「生活保護を受けたいが、手続きがわからない」「どこに行けばいい?」「必要な書類は?」生活に困窮し、生活保護の申請を検討している方の多くが、手続きについて不安や疑問を抱いています。
生活保護の申請手続きは、福祉事務所への相談から始まり、申請、調査、決定、支給開始まで、通常2週間~1か月程度かかります。厚生労働省の統計によれば、年間約25万件の生活保護申請があり、そのうち約80%が認定されています。手続き自体は複雑ではありませんが、適切な準備と理解が必要です。
本記事では、生活保護の申請手続きの全体の流れ、必要書類、各段階での注意点、さらには申請から受給開始までの期間まで、生活保護法と実務に基づいて徹底解説します。
この記事でわかること
- 生活保護申請の手続きの流れ(7ステップ)
- 必要な書類と準備するもの
- 福祉事務所での申請の具体的な方法
- 調査の内容と期間
- 申請から受給開始までにかかる期間
- 手続きでよくある質問と対処法
生活保護の手続きの全体の流れ(7ステップ)

生活保護の申請から受給開始までの流れを、7つのステップで説明します。
ステップ1:福祉事務所への相談
まず福祉事務所に行く 生活保護の申請は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所で行います。

福祉事務所の場所
- 市役所、区役所、町村役場の中にあることが多い
- 「福祉課」「生活援護課」などの名称
相談の目的
- 生活保護を受けられる可能性があるか確認
- 必要な書類や手続きの説明を受ける
- 申請の意思を伝える
事前予約 福祉事務所によっては、事前予約が推奨される場合があります。電話で確認しましょう。
所要時間 初回相談は、30分~1時間程度。
ステップ2:申請書の記入・提出
申請の意思表示 「生活保護を申請したい」と明確に伝えます。
重要 「相談」と「申請」は異なります。相談だけでは申請にならないため、必ず「申請したい」と明言してください。
申請書の記入 福祉事務所で、生活保護申請書に必要事項を記入します。
記入内容
- 氏名、生年月日、住所
- 世帯構成
- 資産・収入の状況
- 申請理由
申請書の提出 記入した申請書を、福祉事務所に提出します。
申請日 申請書を提出した日が「申請日」となります。保護費は、この申請日から支給されます(遡及支給)。
ステップ3:必要書類の提出
申請書と一緒に、または後日、以下の書類を提出します。
本人確認書類
- 運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など
資産に関する書類
- 通帳のコピー(すべての口座)
- 不動産の登記簿謄本(所有している場合)
- 生命保険の証券(契約している場合)
- 自動車の車検証(所有している場合)
収入に関する書類
- 給与明細(働いている場合)
- 年金通知書(年金を受給している場合)
- その他の収入証明
その他
- 家賃の契約書
- 障害者手帳、療育手帳(所持している場合)
- 病気の診断書(必要に応じて)
揃わない場合 すべての書類が揃わなくても、申請は受理されます。後日提出でも構いません。
ステップ4:調査(家庭訪問・資産調査)
福祉事務所(ケースワーカー)が、以下の調査を行います。

家庭訪問 ケースワーワーカーが、申請者の自宅を訪問します。
訪問の目的
- 居住実態の確認
- 生活状況の確認
- 資産の確認
訪問時期 申請から数日~1週間程度で訪問されることが多いです。

資産調査 福祉事務所が、金融機関に照会し、預貯金などの資産を調査します。
収入調査 勤務先、年金事務所などに照会し、収入を調査します。

扶養照会 親族(扶養義務者)に対して、扶養の可否を照会します。

2021年の運用改善 DV被害、虐待歴、長年音信不通などの場合、扶養照会が省略されることがあります。
調査期間 通常、2週間~3週間程度。
ステップ5:保護の決定
調査が完了すると、福祉事務所が保護の可否を決定します。
決定の通知 「保護開始決定通知書」または「保護申請却下通知書」が郵送されます。
決定期間 生活保護法第24条により、申請から原則14日以内(特別な理由がある場合は30日以内)に決定されます。
保護が認められる場合 保護開始決定通知書に、以下が記載されます。
- 保護費の金額
- 支給開始日
- 担当ケースワーカーの氏名
保護が認められない場合 却下理由が記載された通知書が送付されます。
ステップ6:保護費の支給開始
支給開始日 申請日から保護費が支給されます。
例
- 申請日:1月10日
- 決定日:1月25日
- 支給額:1月10日~31日分(22日分)
支給方法
- 銀行振込(口座がある場合)
- 現金支給(口座がない場合)
支給日 自治体により異なりますが、通常、毎月1日~5日頃。

ステップ7:定期的な面談・報告
保護が開始された後も、定期的にケースワーワーカーとの面談や報告が必要です。
家庭訪問 ケースワーカーが、定期的に自宅を訪問します。
頻度
- 新規受給者:月1回程度(最初の数か月)
- 単身世帯:年2~4回程度
- 高齢者世帯:年1~2回程度
収入申告 収入があった場合、速やかに申告します。

生活状況の報告 世帯構成、住所、健康状態などに変化があれば報告します。
必要な書類と準備するもの

生活保護の申請に必要な書類をまとめます。
必須書類
1. 本人確認書類
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- パスポート
- 住民票
いずれか1点があれば十分です。
2. 印鑑 申請書に押印が必要な場合があります(自治体による)。
資産に関する書類
3. 通帳(すべての口座)
- 銀行、郵便局などの通帳
- 過去数か月分の記帳がされていることが望ましい
4. 不動産の登記簿謄本 土地や建物を所有している場合。

5. 生命保険の証券 生命保険に加入している場合。

6. 自動車の車検証 自動車を所有している場合。

7. その他の資産 株式、投資信託などの証明書。
収入に関する書類
8. 給与明細 働いている場合、直近数か月分。

9. 源泉徴収票 前年の収入証明。
10. 年金通知書 年金を受給している場合。

11. 雇用保険受給資格者証 失業手当を受給している場合。
その他の書類
12. 賃貸契約書 家賃の金額を証明するため。
13. 障害者手帳、療育手帳 所持している場合。

14. 診断書 病気や怪我で働けない場合、医師の診断書があると有利です。
15. 離職票 最近仕事を辞めた場合。
書類が揃わない場合
申請は可能 すべての書類が揃わなくても、申請は受理されます。
後日提出 揃わない書類は、後日提出でも構いません。
福祉事務所に相談 どの書類が必要か、福祉事務所に確認しましょう。

福祉事務所での申請の具体的な方法

福祉事務所で実際にどのように申請するか、詳しく説明します。
窓口での対応
受付 福祉事務所の受付で、「生活保護の申請をしたい」と伝えます。
担当者との面談 ケースワーカーまたは相談員と面談します。
聞かれること
- 現在の生活状況
- 困窮の理由
- 資産・収入の有無
- 家族構成
- 健康状態
正直に答える すべて正直に答えてください。嘘をつくと、後で問題になります。
申請書の記入
ケースワーカーの支援 申請書の記入は、ケースワーカーが手伝ってくれます。わからない箇所は質問してください。
記入内容
- 個人情報(氏名、住所、生年月日など)
- 世帯構成
- 資産・収入の状況
- 申請理由
- 希望する扶助(生活扶助、住宅扶助など)
申請の受理
申請書の提出 記入した申請書を提出します。
受理番号 申請が受理されると、受理番号が発行されます(自治体による)。
控えの受領 申請書の控えを受け取ります。
申請を断られた場合
「申請できない」と言われたら 稀に、福祉事務所が申請を受け付けないことがあります(いわゆる「水際作戦」)。

対処法
- 「申請する権利がある」と主張する
- 「申請書を提出したい」と明確に伝える
- それでも断られたら、法テラスや支援団体に相談
- 弁護士や議員に同行してもらう
法的には 生活保護の申請は、憲法第25条で保障された権利であり、福祉事務所は申請を受理する義務があります。

申請から受給開始までにかかる期間

生活保護の申請から、実際に保護費を受け取るまで、どれくらいかかるのでしょうか。
標準的な期間
法律上の期限 生活保護法第24条により、申請から原則14日以内に決定されます。
特別な調査が必要な場合 最長30日以内。
実際の期間
- 最短:1週間程度
- 標準:2~3週間
- 最長:1か月程度
期間の内訳
申請から家庭訪問まで 数日~1週間
調査期間 1~2週間
決定から通知まで 数日
通知から支給まで 数日~1週間
合計 約2~4週間
期間が長引く理由
調査に時間がかかる場合
- 扶養照会の回答待ち
- 金融機関からの回答待ち
- 資産の評価に時間がかかる
書類が揃わない 必要書類の提出が遅れている。
申請者と連絡が取れない 家庭訪問の日程調整ができない。
期間を短縮する方法
書類を早めに揃える 申請時に、できるだけ多くの書類を提出します。
家庭訪問に協力 ケースワーカーからの連絡に迅速に対応します。
質問に正直に答える 調査への協力が、早期決定につながります。
緊急の場合の対応

すぐにお金が必要な場合、どうすればよいでしょうか。
緊急小口資金(社会福祉協議会)
制度 社会福祉協議会が実施する、緊急時の貸付制度。
貸付額 10万円以内
条件
- 緊急かつ一時的に生計の維持が困難
- 返済の見込みがある
メリット
- 無利子
- 保証人不要
- 即日~数日で貸付
生活保護との関係 生活保護が決定された後、この借入金を返済する必要があります。
一時扶助(福祉事務所)
制度 福祉事務所が、緊急時に一時的に扶助を行う制度。
対象
- 住む場所がない
- 食べるものがない
- 医療が必要
内容
- 宿泊所の提供
- 食料の提供
- 医療券の発行
フードバンク
民間支援 NPO法人などが、食料を無料で提供する活動。
利用方法 各地のフードバンクに問い合わせ。
手続きでよくある質問と対処法

Q1: 住所がなくても申請できますか?
A: はい、住所がなくても申請できます。ホームレスの方は、現在いる場所を管轄する福祉事務所で申請してください。申請後、施設への入所や、アパートの契約を支援してもらえます。

Q2: 手続きに行く交通費がありません。
A: 福祉事務所に電話で相談してください。交通費を支給してもらえる場合や、職員が訪問してくれる場合があります。
Q3: 書類が全く揃いません。
A: 申請は、書類なしでも可能です。本人確認書類(運転免許証など)があれば理想的ですが、なくても申請できます。後日、少しずつ揃えていけば大丈夫です。
Q4: 申請を断られました。
A: 生活保護の申請は権利です。「申請書を提出したい」と明確に伝えてください。それでも断られたら、法テラスや生活保護支援団体に相談しましょう。
Q5: 決定が14日を過ぎても来ません。
A: 福祉事務所に問い合わせてください。調査が長引いている可能性があります。30日を超える場合、不当な遅延の可能性があるため、法テラスに相談してください。
Q6: 保護が却下されました。
A: 却下理由を確認してください。納得できない場合、都道府県知事に対して審査請求ができます。決定を知った日から3か月以内に、審査請求書を提出します。法テラスで弁護士に相談することをお勧めします。
Q7: 申請中の生活費がありません。
A: 社会福祉協議会の緊急小口資金、フードバンクなどを利用してください。また、福祉事務所に「一時扶助」を相談してください。
Q8: 親族に扶養照会されたくありません。
A: DV被害、虐待歴、長年音信不通などの事情がある場合、扶養照会を省略してもらえる可能性があります。ケースワーカーに事情を説明してください。


まとめ:手続きは難しくない。まず福祉事務所へ相談を

本記事の重要なポイントをまとめます。
手続きの流れ(7ステップ)
- 福祉事務所への相談
- 申請書の記入・提出
- 必要書類の提出
- 調査(家庭訪問・資産調査)
- 保護の決定
- 保護費の支給開始
- 定期的な面談・報告
必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 通帳(すべての口座)
- 収入証明(給与明細、年金通知書など)
- その他(賃貸契約書、障害者手帳など)
- 書類が揃わなくても申請可能
申請の方法
- 福祉事務所の窓口で「申請したい」と明言
- 申請書に記入(ケースワーカーが手伝ってくれる)
- 申請書を提出
期間
- 申請から決定まで:原則14日以内(最長30日)
- 実際には2~4週間程度
緊急の場合
- 社会福祉協議会の緊急小口資金
- 福祉事務所の一時扶助
- フードバンク
よくあるトラブル
- 申請を断られる → 「申請する権利がある」と主張
- 書類が揃わない → 後日提出でも可
- 扶養照会されたくない → 事情を説明し、省略を依頼
最後に
生活保護の申請手続きは、決して難しくありません。最も重要なのは、「福祉事務所に行き、申請の意思を伝えること」です。
書類が揃わなくても、お金がなくても、住所がなくても、申請は可能です。まずは福祉事務所に相談してください。ケースワーカーが、手続きをサポートしてくれます。
申請を躊躇している方、困っている方は、一人で抱え込まず、今すぐ行動してください。生活保護は、あなたの権利です。

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