生活保護を受給すると8つの扶助を受けることができます。
その8つの扶助の中に医療扶助があり、この医療扶助を利用することで、生活保護受給者は診察代、薬代、手術代等、医療に関するあらゆるサービスを無料で受けることができます。
この医療扶助を受けようとする場合、手順としては、まずは福祉事務所に行って医療券を発行してから病院に行かなければいけません。
しかし、休日・夜間など福祉事務所が空いていない場合、緊急の場合、足が不自由で福祉事務所まで行けない場合など、病院には行かないといけないけれど、医療券を取りに行けない場合があります。
そこで、このページでは、医療券なしで病院を受診する方法や医療券がない場合の医療費はどうなるのか?等について、わかりやすくご説明します。
休日・夜間・救急の場合は医療券なしでOK
生活保護受給者が一番気になるのは休日・夜間・救急等で病院に受診する場合も医療券が必要なのかどうか?ではないでしょうか?
結論から言いますと、休日・夜間・救急等、福祉事務所が空いていない場合や福祉事務所に行けない場合は医療券なしでも休日・夜間外来、救急外来を受診することができます。
医療券の有無は、あくまで医療扶助を病院に支払うための事務的な手続きでしかありません。
また、医療券がなければ医療扶助は受けられないと言う制限もありませんし、当たり前の話ですが、人命の方が優先されます。
後日、福祉事務所に出向くか連絡をして、医療券の発行を依頼すれば、それで事足ります。
そのため、生活保護受給者は医療券なしでも休日・夜間外来、救急外来を受診することができます。
また、休日・夜間・救急以外でも、単純に病院に受診する度に、わざわざ福祉事務所に行って医療券を発行してもらうのは手間ですし、非常に面倒だと思います。
そこで、下記では、休日・夜間・救急以外でも、生活保護受給者が医療券なしで受給できる方法について、ご紹介します。
1度行った病院は医療券なしで受診できる
生活保護受給者が一度医療券を持って行って受診した病院については、2回目以降の受診に医療券は必要がありません。
例えばA病院に行く際に一度医療券を発行してもらったら、再度A病院に行く場合は医療券なしでも医療扶助で受診することができます。
しかも、もしもA病院に週に1回、月に1回など、定期的に受診する場合は、A病院に関してはずっと医療券を再発行しなくても、例えその期間が1年でも10年でも生活保護を受給し続ける限りは、医療券なしで通院することが可能です。
ただし、一度医療券を持って受診した病院でも通院後、長期間通院しない場合は医療券の有効期限が切れてしまうため、再度福祉事務所に行って再発行してもらう必要があります。
ちなみに、有効期限が切れる期間については、病院側が判断するためマチマチで、2ヶ月で医療券が切れる病院もあれば6ヶ月間も有効にしてくれる病院もあるため、一概にいつ有効期限が切れるかはわかりません。
ちなみに久しぶりに通院した時に医療券の有効期限が切れていた場合でも、医療券が切れているからと門前払いをされることはありません。
以前のカルテに医療扶助が適用された記録が残っているため、医療券がなくても問題なく受診可能です。
医療券の有効期限が切れていた場合は、念のため受診後に担当ケースワーカーに電話連絡は忘れずにしておきましょう。
事前に福祉事務所に電話すると医療券なしで受診できる
病院に行く前に福祉事務所に電話して、どこの病院にいつ行くか伝えておくと、医療券なしでも受診することができます。
受診後に福祉事務所に電話して医療券を発行してもらう方法もありますが、それだと病院に電話連絡が行っていないため、本当に生活保護受給者かどうかの確認作業が入る分、病院で待たされる時間が長くなります。
そのため、初めての病院や一度行ってからしばらく行っていない病院を受診する場合は、病院に行く前に福祉事務所に電話を一本入れておくだけで、スムーズに事務手続きが済み、余計な待ち時間を過ごす必要はなくなります。
直接病院に行く場合もですが、福祉事務所に医療券を取りに行く場合も同様で、事前に電話を入れておくことで、すぐに医療券を発行してもらえるため、医療券が必要な病院に行く場合は電話一本入れておくことをオススメします。
生活保護受給者証があれば医療券なしで受診できる
自治体によっては、生活保護の受給が開始されると、生活保護を受給中であることを証明する「生活保護受給者証」を発行してくれます。
この生活保護受給者証を持っていれば、生活保護受給者であることが一目でわかるため、医療券なしでも病院を受診することができます。
それこそ休日・夜間・救急等の場合は生活保護受給者証を持っていけば、話が非常に早いです。
ただし、自治体によっては、生活保護受給者証を発行していない場合があります。
生活保護受給者証を発行しない理由は2つあります。
1つ目の理由は、生活保護受給者証を作成するのにコストが掛かるからです。
生活保護受給者証の機能として、容易に偽造ができないこと、本人を特定できることの2つの機能が必要です。
生活保護受給者証を1度発行して終わりであれば良いのですが、生活保護も永続的に受給するものではないため、生活保護を辞めた人が不正に使うことがないように、生活保護受給者証の更新作業も必要ですし、紛失した際に再発行もしなければいけません。
1枚1枚のコストはそれほどではありませんが、全世帯に配布し、しかも更新や再発行も考えると、それなりのコストが掛かるからです。
2つ目の理由は、生活保護受給者であることが誰が見ても一目瞭然でわかってしまうからです。
生活保護受給者証は、その人が生活保護を受給していることを確定づけるもののため、紛失して拾われた場合や病院等で提示した場合に、生活保護を受給していることが明らかになってしまいます。
生活保護を受給することは恥ずかしいことでも何でもありませんが、やはり世間の目は厳しいものですし、本人達もできれば周りに知られたくありません。
生活保護受給者証を発行することで、「個人情報である生活保護を受給しているかどうか」が周りに知られる危険性が上がるからです。
以上2つの理由により、生活保護受給者証を採用していない自治体があります。
そのため、生活保護受給者証を発行しない自治体で生活保護を受けている場合は、医療券を発行して行くか、もしくは事前に電話連絡を忘れないようにしましょう。
次に、生活保護受給者が医療券なしで受診した場合の病院の対応についてご紹介します。
医療券がなくても医療費を待ってくれる病院もある
生活保護受給者が医療券なしで受診した場合、平日の時間内であれば福祉事務所の問い合わせてくれるため、無料にしてくれます。
福祉事務所の時間外や休日・夜間に病院に受診した場合でも、生活保護受給者証を提示するなど、生活保護受給者であることがわかれば、無料にしてくれます。
特に定期的に通院している生活保護受給者の場合、休日・夜間の医師や看護師、医療事務担当者等が顔見知りである可能性が高く、生活保護受給者であることが判明するため生活保護受給者証がなくても無料にしてくれる可能性が高いです。
また、特に通院しているわけではなく、医師や看護師等に顔見知りがいなくても、生活保護を受給していることを説明すれば、医療券がなくても医療費を待ってくれるケースもあります。
医療費を支払った場合は後日返還してもらえる
大抵は生活保護受給者であることを説明した場合、医療費を待ってくれることが多いですが、中には医療費を請求されることがあります。
医療費を請求された場合は、素直に病院の指示に従い支払いましょう。
医療費を請求された場合の支払金額についてですが、一般世帯と同様に医療費の3割分だけ負担すれば良いため、そこまで負担は大きくありません。
本来であれば生活保護受給者の場合、国民健康保険に加入していないため、自己負担する場合は医療費の3割ではなく、10割負担になりますが、あくまで生活保護受給者かどうか確認できるまでの暫定的な取り扱いのため、医療費の3割分しか請求されません。
また、支払った医療費の3割分については、後日、生活保護受給者であることが確認できた場合は、返還してもらえますので、安心して下さい。
ただし、返還については、病院やケースワーカーが自宅まで届けてくれるわけではなく、生活保護受給者自身が直接病院に受け取りに行かなければいけませんので、その点だけ注意が必要です。
まとめ
生活保護受給者が医療券なしで受診する方法について、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
-
- 医療券なしでも休日・夜間外来、救急外来を受診することができる
- 一度行った病院は定期的に通い続ける限り医療券なしでも受診できる
- 一度行った病院でも長期間受診しなかった場合は再度医療券を発行してもらう必要がある
- 病院に行く前に福祉事務所に医療券の発行を電話依頼するだけでも良い
- 生活保護受給者証があれば医療券なしでも受診できる
- 自治体によっては生活保護受給者証を発行していないことがある
- 医療券がない場合、医療費の3割分を請求されることがあるが、後日、生活保護受給者であることが確認できたら返還してもらえる
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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