生活保護の受給を開始すると8つの扶助を受けることができます。
その8つの扶助の中に医療扶助と言う扶助があり、この医療扶助により、診察代、薬代、入院代、手術代など、医療に掛かるあらゆる費用が支給されます。
医療扶助の場合「支給される」とは言っても、毎月決まった日に支給される生活扶助費等とは異なり、生活保護受給者の手元にお金として支給されるわけではありません。
現物支給として、(サービスの提供)されます。
つまり無料(タダ)で病院に通院することができるんです!!
例えば生活保護受給者がガンになった場合の手術代等の医療費も全て無料になります。
しかし、ある特定の条件を満たしてしまうと、福祉事務所から医療扶助は支払われず、生活保護受給者が医療費を自己負担しなければならなくなる場合があります。
そこで、このページでは、どういう場合に自己負担が発生するか?自己負担が発生した場合の負担額はいくらになるの?等について説明したいと思います。
月々の収入が生活保護費を上回る場合に自己負担が発生する
月々の生活保護費は支給せず、医療費のみ生活保護費から支給する「医療保護」という制度はなくなりました。
しかし、医療費を含めると世帯の収入が最低生活費以下となり、生活保護の条件を満たすような場合は、医療扶助のみ支給となるため、実質的に医療保護の世帯は現在もあります。
このような事実上の医療保護世帯は給与収入や年金収入などの世帯の収入が毎月決められた支給日に支払われる生活保護費を超えているため、毎月の生活保護費の支給はありませんが、病院の治療費については、その超えている金額を限度に自己負担が発生します。
自己負担額を超える残りの医療費についてだけ、医療扶助から支払われます。
医療費7万円-自己負担額3万円=医療扶助から支給される医療費4万円となり、この例では、3万円は生活保護受給者自身が支払う必要があります。
残りの4万円分の医療費ついては、医療扶助が支給されるため、生活保護受給者自身が支払う必要はありません。
入院時に個室を利用した場合の差額ベッド代は自己負担になる
生活保護受給者が入院した場合の医療費も医療扶助から支給されます。
そのため、「医療に掛かるお金は全部生活保護費から出るから良いや」と勘違いして、安易に個室を要望する生活保護受給者も多いですが、絶対に個室を選んではいけません!
なぜなら個室を選択した場合の差額ベット代については、医療扶助の対象外とるからです。
そのため、差額ベット代については、生活保護受給者の自己負担となり、全額病院から直接請求されます。
例えば1日7,000円の個室に5日入院した場合、35,000円は自己負担となるため、月々の生活保護費から捻出しなければいけません。
病院側から「個室しか空いていない」と言われて個室を利用する場合は、本来、病院側が差額ベット代を負担する必要があります。
そのため、病院側から入院日を指定されて、「その日は個室しかない」と言われた場合、普通は病院側が差額ベット代を負担しなければいけません。
しかし、入院日を病院側が指定したとしても、緊急に入院が必要な場合以外は、後日に入院をずらすことができたのに、患者側が、その日に入院することを希望したと見なされ、差額ベット代を請求されることもあります。
そのため「個室しか空いていない」と言われたときも、その差額ベット代をどちらが負担するのかキチンと確認しましょう。
国民健康保険の保険給付対象外の場合は自己負担となる
国民健康保険の保険給付対象外の医療サービスを受ける場合、全額自己負担となります。
国民健康保険の保険給付対象外の医療サービスとはなにか?と言いますと、例えば放射線治療の「陽子線治療」や「重粒子線治療」の他、「内視鏡手術支援ロボット(ダビンチ)」による患部の切除手術など、いわゆる先進医療と言われるものは、国民健康保険のサービス対象外のため、医療扶助は支給されず、もしも受給する場合は全額自己負担となります。
とは言え、先進医療と言えば聞こえは良いですが、先進医療とは要するに国がまだ認可していない危険な医療行為であり、非常にリスクの高い治療法であるため、受ける必要もありません。
第三者行為の場合は全額自己負担となる
国民健康保険の保険給付対象外になる治療は、いくつかあるんですが、よくあるケースはケンカや事故などの、いわゆる第三者行為が原因によるケガの治療を受ける場合です。
ケンカや事故が原因の怪我でも医療費は全額生活保護費から出ると勘違いされている方もいますが
残念ながら生活保護費からは出ません。
ケンカが原因のケガだと、生活保護費から出ないため、嘘をついて受診する場合もありますが、医者はそういう嘘は見抜きます。
そのため、当たり前ですが、ケンカ等はしないように気を付けましょう。
なお、事故の被害者になった場合は、生活保護費からは医療費は出ませんが事故の加害者が加入している保険会社に医療費の請求はいくため、医療費の心配をする必要はありません。
受診する病院が指定医療機関ではない場合は全額自己負担となる
指定医療機関ではない病院で受診をしてしまった場合は、医療費が支給されず全額自己負担となります。
医療扶助を受ける場合、基本的に医療券を発行してもらってから受診をすることが原則ですが、救急搬送などの場合や福祉事務所が休みの日に受診する場合もあります。
このような場合、例外として受診後に医療券を発行してもらいます。
夜間休日医療センターは当然指定医療機関なので、心配いりませんが、土曜日に病院を受診した場合が問題です。
病院側も指定医療機関ではないと説明してくれると思いますが、それでも受診したいと言って受診した場合などは、医療扶助は支給されないため生活保護受給者が医療費を自己負担しなければいけません。
しかも、生活保護受給者の場合、国民健康保険等に加入していないため、医療費の負担割合が3割ではなく、医療費の10割が請求されてしまいます。
そのため自己負担するこたがないように初めて受診する病院に行く場合は指定医療機関かどうか診察前に必ず確認しましょう。
まとめ
生活保護受給者は、基本的に無料(タダ)で病院を受診できますが、完全無料と言うわけではなく、自己負担する場合もあります。
上記で紹介したようなケースに該当してしまうと、ただでさえギリギリの生活保護費の中から医療費を捻出しなければならなくなり、かなり生活が苦しくなってしまうので、医療費を自己負担することがないように十分に気をつけましょう。
その他、生活保護の支給関係にについては、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/hogohi/