「生活保護を受けているが少し貯金している」「貯金を隠しているがバレないだろう」「どうやってバレるの?」生活保護受給者の中には、こうした疑問や不安を抱えている方がいらっしゃいます。
結論から言えば、貯金は高確率でバレます。
福祉事務所には生活保護法第29条に基づく強力な調査権限があり、金融機関への一斉照会、マイナンバー制度、家庭訪問など、複数の経路で貯金の存在が発覚します。
実際、厚生労働省の統計では、毎年4万件以上の不正受給が摘発されており、その多くが資産隠しです。
本記事では、福祉事務所の調査方法、貯金が発覚する具体的な経路、発覚時のペナルティ、保有限度額、適正な資産管理まで、法律と実務に基づいて徹底解説します。
この記事でわかること
- 貯金が発覚する6つの主な経路
- 福祉事務所の調査権限と方法
- マイナンバー制度の影響
- 発覚時の3段階のペナルティ
- 保有できる資産の上限額
- 適正な資産管理の方法
なぜ貯金がバレるのか?福祉事務所の調査権限

生活保護法第29条の調査権限
生活保護法第29条では、福祉事務所に強力な調査権限を与えています。
第29条「保護の実施機関は、調査を行うため必要があるときは、官公署、日本年金機構若しくは共済組合等又は銀行、信託会社その他の者に対し、必要な報告を求めることができる」
この条項により、福祉事務所はすべての金融機関に対して照会を行うことができます。

調査の頻度
申請時 生活保護を申請すると、必ず資産調査が行われます。
受給中
- 定期的な調査:年1回程度
- 随時調査:不正の疑いがある場合
調査の範囲
- 全国のほぼすべての金融機関
- 過去数年分の入出金履歴
- 預貯金残高、定期預金、積立

マイナンバー制度の影響
2016年以降の変化 マイナンバー制度の導入により、福祉事務所の調査はさらに効率化されました。
マイナンバーでわかること
- 複数の金融機関にまたがる口座情報
- 税務情報(収入、所得)
- 社会保険情報
預貯金付番制度 2021年以降、金融機関の口座にマイナンバーを登録する制度が始まりました(任意)。今後、マイナンバーで預貯金を一元管理できるようになる見込みです。
貯金が発覚する6つの主な経路

貯金は、以下のような経路で発覚します。
経路1:金融機関への一斉照会
最も確実な発覚経路 福祉事務所が、全国の主要金融機関に一斉照会を行います。
照会される金融機関
- 都市銀行(三菱UFJ、三井住友、みずほなど)
- 地方銀行
- 信用金庫、信用組合
- ゆうちょ銀行
- ネット銀行(楽天銀行、PayPay銀行など)
- 農協(JAバンク)
わかること
- 口座の有無
- 預貯金残高
- 入出金履歴(過去数年分)
- 定期預金、積立の有無
「この銀行なら大丈夫」は通用しない 福祉事務所の照会は、ほぼすべての金融機関に及びます。「地方の小さな信用金庫なら調べられない」という考えは誤りです。

経路2:通帳の矛盾
家庭訪問時の通帳確認 ケースワーカーは、家庭訪問時に通帳の提示を求めることがあります。

矛盾の発見
- 大きな金額の引き出しがあるのに、使途が不明
- 生活費より明らかに少ない引き出し額
- 口座間の資金移動
例
- 月10万円の保護費を受給
- 通帳から月3万円しか引き出していない
- 差額の7万円はどこに? → 貯金の疑い
経路3:生活水準との不一致
不審な生活水準 保護費では買えないはずの物品があると、貯金の存在が疑われます。
具体例
- 最新の大型テレビ(20万円以上)
- 高級家具
- ブランド品の衣類
- 頻繁な外食
調査のきっかけ ケースワーカーが家庭訪問時に発見、または近隣住民からの通報。

経路4:匿名通報
第三者からの通報 福祉事務所には、匿名通報が年間相当数寄せられます。
通報者
- 近隣住民
- 元配偶者や親族
- 知人
通報内容の例
- 「あの人、生活保護なのに贅沢している」
- 「隠れて働いているのを見た」
- 「大金を持っているはずだ」
通報後の対応 福祉事務所は、通報を受けると調査を開始します。

経路5:タンス預金の痕跡
現金(タンス預金)も発覚する 「銀行に預けなければバレない」と考え、タンス預金をする方がいますが、これも発覚します。
発覚の理由
- 銀行口座からの多額の引き出し履歴
- 生活費との矛盾(引き出し額が多すぎる)
- 家庭訪問時の発見(稀)
具体例
- 月の保護費:13万円
- 月の生活費:約8万円
- 毎月10万円を引き出し
- 差額2万円 × 12か月 = 24万円のタンス預金の可能性

経路6:死亡時の遺品整理
最終的に必ず発覚 受給者が死亡した際、遺品整理でタンス預金が発見されることがあります。
その後の対応
- 遺族に対して、不正受給分の返還請求
- 遺産から相殺
このケースでは、本人は罰を受けませんが、遺族が負担を負います。

マイナンバーで何がわかるのか

マイナンバー制度により、福祉事務所の調査能力は大幅に向上しました。

マイナンバーで把握できる情報
1. 預貯金情報(今後さらに拡大予定) 現時点では、マイナンバーだけで直接すべての預貯金を把握できるわけではありませんが、預貯金付番制度により、今後は可能になる見込みです。
2. 所得情報 マイナンバーにより、税務署の所得情報と照合できます。
申告していない収入の発覚
- 就労収入があるのに申告していない
- 年金収入があるのに申告していない
3. 社会保険情報 社会保険の加入状況から、就労の事実が判明します。
マイナンバーがなくても調査は可能
重要な点 マイナンバー制度以前から、福祉事務所は金融機関に照会する権限を持っていました。マイナンバーは、その調査を効率化したに過ぎません。
結論 「マイナンバーがなければバレない」という考えは誤りです。

貯金が発覚した場合のペナルティ

貯金が発覚すると、非常に重いペナルティが科されます。
ペナルティ1:生活保護法第63条による返還請求
対象 資力(貯金)があるにもかかわらず保護を受けた場合
返還額 貯金を保有していた期間に受給した保護費の全額
具体例
- 保有していた貯金:80万円
- 保有期間:1年間
- 月の保護費:13万円
- 返還額:13万円 × 12か月 = 156万円
80万円の貯金で、156万円の返還を求められる可能性があります。

ペナルティ2:生活保護法第78条による費用徴収
対象 不正な手段により保護を受けた場合(貯金を隠していた場合)
徴収額 不正受給した保護費の全額 + 最大40%の加算金
具体例
- 不正受給額:156万円
- 加算金:156万円 × 0.4 = 62.4万円
- 合計徴収額:218.4万円

ペナルティ3:刑事罰
生活保護法第85条違反 不正な手段により保護を受けた者は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金
刑法第246条(詐欺罪) より悪質な場合、詐欺罪で起訴される可能性があり、10年以下の懲役
実際の刑事罰の例
- 貯金を隠して生活保護を受給
- 不正受給額:数百万円
- 起訴され、執行猶予付き判決または実刑判決

その他の影響
保護の廃止 貯金が発覚すると、その時点で生活保護は廃止されます。

社会的信用の喪失 不正受給の記録は福祉事務所に残り、再申請が困難になります。

保有できる資産の上限額

「貯金は一切できない」わけではありません。保有できる資産には上限があります。

保有限度額の目安
厚生労働省の運用では、最低生活費の約4~6か月分程度が保有限度額の目安とされています。
世帯人数別の保有限度額
- 単身世帯:約50万円
- 2人世帯:約80万円
- 3人世帯:約100万円
- 4人以上世帯:約130万円
注意点 これらは目安であり、自治体により異なる場合があります。
保有限度額を超えるとどうなるか
保護の対象外 保有限度額を超える資産がある場合、「生活に困窮していない」とみなされ、生活保護の対象外となります。
保護廃止 受給中に保有限度額を超えた場合、保護が廃止されます。
例外的に認められる貯蓄
1. 就労自立給付金のための貯蓄 就労により自立する際の準備金として、一定額の貯蓄が認められます(約10万円程度)。
2. 学資保険 子どもの教育費のための学資保険は、解約返戻金が約50万円までなら認められる場合があります。

条件 すべてケースワーカーへの申告が前提です。
適正な資産管理の方法

貯金を隠すのではなく、適正に資産を管理する方法を紹介します。
1. すべての資産を正直に申告する
最も重要な原則 すべての資産(預貯金、現金、生命保険など)を正直に申告することが最も重要です。
申告すべき資産
- 銀行口座の預貯金
- 郵便局の貯金
- 現金(タンス預金を含む)
- 生命保険の解約返戻金
- 株式、投資信託
- 貴金属、美術品(高価なもの)
2. 保有限度額を常に意識する
定期的な確認 毎月、自分の資産総額を確認し、保有限度額を超えないようにしましょう。
超えそうな場合
- 必要な物品を購入(家電の買い替えなど)
- ケースワーカーに相談

3. 月末に数万円残るのは問題ない
合理的な範囲 節約した結果、月末に数万円(5万円以下程度)残ることは、必ずしも問題視されません。
ただし、毎月大量に余り、貯金が積み上がっていくと問題視されます。
4. 一時扶助制度を活用する
突発的な出費には一時扶助 家電の故障、冠婚葬祭など、突発的な出費には一時扶助制度があります。
対象
貯金する代わりに、必要なときに一時扶助を申請しましょう。
5. 就労による収入増を目指す
最も確実な方法 就労により収入を増やすことが、将来への最も確実な備えです。
就労のメリット
- 基礎控除により、一部が手元に残る
- 就労自立給付金が貯められる
- 自立への道が開ける


「バレないだろう」という考えが危険な理由

発覚率は非常に高い
福祉事務所の調査能力
- 全国の金融機関への照会
- マイナンバー制度
- 家庭訪問
- 匿名通報
これらにより、貯金を隠し続けることは極めて困難です。
ペナルティが非常に重い
最悪のケース
- 保護費の全額返還(数百万円)
- 最大40%の加算金
- 刑事罰(懲役または罰金)
- 保護の廃止
- 社会的信用の喪失
貯金を隠すリスクは、あまりにも大きすぎます。
「少額なら大丈夫」は誤り
少額でも発覚する 「5万円、10万円くらいならバレないだろう」という考えは誤りです。通帳の矛盾や生活状況から、少額でも発覚します。
良心の呵責
精神的な負担 貯金を隠していることへの罪悪感や、発覚への不安は、精神的に大きな負担となります。
よくある質問(Q&A)

Q1: 数万円の貯金でもバレますか?
A: 金額にかかわらず、金融機関への照会により発覚する可能性があります。数万円でも、通帳の記録や生活状況から推測されます。金額の大小ではなく、申告していないことが問題です。
Q2: タンス預金ならバレませんか?
A: タンス預金も発覚します。銀行口座からの引き出し記録や生活費との矛盾から、タンス預金の存在が推測されます。また、家庭訪問時に発見される場合もあります。タンス預金も「資産」であり、申告する義務があります。

Q3: 親族の口座に預けたらバレませんか?
A: 親族の口座への入金記録から発覚する可能性があります。また、親族との関係が悪化した場合、親族から福祉事務所に通報されるリスクもあります。他人名義でも、実質的に自分の資産であれば申告が必要です。
Q4: 貯金がバレたら、必ず刑事罰を受けますか?
A: 必ずしも刑事罰を受けるわけではありません。悪質性や金額によります。少額で、初犯であれば、保護費の返還のみで済む場合もあります。ただし、高額(数百万円)や常習性がある場合は、刑事告発される可能性が高まります。
Q5: 今からでも自主申告すれば許されますか?
A: 自主的に申告すれば、悪質性が低いと判断され、刑事罰は免れる可能性があります。ただし、保護費の返還は求められます。一刻も早くケースワーカーに正直に申告することを強く推奨します。
Q6: 保有限度額以内なら貯金してもいいですか?
A: 保有限度額は「保有できる資産の上限」であり、「貯金の目標額」ではありません。生活保護費は日々の生活を維持するために支給されるものであり、貯蓄することは原則として認められていません。ただし、月末に数万円残る程度であれば、通常は問題視されません。
Q7: 調査は必ず行われますか?
A: 申請時には必ず資産調査が行われます。受給中も、年1回程度の定期調査、および不正の疑いがある場合の随時調査が行われます。「調査されないかもしれない」という期待は持つべきではありません。
Q8: マイナンバーを提供しなければ調査されませんか?
A: マイナンバーの提供は、生活保護申請の要件です。提供しないと申請が却下されます。また、マイナンバーがなくても、福祉事務所は従来の方法で金融機関に照会できるため、調査は行われます。
まとめ:貯金を隠すリスクは高すぎる。正直な申告が唯一の道

本記事の重要なポイントをまとめます。
貯金が発覚する6つの経路
- 金融機関への一斉照会
- 通帳の矛盾
- 生活水準との不一致
- 匿名通報
- タンス預金の痕跡
- 死亡時の遺品整理
福祉事務所の調査権限
- 生活保護法第29条に基づく強力な権限
- 全国の金融機関に照会可能
- マイナンバー制度で効率化
発覚時のペナルティ
- 保護費の全額返還
- 最大40%の加算金
- 刑事罰(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)
- 保護の廃止
保有限度額
- 単身:約50万円
- 2人:約80万円
- 3人:約100万円
- 4人以上:約130万円
適正な資産管理
- すべての資産を正直に申告
- 保有限度額を常に意識
- 一時扶助制度を活用
- 就労による収入増を目指す
最後に
「貯金がバレるか?」という疑問に対する答えは、「高確率でバレる」です。
福祉事務所の調査権限は強力であり、金融機関への一斉照会、マイナンバー制度、家庭訪問、匿名通報など、複数の経路で発覚します。
「少額なら大丈夫」「タンス預金ならバレない」「親族の口座に預ければ安心」これらはすべて誤った認識です。金額の大小にかかわらず、申告していない資産は発覚します。
発覚した場合のペナルティは非常に重く、保護費の全額返還、加算金、刑事罰のリスクがあります。貯金を隠すことのリスクは、あまりにも大きすぎます。
「将来が不安だから貯金したい」という気持ちは理解できます。しかし、貯金を隠すという方法は、結局は自分を苦しめることになります。
正直にケースワーカーに相談すれば、就労自立給付金、一時扶助、社会福祉協議会の支援など、正当な方法で将来に備えることができます。
今、貯金を隠している方は、一刻も早く自主申告してください。発覚する前に正直に申告すれば、悪質性が低いと判断され、刑事罰を免れる可能性があります。
正直な申告が、唯一の、そして最善の道です。

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