「生活保護が停止されると通知が来た」「停止と廃止の違いは?」「停止されたらどうすればいい?」生活保護の停止について、不安や疑問を抱いている方は少なくありません。
生活保護の「停止」とは、一時的に保護費の支給を止めることです。厚生労働省の統計によれば、年間約1万世帯が保護の停止を経験しています。停止は「廃止」とは異なり、一定期間後に再開される可能性があります。ただし、適切に対応しないと廃止につながるリスクもあります。
本記事では、生活保護が停止される主な理由、停止と廃止の違い、停止された場合の対処法、再開の手続き、さらには停止を予防する方法まで、生活保護法と実務に基づいて徹底解説します。
この記事でわかること
- 生活保護の停止とは何か(廃止との違い)
- 停止される主な8つの理由
- 停止期間中の生活への影響
- 停止から再開までの手続き
- 停止から廃止への移行を防ぐ方法
- 停止された場合の相談先
生活保護の停止とは?廃止との違い

停止の定義
生活保護の停止とは 一時的に保護費の支給を止めることです。受給資格自体は維持されており、停止の理由が解消されれば、保護が再開されます。
法的根拠 生活保護法第26条では、「保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなったときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない」と定められています。
停止と廃止の違い
停止
- 期間:一時的(通常、数か月~1年程度)
- 受給資格:維持される
- 再開:停止理由が解消されれば、比較的簡単に再開
- 通知:停止決定通知書が送付される
廃止
- 期間:永続的
- 受給資格:喪失する
- 再開:再申請が必要(審査あり)
- 通知:廃止決定通知書が送付される
重要な違い 停止は「一時的な中断」、廃止は「終了」です。停止の方が、再開しやすいと言えます。

停止の目的
1. 一時的な保護不要の状態への対応 一時的に収入があるなど、保護が不要な状態に対応します。
2. 指導の機会 受給者が義務を果たしていない場合、停止により改善を促します。
3. 廃止への猶予 すぐに廃止するのではなく、停止期間を設けることで、受給者に改善の機会を与えます。
生活保護が停止される主な8つの理由

生活保護が停止される理由は、主に以下の通りです。
理由1:一時的な収入の発生
状況 一時的に収入があり、その期間は保護が不要と判断される場合。
具体例
- 短期のアルバイト収入
- 臨時収入(賞与、手当など)
- 親族からの一時的な援助
停止期間 収入がある期間のみ(通常、1~数か月)
再開 収入がなくなれば、速やかに再開されます。


理由2:入院による長期不在
状況 長期入院により、自宅での生活が不要となる場合。
具体例
- 3か月以上の入院
- 生活扶助が不要(入院中は医療扶助のみ)
停止の内容 生活扶助と住宅扶助が停止。医療扶助は継続。
再開 退院後、速やかに再開されます。

理由3:行方不明
状況 受給者と連絡が取れず、居所が不明な場合。
具体例
- ケースワーカーの訪問に応じない
- 電話・手紙に反応がない
- 近隣住民も所在を知らない
停止期間 通常、数か月間
再開 連絡が取れ、居所が確認されれば再開。
廃止への移行 長期間(通常、6か月~1年)行方不明のままだと、廃止されます。
理由4:指示違反
状況 福祉事務所の指示に従わない場合。
具体例
- 就労指導を拒否
- 医療機関の受診指示を拒否
- 家計簿の提出を拒否
- 収入申告を怠る
法的根拠 生活保護法第27条(指示)、第62条(指示等に従う義務)
停止の手順
- 口頭での指導
- 文書での指示
- 指示違反への警告
- 停止の決定
再開 指示に従えば、再開されます。
理由5:調査への非協力
状況 福祉事務所の調査に協力しない場合。
具体例
- 家庭訪問を拒否
- 通帳の提示を拒否
- 収入・資産に関する質問に答えない
法的根拠 生活保護法第29条(調査)
停止期間 調査に協力するまで
再開 調査に協力すれば、再開されます。

理由6:保護辞退の申し出
状況 受給者自身が「保護を辞退したい」と申し出た場合。
具体例
- 就職が決まり、自立できる見込み
- 親族からの援助が得られる
停止の理由 辞退の意思確認のため、まず停止とする場合があります。
廃止への移行 辞退の意思が明確であれば、停止から廃止へ移行します。

理由7:資産・収入の状況確認中
状況 資産や収入に不審な点があり、確認中の場合。
具体例
- 高額な買い物をしている
- 申告していない収入の疑い
- 隠し資産の疑い
停止期間 調査が完了するまで(通常、1~3か月)
再開または廃止
- 不正がなければ再開
- 不正が確認されれば廃止、および返還請求


理由8:保護の必要性の再判定中
状況 定期的な見直しにより、保護の必要性を再判定している場合。
具体例
- 年1回の資産調査
- 健康状態の再評価
- 就労能力の再評価
停止期間 判定が完了するまで(通常、1~2か月)
再開または廃止
- 保護が必要と判断されれば再開
- 不要と判断されれば廃止

停止期間中の生活への影響

停止期間中、受給者の生活にどのような影響があるのでしょうか。
保護費の支給停止
最も大きな影響 保護費(生活扶助、住宅扶助など)が支給されません。
例外 入院中の停止の場合、医療扶助は継続されます。

家賃の支払い
住宅扶助が停止 停止期間中、住宅扶助が支給されないため、家賃が払えなくなります。
対処法
- 手持ちの現金で支払う
- 大家に事情を説明し、待ってもらう
- 福祉事務所に相談(一時扶助の可能性)

生活費の確保
収入がない場合 停止期間中に収入がない場合、生活費の確保が困難になります。
対処法
- 親族からの援助
- 社会福祉協議会の緊急小口資金
- フードバンク
医療費
停止の内容による
- 全面停止:医療扶助も停止、医療費は自己負担
- 部分停止(入院中など):医療扶助は継続、医療費は無料

受給者証の扱い
受給者証は有効 停止期間中も、受給者証自体は有効です。ただし、保護費は支給されません。

停止から再開までの手続き

停止された場合、どうすれば再開できるのでしょうか。
停止理由の確認
まず停止理由を確認 停止決定通知書に、停止の理由が記載されています。理由がわからない場合、ケースワーカーに確認しましょう。

停止理由への対応
理由別の対応
収入がある場合
- 収入が終了するまで待つ
- 収入終了後、すぐにケースワーカーに連絡

行方不明の場合
- ケースワーカーに連絡
- 居所を報告
- 家庭訪問に応じる
指示違反の場合
- 指示に従う
- 改善した旨をケースワーカーに報告
調査非協力の場合
- 調査に協力する
- 通帳を提示、質問に答えるなど
再開の申請
ケースワーカーに連絡 停止理由が解消されたら、すぐにケースワーカーに連絡し、再開を申請します。
必要な情報
- 停止理由が解消されたこと
- 現在の生活状況
- 収入・資産の状況
審査
福祉事務所の審査 再開の申請を受けて、福祉事務所が審査を行います。
確認事項
- 停止理由が本当に解消されたか
- 保護の必要性があるか
- 不正受給の有無
再開の決定
再開決定通知書 審査の結果、再開が認められれば、再開決定通知書が送付されます。
保護費の支給再開 通常、再開が決定された月から保護費が支給されます。

遡及支給 停止期間中の保護費は、原則として遡及支給されません。
停止から廃止への移行を防ぐ方法

停止が長期化すると、廃止につながるリスクがあります。
停止期間の目安
一般的な停止期間
- 短期:1~3か月
- 中期:3~6か月
- 長期:6か月~1年
廃止への移行 停止期間が1年を超えると、廃止される可能性が高まります。
定期的な連絡
ケースワーカーとの連絡を保つ 停止期間中も、定期的にケースワーカーと連絡を取り、状況を報告しましょう。
連絡内容
- 現在の生活状況
- 収入・資産の変化
- 就労活動の状況
- 健康状態
停止理由の早期解消
速やかに対応 停止理由を速やかに解消することが最も重要です。
例
- 指示違反 → すぐに指示に従う
- 調査非協力 → すぐに調査に協力する
- 行方不明 → すぐに連絡を取る
再開申請の準備
再開に必要な書類を準備 停止理由が解消されたら、すぐに再開申請できるよう、必要な書類を準備しておきましょう。
書類の例
- 収入証明書(収入がなくなったことの証明)
- 通帳のコピー
- 健康状態を示す診断書(必要に応じて)
停止を予防する方法

停止されないために、日頃から以下の点に注意しましょう。
1. 正直な申告
すべての収入・資産を申告 隠さず、すべての収入・資産をケースワーカーに申告しましょう。
申告すべき事項
- 就労収入
- 年金
- 親族からの援助
- 預貯金
- その他の資産

2. 指示に従う
福祉事務所の指示を守る 就労指導、医療機関の受診指示など、福祉事務所の指示には必ず従いましょう。
困難な場合 指示に従うことが困難な場合は、理由を説明し、ケースワーカーに相談してください。

3. 調査に協力
調査には積極的に協力 家庭訪問、通帳の提示、質問への回答など、調査には積極的に協力しましょう。
4. 連絡を絶やさない
定期的にケースワーカーと連絡 引っ越しや電話番号の変更があった場合、すぐにケースワーカーに連絡しましょう。

長期不在の場合 旅行や帰省などで長期不在になる場合、事前にケースワーカーに伝えましょう。

5. 生活上の変化を報告
変化があれば速やかに報告 収入、家族構成、住所、健康状態など、生活上の変化があれば、速やかにケースワーカーに報告しましょう。
生活保護法第61条(届出の義務) 受給者には、収入や資産の変化を届け出る義務があります。
停止に不服がある場合の対処法

停止決定に不服がある場合、以下の対処法があります。
1. ケースワーカーに説明を求める
まず確認 停止の理由や根拠について、ケースワーカーに詳しい説明を求めましょう。
誤解がある場合 誤解や事実誤認がある場合、証拠を示して説明します。
2. 福祉事務所の上司に相談
ケースワーカーで解決しない場合 福祉事務所の課長や所長に相談しましょう。
3. 審査請求
正式な不服申立て 停止決定に不服がある場合、都道府県知事に対して審査請求ができます。
期限 決定を知った日から3か月以内
手続き 審査請求書を提出します。弁護士や支援団体の支援を受けることもできます。
4. 法律相談
弁護士に相談 法テラスで無料法律相談を受けられます。
停止された場合の相談先

停止されて困っている場合、以下の機関に相談できます。
1. 福祉事務所
まず福祉事務所に相談 停止の理由を確認し、再開の方法を相談しましょう。
2. 社会福祉協議会
緊急小口資金 停止期間中の生活費として、社会福祉協議会の緊急小口資金(無利子の貸付)を利用できる場合があります。
上限 10万円程度
3. 法テラス
無料法律相談 生活保護受給者は、法テラスで無料法律相談を受けられます。
相談内容
- 停止決定の妥当性
- 審査請求の方法
- その他の法律問題
4. 生活保護支援団体
NPO法人など 生活保護受給者を支援するNPO法人や市民団体があります。
支援内容
- 相談
- 福祉事務所への同行
- 審査請求の支援
5. 議員
地方議員に相談 市議会議員、区議会議員などに相談し、福祉事務所への働きかけを依頼することもできます。

よくある質問(Q&A)

Q1: 停止されたら、すぐに廃止されるのですか?
A: いいえ、停止はあくまで一時的な措置です。停止理由が解消されれば、再開されます。ただし、停止期間が長期化すると(通常1年以上)、廃止される可能性が高まります。
Q2: 停止期間中の保護費は、後からもらえますか?
A: 原則として、停止期間中の保護費は遡及支給されません。ただし、停止が不当だったと認められた場合は、遡及支給されることがあります。
Q3: 停止と廃止、どちらが良いのですか?
A: 「良い」というものではありませんが、停止の方が再開しやすいと言えます。廃止されると、再度申請が必要で、審査も厳しくなります。

Q4: 行方不明で停止されました。連絡すれば再開されますか?
A: はい、速やかにケースワーカーに連絡し、居所を報告すれば、再開される可能性が高いです。ただし、長期間行方不明だった場合、審査が必要になることがあります。
Q5: 停止期間中も、医療は受けられますか?
A: 停止の内容によります。全面停止の場合、医療扶助も停止され、医療費は自己負担となります。入院中の停止の場合、医療扶助は継続されます。
Q6: 指示違反で停止されました。指示に従えば再開されますか?
A: はい、指示に従い、改善した旨をケースワーカーに報告すれば、再開される可能性が高いです。
Q7: 停止されたことを、他人に知られますか?
A: 福祉事務所の職員には守秘義務があり、本人の同意なく第三者に情報を漏らすことはありません。ただし、家賃が払えないなど、間接的に状況が知られる可能性はあります。
Q8: 停止されても、受給者証は使えますか?
A: 停止期間中も受給者証自体は有効ですが、保護費は支給されません。全面停止の場合、医療扶助も受けられないため、実質的には使えません。
まとめ:停止は一時的。速やかな対応で再開を

本記事の重要なポイントをまとめます。
停止の定義
- 一時的に保護費の支給を止めること
- 受給資格は維持される
- 廃止とは異なり、再開の可能性がある
停止と廃止の違い
- 停止:一時的、受給資格維持、再開しやすい
- 廃止:永続的、受給資格喪失、再申請が必要
停止される主な理由
- 一時的な収入の発生
- 入院による長期不在
- 行方不明
- 指示違反
- 調査への非協力
- 保護辞退の申し出
- 資産・収入の状況確認中
- 保護の必要性の再判定中
停止期間中の影響
- 保護費の支給停止
- 家賃が払えない
- 生活費の確保が困難
- 医療費(停止の内容による)
再開の手続き
- 停止理由の確認
- 停止理由への対応
- ケースワーカーに連絡
- 審査
- 再開の決定
停止を予防する方法
- 正直な申告
- 指示に従う
- 調査に協力
- 連絡を絶やさない
- 生活上の変化を報告
不服がある場合
- ケースワーカーに説明を求める
- 上司に相談
- 審査請求
- 法律相談
相談先
- 福祉事務所
- 社会福祉協議会
- 法テラス
- 生活保護支援団体
- 議員
最後に
生活保護の停止は、受給者にとって大きな不安です。しかし、停止はあくまで一時的な措置であり、適切に対応すれば再開できる可能性があります。
最も重要なのは、停止の理由を理解し、速やかに対応することです。
行方不明や指示違反など、自分に原因がある場合は、すぐに改善しましょう。停止が不当だと思う場合は、ケースワーカーに説明を求め、必要であれば審査請求や法律相談を検討してください。
停止期間が長期化すると、廃止につながるリスクがあります。停止されたら、一人で抱え込まず、すぐにケースワーカーや支援機関に相談してください。
適切な対応により、生活保護を再開し、安定した生活を取り戻しましょう。

コメント