うつ病や統合失調症など(以下、うつ病など)を持っている人に対するケースワーカーの
対応について正直、不信感を抱いている人は多いのではないでしょうか。
このページではうつ病などの精神疾患を理由に生活保護を受給している人達に対する
ケースワーカーの対応についてまとめています。
生活保護受給者にうつ病などの精神疾患の人が多いのはなぜ?
うつ病などの精神疾患をもっている人が生活保護を受給しているイメージが強いと
思います。イメージ通り、実際に多いです。
理由は、いくつかありますが、一番の要因は身体障害と比べて
精神障害は障害年金を受給しづらい点にあります。
障害年金を受給するためには納付要件とは別に障害要件を満たす必要があります。
精神障害の場合、この障害要件を満たすことが、難しいため
障害年金の受給条件を満たせないことが多いです。
結果、収入がないため生活保護の条件を満たし、受給者となります。
そもそも本当にうつ病なの?
どこでその情報を知りえたのかわかりませんが、よく生活保護の担当課に
このような問い合わせがあります。
「Aさんは、うつ病で働けないから生活保護を受給しているらしいけど、
あの人がうつ病なわけないでしょう!!」
確かに一見うつ病などではないような人は数多くいます。
実際、本当はうつ病ではないのかもしれません。
ただ、生活保護受給者の健康状態については、生活保護の受給を
開始する前はもちろん、受給開始後も定期的に病状調査を行って調べています。
その病状調査で担当医師が対象者の病状について、うつ病と
診断しているのであれば、その生活保護受給者は、たとえ健康そのもの
としか思えなくても、うつ病なのです。
病気のプロである医師がうつ病と診断しているのに病気に関して素人の
ケースワーカーがその診断結果を覆せるはずがありません。
最近は休みの日は活発なのに、仕事になると急にやる気のなくなる新型うつ病も
ありますので、それこそ病気かどうかは医師の診断結果に頼るしかありません。
働くことはできないの?
働くことができる健康状態かどうかの判断については医師の診断を参考にします。
最終的に働くことができるかどうかの判断はケースワーカーが行います。
しかし、それは他の条件が就労可でも就労不可にすることができるという意味であって
他の条件が就労不可なのに就労可にできるというわけではありません。
そのため「参考にします」と言っても医師が就労不可と判断した場合は
当然、ケースワーカーは就労指導をすることはできません。
ただし…医師はそれだけ病状調査の回答が就労可否を判断する際に重要であることを
認識していません。
あくまで複数ある意見のうちの一意見として考えています。
病状的に就労できるかどうかの判定をして欲しくて病状調査をしているのですが、
医師は、生活保護受給者の職歴等まで考慮して就労不可と判断している場合などがあります。
もし、この生活保護受給者は就労できるのでは?と思った場合は、医師に病状調査の
意図を伝えて、再調査を依頼すれば就労可と判断される可能性もあります。
ケースワーカーは回答に疑問をもった場合は医師にキチンと調査の意図を伝えましょう。
働くことができると判断された場合の指導について
うつ病などの精神疾患を持っている人でも、就労可と判断されることは
よくあります。
ただし、大抵の場合、「軽労働のみ」と条件がつきます。
軽労働のみなので、フルタイムでの勤務ではなく、パート・アルバイト等の
短時間労働や軽作業のみしか就労指導することができません。
そのため、仮に就労したとしても、生活保護を脱却できるほどの給与は見込めません。
生活保護を脱却できなくても就労できれば、その分、ケースワーカーは収入認定することができ、
生活保護受給者も自立に一歩近づくため、良いことなのですが、実際は就労しないことが多いです。
これは、うつ病などの精神疾患があるからと言うわけではなく、生活保護受給者全般に言えることですが、
ハローワークに通うなど、就労活動はするものの、何かと理由をつけて働かない人が多いです。
憲法で職業選択の自由をうたっているため、たとえ生活保護を受給していても仕事の強制は
できません。
就労活動さえキチンとしていれば、何年就労していなくても、ケースワーカーは何も
指導することができません。
①働いても働かなくても月々に使えるお金は、ほとんど変わらない。
②働けるのに働かなくても就労活動報告さえしていれば何のペナルティも課されない。
これらを何とかしなければ、自立しようという意志の高くない
生活保護受給者を自立させるのは難しいと思います。