「生活保護は私達が払った血税から支払われているのに、その生活保護費を使って贅沢するとはどういうことだ!?」と言う声はケースワーカーとして働いていると、市民の方から、よく頂きます。
では、果たして、生活保護受給者は贅沢をしてはいけないのでしょうか?生活保護費で贅沢をするのは図々しいのでしょうか?
そこで、このページでは、
・生活保護受給者のお金の使い道について制限があるのかどうか?
・生活保護受給者が贅沢をしたいと思ったらどうすれば良いのか?
・贅沢しても図々しいと思われないようにするにはどうすれば良いのか?
等について、詳しくご説明します。
生活保護でも贅沢して良い
生活保護受給者は日本国憲法第25条により健康で文化的な最低限度の生活が保障されています。
この「文化的な」と言うのキーワードで、衣食住に必要な生活費の他に、文化的な活動も行える金額を毎月の最低生活費として支給されています。
この支給金額の範囲内であれば基本的に生活保護受給者は自由に使うことができます。
例えば生活保護費で外食を楽しんでも良いですし、国内旅行・海外旅行に行くのも自由です。
その他、お酒を飲んでもタバコを吸っても良いですし、パチンコ等のギャンブルをしても良いです。
自分磨きのために習い事やジムに通っても良いですし、きれいになるためにエステに通っても良いんです。
上記のように、本当に生活保護費の範囲内であれば、どんな贅沢なことであろうと自由に使えます。
なお、海外旅行をした場合は、渡航費用については、返還しなければいけないルールがありますが、生活保護受給者から申告がない限りケースワーカーが知りようがないため、実質自由に行けています。
唯一制限されているものとしては、資産形成をする行為は禁止されています。
例えば各種保険に加入する、株や投資信託を購入するなどプラスの資産形成の他、借金返済に使うと言った、マイナスの資産を減らす行為は禁止されています。
生活保護受給者があまりに贅沢をして、月の途中で生活できないようなお金の使い方をしている場合であればケースワーカーは指導することができますが、キチンと毎月の生活保護費の範囲内でやりくりしているのであれば、どんな贅沢をしていたとしてもケースワーカーは何も言うことはありません。
生活保護費だけでは贅沢できない
生活保護制度に反感を持っている方は「制度上、贅沢をできたとしても慎ましやかに過ごすべきだ!」と思うかもしれません。
ただ、正直、生活保護費だけだと、そんなに贅沢はできません。
上のグラフの高齢者単身世帯を御覧ください。
単身世帯の支給金額は年齢により多少の差はありますが、大体このくらいの金額で、家賃を除いた生活扶助費は7万円前後くらいしかありません。
生活扶助の中には家具・家電の購入費用も含まれているため、食費や携帯代、光熱費等を支払うと、あまり贅沢できるほどのお金は残りません。
そのため、生活保護受給者の大半は贅沢なことはできていません。
しかし、生活保護受給者の中にはニュース等で反感が持たれるくらい贅沢ができる世帯がいるのも事実です。
では、次にどういう生活保護世帯が贅沢できるのかをご説明します。
母子世帯は贅沢ができる
生活保護制度は母子(父子)世帯に対する手当が非常い厚いです。
先程の最低生活保障水準をもう一度見てみましょう。
同じ3人世帯でも3人世帯(夫婦子1人世帯)と母子3人世帯では生活扶助費が約3万円も違います。
しかも、大人2人の方が食費等は掛かるはずなのに、母子3人世帯の方が多いです。
その理由は母子の場合、児童養育加算の他、母子加算も含まれるからです。
さらにさらに、上記の金額とは別に子どもが小中学校の場合は教育扶助、高校生の場合は生業扶助が支給されます。
母子3人世帯は教育扶助、生業扶助も加えると、一番支給金額が低い田舎の地域でも手取りで20万円を超えます。
医療費も医療扶助から全額支給されることを考慮すると、いかに自由に使えるお金があるのかがわかると思います。
本来は子どものためのお金ですが、このお金を旅行やライブ等、好きなことに使う生活保護受給者がおり、また、それを周りの人に自慢する人がいるため、市民の方から反感を持たれていると思われます。
実際ネット等で贅沢をしていると言われる生活保護受給者の話は母子(父子)世帯の方だと思います。
注意点としては母子(父子)世帯が贅沢できるのは子どもがいる間だけです。
子どもが高校を卒業すると同時に生活保護から抜けるため、生活保護費がガクッと引き下げられます。
生活水準を上げていると、その後の生活が、かなり厳しくなるため、気をつけましょう。
働いて給料収入を得ていれば贅沢ができる
もう一つ生活保護でも贅沢できる方法は働いて給料収入を得ることです。
給料収入の場合は基礎控除がつくため、給料分全額が生活保護費から減額されるわけではなく、手元にお金が残ります。
最低生活費10万円-(給料収入63,000円-基礎控除20,000円)=57,000円
支給額57,000円+給与収入63,000円=12万円
となり、月に使えるお金が20,000円増えます。
給料収入が増えれば、増えるほど、基礎控除も増え、手元に残るお金も増えるため、そのお金で贅沢をすることができます。
給料収入の場合は、母子世帯の場合と異なり、働き続ける限り贅沢することができますし、図々しいと言われても、キチンと働いているため、堂々と使うことができます。
図々しいと思われるのは仕方がない
「贅沢にお金を使うほんの少しの生活保護受給者のせいで、自分まで図々しいと言われるのは嫌だ!」と憤る生活保護受給者の方もいらっしゃいます。
気持ちは非常によくわかりますが、図々しいと思われるのは仕方がないと諦めるしかありません。
私たち公務員も市民の方から「私達の払った税金で給料がもらえるくせに!」と言われます。
民間企業の方たちもお客様から「お客様は神様だぞ!金を払っているんだからキチンとサービスをしろ!」と言われます。
つまり、どのような立場の人であっても、必ず文句を言われます。
そのため、「そういう人もいるから、まあ、しょうがない。」と開き直るしかありません。
まとめ
生活保護受給者は贅沢ができるのか?贅沢することは図々しいのか?についてご説明させていただきました。
生活保護でも最低生活費の範囲内であれば外食したり、旅行に行ったり贅沢をすることは可能ですが、母子世帯もしくは働いていないと、なかなか贅沢はできません。
生活保護でも、たまには贅沢をしたいと思うのであれば働くのが一番です。
そして、生活保護で贅沢をした場合に周りの目が気になる方もいると思いますが、全くもって気にする必要はありません。
自分から生活保護であることを伝えない限り、周りはあなたが生活保護を受給中であることを確認する術を持っていないのですから。
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