があります。

よくある質問

Q: 借金があると生活保護は受けられない?
A: 借金があっても申請は可能です。ただし、保護費を借金返済に充てることはできないため、法テラスなどで債務整理を行うことが推奨されます。

Q: 持ち家があると受けられない?
A: 居住用の持ち家は、資産価値やローンの有無によって保有が認められる場合があります。個別に相談が必要です。


Q: 車は処分しなければならない?
A: 原則として処分が必要ですが、障害者の通勤・通院など、特別な事情がある場合は保有が認められることがあります。

まとめ:東京での生活保護受給のポイント

東京で生活保護を受給する場合、23区では単身者で月額約13万円、2人世帯で約18万円が標準的な支給額です。級地制度により、同じ東京都内でも地域によって金額は異なります。
生活保護は憲法で保障された国民の権利です。生活に困窮している場合は、ためらわずに最寄りの福祉事務所に相談しましょう。
相談・申請のポイント
- 書類が揃っていなくても相談・申請は可能
- 住む場所がなくても申請できる
- 親族に相談してからでないと申請できないということはない
- 働いていても収入が最低生活費に満たなければ受給可能
生活保護制度は、一時的に生活に困った方が再び自立した生活を送れるようになるまでの支援制度です。
必要な支援を適切に受けることで、生活の立て直しを図ることができます。
困ったときは一人で抱え込まず、まずは福祉事務所に相談することから始めてみてください。

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