生活保護を申請すると、各種調査が行われ、生活保護の条件を満たすと判断された場合、生活保護の支給が開始します。
その時に、生活保護開始決定通知書と一緒に生活保護受給者証が渡されることがあります。
この生活保護受給者証とは一体何なんでしょうか?どういう時に使うものなのか?また、生活保護受給者証紛失してしまった場合はどうなるのか?等、気になるところだと思います。
そこで、このページでは、生活保護受給者証に関するあらゆる疑問について、わかりやすくご説明します。
生活保護受給者証とは
生活保護受給者証とは、その名のとおり、生活保護を受給していることを証明するための書類です。
生活保護受給者証には
- 名前
- 住所
- 生年月日
- 年齢
- 生活保護受給者自身の認印
- 生活保護の受給開始日
- 生活保護受給中であることを証明する福祉事務所長の公印
等が記載されています。
では、次にどういう時に生活保護受給者証を使うのかについて、ご説明します。
休日・夜間・救急時など医療券がない時に使える
生活保護の受給が開始すると、8つの扶助を受けることができます。
その8つの扶助の中に医療扶助があり、この医療扶助により、生活保護受給者は診察、薬の処方、手術等、あらゆる医療行為を無料で受けることができます。
例えばガンになってしまった場合、残念ながら放射線治療等の先進医療を受けることはできませんが、その他の抗がん剤治療やガンの摘出手術等は無料で受けることができます。
この医療扶助を受ける場合、原則として、病院を受診する前に福祉事務所で医療券を発行してもらう必要があります。
しかし、休日や夜間に急に体調が悪くなって、病院に行かなければいけない時があります。
特に母子家庭等、小さい子どもがいる家庭の場合は、休日にケガをしたり、夜中になって病状が悪化したりすることが多々あります。
休日・夜間に病院に行かなければならない時、生活保護受給者証があれば生活保護受給者であることを証明することができるため、医療券がなくても病院を受診することができます。
後日、担当ケースワーカーに医療券の発行を依頼する必要がありますが、生活保護受給者証されあれば、どんな時でも病院を受診することができます。
生活保護費を窓口で受け取る時に生活保護受給者証を使う
最近は通帳振込をするように国・県から通知が来ているため、だいぶ数は減りましたが、いまだに月々の生活保護費を窓口支給していることがあります。
窓口支給をする際には、生活保護受給者ではない人に生活保護費を渡さないよう注意しなければいけません。
また、生活保護費の支給金額も世帯によってバラバラのため、別の世帯の生活保護費を間違えて支給しないように気をつけなければいけません。
自身が担当している世帯であれば、顔と名前が一致するため、間違いなく生活保護費を支給することができますが、担当が違う場合や、異動してきたばかりの新人ケースワーカーは生活保護受給者本人かどうかを確認することができません。
しかし、生活保護受給者証と生活保護受給者証に押印されている認印があれば、本人確認をすることができるため、支給相手を間違うことなく、生活保護費の支給を行うことができます。
生活保護受給者証は自治体によっては発行していない
生活保護費の窓口支給は減りましたが、休日・夜間等に病院に行く場合は生活保護受給者証があると、非常に便利です。
しかし、自治体によっては、生活保護受給者証を発行していない場合があります。
生活保護受給者証を発行しない理由は2つあります。
生活保護受給者証を発行しない1つ目の理由は、生活保護受給者証を作成するのにコストが掛かるからです。
生活保護受給者証の機能として、容易に偽造ができないこと、本人を特定できることの2つの機能が必要です。
生活保護受給者証を1度発行して終わりであれば良いのですが、生活保護も永続的に受給するものではないため、生活保護を辞めた人が不正に使うことがないように、生活保護受給者証の更新作業も必要ですし、紛失した際に再発行もしなければいけません。
生活保護受給者証1枚1枚の作成コストはそれほどではありませんが、全世帯に配布し、しかも更新や再発行も考えると、それなりのコストが掛かります。
生活保護受給者証を発行しない2つ目の理由は、生活保護受給者であることが誰が見ても一目瞭然でわかってしまうからです。
生活保護受給者証は、その人が生活保護を受給していることを確定づけるもののため、紛失して拾われた場合や病院等で提示した場合に、生活保護を受給していることが明らかになってしまいます。
生活保護を受給することは恥ずかしいことでも何でもありませんが、やはり世間の目は厳しいものですし、本人達もできれば周りに知られたくありません。
生活保護受給者証を発行することで、紛失等により「個人情報である生活保護を受給しているかどうか」が周りに知られる危険性が上がります。
以上2つの理由により、生活保護受給者証を採用していない自治体があります。
生活保護受給者証は身分証明書としては使えない
生活保護受給者証を「国民健康保険被保険者証」や「健康保険被保険者証」のように身分証明書として使えるかどうか?についてですが、残念ながら生活保護受給者証は身分証明書としては使えません。
生活保護受給者証が身分証明書として利用できない理由は規格が統一されていないからです。
上記のとおり、生活保護受給者証は自治体によっては発行していませんし、発行している場合も自治体によって様式がバラバラのため、それが本物の生活保護受給者証かどうかをお店側が判断することはできません。
また、生活保護受給者証を提示すると、生活保護を受給していることがお店の人にバレてしまいます。
最悪の場合、そこから生活保護受給者であることが広まってしまう可能性もあるため、生活保護受給者証はできるだけ人前に出さないように気をつけましょう。
生活保護受給者が身分証明証に使えるものとは
では、生活保護受給者が身分証明書を求められた場合はどうしたら良いのか?についてですが、一般世帯と同様に自動車運転免許証やマイナンバーカードを提示すれば良いです。
自動車運転免許証は持っていたら駄目なのでは?と思う方もいますが、生活保護受給者でも自動車運転免許証は、そのまま保持していて問題ありません。
むしろ、自動車運転免許証があった方が就職に有利ですし、特別な場合は生業扶助の技能習得費から自動車運転免許証を取るための費用も支出してくれます。
生活保護受給者が禁止されているのは、自動車・バイクの所有・利用です。
自動車・バイクを所有・利用しなければ、生活保護受給者は自動車運転免許証を身分証明書として利用できます。
自動車運転免許証がない場合はマイナンバーカードを身分証明書として使うことをオススメします。
今ならマイナンバーカードを発行することで、マイナポイントをもらうことができます。
このマイナポイントは現金と同様に使うことができますが、収入認定の対象とはなりません。
マイナンバーカードを発行してマイナポイントをもらうために、多少の手続きの手間は掛かりますが、身分証明書と同時に自由に使える電子マネーがもらえるため、自動車運転免許証を持っている人でもマイナンバーカードは、かなりオススメです。
生活保護受給者証を紛失したらどうなる?
生活保護受給者証は身分証明書としては使うことができないため、紛失して、誰かに拾われたとしても、消費者金融でお金を借りられる等と言った悪用はできません。
また、生活保護受給者証を紛失してしまった場合は、ケースワーカーに言えば、すぐに再発行をしてもらうことができます。
そのため、生活保護受給者証を紛失してしまっても、特段支障はありません。
唯一問題があるとすれば、拾われた人に生活保護受給中であることがバレてしまうことくらいです。
まとめ
生活保護受給者証とはどういうものなのか?について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 生活保護受給者証は生活保護を受給中であることを証明するもの
- 生活保護受給者証があれば休日・夜間等、医療券が発行できなくても病院を受診することができる
- 最近は銀行振込に切り替わっているが、生活保護費を窓口で受け取る場合にも生活保護受給者証を使う
- 自治体によっては生活保護受給者証を発行していない自治体もある
- 生活保護受給者証自体は身分証明書としては使えない
- 生活保護受給者が身分証明する場合は一般世帯と同様に自動車運転免許証やマイナンバーカードを使う
- 生活保護受給者証を紛失してしまっても、すぐに再発行してもらえる
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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