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生活保護と車の関係を徹底解説|所有できる条件と最新の利用制限緩和

収入・資産
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「生活保護を受けたいけど、車を手放さなければならないの?」「地方で車がないと生活できないのに、どうすればいいの?」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。

実は、生活保護受給中でも一定の条件を満たせば車の所有が認められるケースがあります。

本記事では、生活保護と自動車に関する基本ルールから、2024年12月の最新制度改正まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。

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生活保護で車が原則認められない3つの理由

生活保護制度では、原則として自動車の所有が認められていません。

その背景には明確な理由があります。

1. 車は資産価値のある財産とみなされる

生活保護法では、資産を保有している場合、まずその資産を処分して生活費に充てることが原則とされています。

車は売却すれば現金化できる資産として扱われるため、保有していると「自力で生活できる余裕がある」と判断されてしまうのです。

2. 維持費の負担が生活を圧迫する

車の維持には税金、保険料、ガソリン代、駐車場代、車検などの費用がかかりますが、これらは生活保護費に含まれていません。

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生活保護費は国が定めた最低限度の生活費であり、その中から車の維持費を捻出するのは非常に困難です。

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3. 事故時の賠償能力がない

車の所有が認められない理由の中で最も重要なのが、賠償能力がないことです。

万が一交通事故を起こした場合、生活保護受給者が多額の賠償金を支払うことは極めて困難であるため、所有が制限されています。

生活保護受給中でも車の所有が認められる4つのケース

原則として車の所有は認められませんが、厚生労働省の通知により、例外的に所有が許可される場合があります。

ケース1:通勤・通学に必要不可欠な場合

障害者が自動車により通勤する場合や、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通勤・通学のために自動車を必要とする場合、所有が認められる可能性があります。

特に地方では、バスや電車の本数が極端に少なく、自家用車がなければ通勤そのものが不可能な地域も多く存在します。

このような場合、福祉事務所が「車がないと就労による自立が困難」と判断すれば、保有が許可されます。

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ただし、車の維持費を補助してくれる親族の存在や、公共交通機関での通勤が本当に困難であることを証明する必要があります。

ケース2:通院に車が必要な場合

医師の診断により通院に車が必要とされた場合は、病院に通い診療を受けることは憲法25条で保障された生存権の一つですから、当然に尊重されます。

具体的には以下のような状況が該当します

  • 身体障害があり公共交通機関の利用が困難
  • 精神疾患により公共交通機関の利用が難しい
  • 定期的な透析など頻繁な通院が必要
  • 山間部や離島など医療機関へのアクセスが極めて悪い地域に居住

ケース3:事業を営むために必要な場合

個人事業主で仕事をする上で車が必要な場合は、車の所有を認められる可能性があります。

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例えば、自分でお店を経営していて物の運搬に車を使用する場合などが該当します。

建設業や運送業、訪問介護など、事業活動に車が不可欠な職種では所有が認められます。

ただし、事業目的で許可された車を日常生活の買い物などに使用することは、従来は不正利用とみなされていました(後述する2024年12月の制度改正で状況が変わりました)。

ケース4:概ね6か月以内に生活保護からの脱却が見込まれる場合

就労の目途が立っているなど、6か月程度で生活保護から脱却が見込まれると判断されれば、車が所有できる可能性があります。

この場合、車を処分するよりも保有している方が自立支援につながると判断されます。

ただし、高級車など資産価値が高い車の所有は認められず、必要最低限の性能を持った車であることが前提となります。

【重要】2024年12月の制度改正:日常生活での利用制限が緩和

生活保護における自動車利用について、大きな変更がありました。

従来の制限:認められた目的以外での使用は禁止

通院や通勤に使用する為に車の所有が認められているのであれば、それ以外の用途で使用してはなりませんでした。

例えば、通院用の車でスーパーに買い物に行くことさえ不正利用とみなされる可能性がありました。

2024年12月25日の通知:買い物などの日常利用が可能に

2024年12月25日から、通勤や通院のために保有が認められている場合は、日常生活に不可欠な買い物等での自動車の利用も、原則として認められることになりました。

この改正により、障害者や公共交通機関の利用が困難な地域に住む方が、より現実的に車を活用できるようになりました。

自立した生活を送るうえで、日常的な買い物や生活必需品の購入に車を使えることは大きな前進といえます。

所有できる車の条件と基準

車の所有が認められる場合でも、どんな車でもよいわけではありません。

排気量と資産価値の制限

一般的に、排気量が2,000cc以下で、資産価値が低い車種が求められます。

高級車や大型車の所有は認められません。

具体的には以下のような基準があります。

  • 軽自動車や小型車が望ましい
  • 外国製の高級車は不可
  • 年式が新しく資産価値が高い車は処分対象
  • 中古の実用車が認められやすい

ローン返済中の車は認められない

生活保護費はローンの返済にあてることができないため、所有している車がローンの返済中であっても、車を売却して返済にあてるように指導されます。

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車のローンが残っている状態では、生活保護の申請自体が認められない可能性が高いため、まずはローンを完済するか、車を売却してローンを清算する必要があります。

車の所有を認めてもらうための申請手続き

車の所有許可を得るには、適切な手続きが必要です。

福祉事務所への事前申請が必須

車の所有が生活必需品として認められる理由を明確に説明する必要があります。

さらに、車の購入や維持にかかる費用をどのように賄うかも詳細に説明することが求められます。

申請の際に準備すべき書類や情報

  • 通勤先や通院先の距離と公共交通機関の状況
  • 医師の診断書(通院が必要な場合)
  • 車の車種、年式、排気量、処分価値
  • 維持費の支払い計画(親族の支援など)
  • 就労による収入見込み

定期的な報告義務

許可が下りた後は、定期的に車の使用状況や維持費の支払い状況を報告し、不正がないことを確認するための監督が行われます。

運転記録の提出を求められる場合もあります。

不正利用が発覚した場合、生活保護の停止処分となる可能性があるため、許可された目的での使用を厳守することが重要です。

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絶対にやってはいけない違法行為

車に関して、以下のような行為は絶対に避けなければなりません。

名義変更による所有の隠蔽

所有していた車の名義を親族や知人に移した場合、受給者本人は車を所有していないことになりますが、発覚すれば受給者本人は保護の停止になる可能性や、それに加担した方も名義貸しと判断され、最悪詐欺罪などに捉えられる可能性があります。

名義を変えても実質的に使用している場合は不正とみなされます。

レンタカーやカーシェアの無許可利用

レンタカーやカーリースでも同様で、運転が禁止されている以上は利用できません。

生活保護受給者は賠償能力が無いため、事故などで賠償問題に発展した場合の支払い能力がありません。

地方のレンタカー業者では貸してくれる可能性もありますが、発覚した場合や事故を起こした場合、保護の停止処分となる可能性があります。

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他人の車の運転

生活保護受給者は、自己所有だけでなく、他の人の車を運転することも原則認められていません。

これも賠償能力の問題が理由です。

地方における生活保護と車の深刻な問題

地方では車が生活の足として不可欠ですが、制度との矛盾が生じています。

地方と都市部の保護率格差

地方は都市部に比べて保護率が低く、とりわけ母子世帯では、最も高い東京都(18.87%)と最も低い富山県(0.61%)とでは、31倍もの格差があります。

この背景には、「生活保護を受けるなら車を処分しなければならない」という誤解や、実際に車を手放せない事情により、本来は生活保護が必要な状況でも申請を諦めているケースが多いことがあります。

自動車保有率からみる地方の実情

自動車保有率は首都圏(64.4%)より地方圏(83.7%)の方が約20%高く、地方圏でも大都市(74%)、周辺部(92%)と都市規模が小さくなるほど保有率が高い傾向にあります。

地方では公共交通機関が減便・廃線され、車なしでは通院、買い物、通勤のいずれも困難な地域が増加しています。

生活必需品の普及率が70%程度であれば保有が認められるという原則からすれば、地方においては車も生活必需品として扱われるべき状況にあります。

制度改正への動きと今後の展望

生活保護における車の扱いについて、制度改正を求める動きが活発化しています。

日本弁護士連合会の意見書

2024年9月19日、日本弁護士連合会は「生活保護における自動車保有・利用の制限緩和等を求める意見書」を厚生労働大臣に提出しました。

意見書の主な内容

  • 処分価値が小さい生活用品としての自動車は、原則的に保有を認めるべき
  • ローン返済中の車も含めて保有を容認すべき
  • 保有容認目的に限定せず、日常生活上の使用を認めるべき
  • 維持費については生活保護の一時扶助として給付する制度の創設

2024年12月の部分的改正

2024年12月25日の厚生労働省通知により、保有が認められた車の日常生活での利用制限が緩和されました。

これは大きな前進ですが、車の保有自体を認める基準はまだ厳しいままです。

今後さらなる制度改正が期待されており、地方の実情に合わせた柔軟な運用が求められています。

まとめ:生活保護と車の関係を正しく理解しよう

生活保護受給中の車の所有について、重要なポイントをまとめます。

原則は所有不可だが例外あり

  • 通勤・通学、通院、事業、短期での自立見込みの4つのケースで所有可能
  • 2024年12月から日常的な買い物での利用も認められるようになった

所有が認められるための条件

  • 排気量2,000cc以下で資産価値の低い車
  • ローンは完済していること
  • 維持費を賄える収入や親族の支援があること
  • 福祉事務所への事前申請と定期的な報告

絶対にやってはいけないこと

  • 名義変更による所有の隠蔽
  • 無許可でのレンタカー利用
  • 許可された目的以外での使用(2024年12月の改正で一部緩和)

車の所有について悩んでいる方は、まずは管轄の福祉事務所やケースワーカーに相談しましょう。

また、生活保護問題対策全国会議などの支援団体も相談に応じています。

「生活保護を受けるなら車を諦めなければならない」というのは必ずしも正しくありません。

現行制度でも、正しく手続きを踏めば車の所有が認められるケースは多くあります。

諦めずに、まずは専門家に相談することをお勧めします。

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