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生活保護法29条に基づく資産調査とは?福祉事務所が行う調査の目的と内容を徹底解説

収入・資産

生活保護を申請すると、まず最初に行われるのが資産調査(資産の保有状況を確認する調査)です。

これは「生活保護法29条」を根拠としており、福祉事務所には申請者および世帯全員、さらには扶養義務者の資産を調査する権限が与えられています。

生活保護は“資産より先に生活保護を使うことはできない”という原則に基づいており、保有資産の状況によっては処分指導を受けたり、売却を求められたりします。

この記事では、
・資産調査の目的
・調査される内容
・自動車や土地家屋の取り扱い
・調査に応じないとどうなるのか

など、生活保護利用者が必ず知っておくべきポイントを、専門的にわかりやすく解説します。

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なぜ資産調査が必要なのか?調査の目的

資産調査の最大の目的は、「生活保護より先に活用すべき資産が無いかを確認するため」です。

生活保護制度には「資産活用の原則」があり、生活に利用できる資産がある場合は、その資産を生活費にあてるのが優先となります。

調査される主な資産には次のようなものがあります。

  • 自動車
  • 土地家屋(家・土地)
  • 預貯金
  • 保険解約返戻金
  • その他、収益が得られる資産

この記事では特に問い合わせの多い自動車、土地家屋の取り扱いについて詳しく解説します。

自動車の所有は原則NG:生活保護での扱い

生活保護制度では、自動車の所有・運転は原則として認められていません。

その理由は、「自動車は資産価値があり、売却すれば生活費に充てられる」と考えられているためです。

自動車を持っている場合の対応

自動車を所有したまま生活保護を受けることは原則できないため、福祉事務所から「処分指導(売却の指示)」が行われます。

売却後に得たお金は「収入」とみなされ、生活費として使用する義務 が発生します。

売却金額が大きい場合は、生活保護費の返還(過誤払い返還)が必要になることもあります。

例外:自動車が認められるケース

とはいえ、すべての場合で自動車が禁止されているわけではありません。

以下のような条件を満たす場合は、生活保護中でも自動車の所有・使用が認められます。

  • 一定の給与収入があり、仕事を続けるために自動車が必要
  • 公共交通機関が極端に少ない地域で生活に欠かせない
  • 障害や持病があり、通院に必要と認められる

詳しくはこちらの記事でも解説しています。
https://seikathuhogomanabou.com/zidousya/

土地や家の所有について:居住用かどうかで大きく異なる

土地家屋も重要な資産であり、生活保護では「どのように活用できるか」が必ず調査されます。

居住用の土地家屋の場合

現在住んでいる家や土地については、保有していても生活保護を受けられるケースが多くあります。

ただし、例外として資産価値が極めて高い場合は、売却やリバースモーゲージの利用を求められる ことがあります。

とはいえ、多くのケースで「居住用の家を売る必要はない」と判断されますので安心してください。

より詳しく知りたい方はこちら
https://seikathuhogomanabou.com/ietoti/

居住用でない土地家屋(空き家・空き地など)の場合

居住用ではない土地家屋は、資産価値の大小に関係なく売却手続きが必要です。

たとえ価値が低くても、「生活の維持に活用できる資産」と判断されるためです。

売却した場合の注意点

土地家屋を売却してお金が入ると、その金額は収入として取り扱われます。

場合によっては生活保護費の返還が発生するため、売却したらすぐ担当ケースワーカーへ報告することが必須 です。

報告を怠った場合は最悪不正受給とみなされ、徴収金として処理されてしまいます。

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福祉事務所の資産調査の内容とは?

福祉事務所が行う資産調査は、申請時だけでなく、生活保護受給中であれば いつでも行われます。
これは生活保護法29条の権限に基づいています。

自動車の調査内容

  • 所有者名
  • 車種
  • 年式
  • 購入時期
  • 購入価格
  • 使用者の状況(誰が使っているか)

自動車は定期的に調査されているため、所有者が変わった場合はすぐに福祉事務所に知られる仕組みになっています。

土地家屋の調査内容

  • 登記簿の確認
  • 共有名義の有無
  • 固定資産評価額
  • 地目・地積
  • 市場価値(売却可能かどうか)

こうした調査によって、「売却可能か」「活用できるか」を判断します。

資産調査に従わないとどうなる?最悪は生活保護の廃止

資産調査に応じない、虚偽申告をする、売却指導に従わないなどの行為は、生活保護制度の重大な違反行為にあたります。

福祉事務所は以下の流れで対応します。

  1. 口頭注意
  2. 文書指導
  3. 改善されなければ 生活保護の廃止

特に「資産を隠す」行為は重大な不正受給につながるため、絶対に避けましょう。

Q 担当ケースワーカーの指導指示に従わない場合どうなりますか?
Q  担当ケースワーカーの指導指示に従わない場合どうなりますか?A  最悪の場合、生活保護の停止又は廃止になります。生活保護法第二十七条を根拠に担当ケースワーカーは生活保護受給者に対して、 生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又...

まとめ:資産調査は生活保護制度を適正に利用するための大切な手続き

生活保護を受けるうえで、自動車や土地家屋などの資産を正直に申告し、福祉事務所の指示に従うことは非常に重要です。

・自動車は原則NG
・居住用家屋は認められることが多い
・居住用でない土地家屋は必ず売却
・売却したら必ずケースワーカーへ報告
・調査に従わないと廃止の可能性

これらを理解しておけば、生活保護の利用がスムーズに進み、トラブルを避けられます。

生活保護制度は「あなたの生活を守るための支援」です。

必要な調査に誠実に協力しながら、安心した生活を送っていきましょう。

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