厚生労働省は12月8日(金)、来年度の生活保護費見直しで、
食費や光熱費などに充てる生活扶助を最大1割程度、
引き下げる案が社会保障審議会の部会に提示されました。
生活保護の支給額を引き下げ案を提示した根拠
まず、勘違いしてはいけないのが、
いきなり支給額変更の話が出たわけではありません。
以前から生活保護の支給水準は5年に1度見直されており、
前回は平成25年度に支給水準が見直しされました。
そして
見直し=生活保護費の減少
ではありません。
見直しによっては、生活保護費の増額になる場合もあります。
ただ・・・
平成25年度は、物価下落を理由に、平均6.5%減少し、
平成30年度も最大1割減少する予定のため、2期連続の減少になる予定です。
今回厚労省が生活保護費の最大1割カットを提案した根拠は、
現在の生活保護費の支給額と低所得世帯の消費実態を比較した結果、
一般の低所得者世帯の消費支出より生活保護の支給金額の方が多いとの
調査結果が出たからです。
調査結果によると、大都市部に住んでいる
中学生と小学生のいる40代夫婦の生活保護の受給水準は最大13.7%、
65歳以上の夫婦の世帯も10%以上も低所得者世帯よりも多かったそうです。
低所得者=働いている人
よりも
生活保護受給者=働けない人
の支給金額の方が多いと働く気がなくなりますよね?
そのため、今回は生活扶助をカットするようです。
生活保護費1割削減の内容
生活保護費1割削減の主な内容は以下の2点です。
支給水準が高い大都市部を減額する
支給水準が高い大都市部に住んでいる生活保護世帯の
支給金額が主に削減されます。
変更後:約19万4千円
約11%減少予定
変更後:約7万3千円
約8%減少予定
母子加算が減額する
ひとり親家庭の場合に支給される
母子加算も今回の削減対象です。
変更後:平均1万7千円
約2割減少予定
母子加算の金額はお住まいの地域の級地基準によって
変わります。
大都市部に行けば行くほど、母子加算の支給金額も多かったので、
母子加算についても同様に、大都市部に住んでいる生活保護世帯の
支給金額が主に削減されることになりそうです。
※級地についての説明は、生活扶助のページに記載がありますので、
詳しくは、そちらをご覧ください。
今回の見直しで生活保護費が増額する場合も!?
「生活保護の支給額が最大1割削減されます!!」
と言う文字がトップで大々的に表示されているため、
「生活保護削減とは、けしからん!!」と
すぐに反応してしまいそうですが、ちょっと待ってください!!
今回の見直しによって、増額になる場合もあります!
地方都市の生活保護世帯は支給金額が増額する
今回の見直し内容について、詳細が出ているわけではありませんが、
地域、年齢、世帯によっては7%程度増額になるケースもあるそうです。
大都市部に住んでいる生活保護世帯は、
間違いなく減少対象になると思いますが、
地方都市に住んでいる生活保護世帯は、
生活保護費が増額する可能性があります!!
児童養育加算の支給期間延長
世帯に児童がいる場合、児童養育加算が支給されます。
この児童養育加算は基本的に児童手当の支給と連動しており、
児童養育加算の支給対象は現在、「中学生まで」となっています。
その支給対象者が、今回の見直しにより、「高校生まで」に
拡大することが検討されています。
そのため、児童がいる世帯の場合、今回の見直しによって
支給金額が増額する可能性があります。
いつから支給額が変更されるのか
本来であれば、平成30年度から削減されて、
支給額が変更になる予定です。
しかし、
・急激な減額を緩和するための措置
・数年間で段階的な削減
も検討中とのことです。
そのため、最終的には最大1割削減されるかもしれませんが、
少しゆとりはあるようです。
削減された生活保護費の使いみち
削減した分は生活保護世帯の高校生の進学支援といった
子どもの貧困対策などに振り向けるそうです。
以前、国会で生活保護家庭の子は大学行っちゃダメ問題が
取り上げられました。
今後は生活保護世帯の子どもも大学・専門学校への
進学率が増えるかもしれません。
進学することによって、就職率が上がり、生活保護脱却が
できるのであれば、良い使いみちなのでは?と思います。
最後に
今回の見直しについて、詳細がわからないので、
ハッキリとは言えませんが、良い見直しなのではないか?
と思います。
なぜなら、都市部と地方都市に住んでいる生活保護受給者の
格差が減少するからです。
以前から都市部に住んでいる生活保護世帯と
地方都市に住んでいる生活保護世帯の支給額の差が
あまりにも大きすぎると思っていました。
確かに住宅扶助に関しては、
都市部へ行けば行くほど高くなるのは
納得できます。
しかし、生活扶助に関しては、都市部でも安いお店が
たくさんあるのに、なぜこんなにも最低生活費に差が出るのだろう?と
疑問に思っていました。
今回の見直しで、その格差が是正され、そして
提案どおりに削減分を進学に対しての支援に使われるのであれば
良い見直しになるのではないかと期待しています。