「生活保護を受けているとクレジットカードは持てないの?」「既に持っているカードは解約しなきゃいけない?」「新しく作れる?」こうした疑問を持っている方は多いでしょう。
結論から言うと、生活保護制度ではクレジットカードの保有や利用は法律上禁止されていません。
既に持っているカードは引き続き使用でき、新規作成も可能です。
ただし、利用方法には注意が必要です。
分割払いやリボ払い、キャッシングは「借金」とみなされ、生活保護の趣旨に反します。

本記事では、生活保護受給者がクレジットカードを安全に使うためのルールと注意点を徹底的に解説します。
生活保護とクレジットカードの基本ルール

所持・利用は禁止されていない
厚生労働省監修の『生活保護手帳別冊問答集(令和4年版)』には、「クレジットカードの所持そのものを一律に禁ずることはできない」と明記されています。
法的な位置づけ
- 生活保護法にクレジットカード禁止の規定はない
- 所持しているだけで保護が打ち切られることはない
- 決済手段としての生活必需品とみなされる
クレジットカードは「借金」なのか
クレジットカードは「カード会社に一時的に代金を立て替えてもらう」という仕組みです。
カード会社に代金を返済する必要がある、という点が借金と似ているため、利用方法によっては問題になることがあります。
一括払いと借金の違い
- 一括払い:翌月に全額返済、利息なし → 多くの福祉事務所で黙認
- 分割払い・リボ払い:支払いを後に先延ばし、利息発生 → 借金とみなされる
既に持っているクレジットカードの扱い

解約する必要はない
生活保護の受給が決定しても、持っているクレジットカードを強制的に解約させられることはありません。
受給前からのカード
- そのまま使用可能
- 解約義務なし
- ただし、ケースワーカーへの報告は必要
生活保護を受けるためには、不動産、自動車、預貯金、保険の解約金などの資産を活用済みであることが必要ですが、クレジットカードは対象に含まれていません。
カード利用が停止されるタイミング
ただし半永久的に使えるわけではなく、以下のタイミングでカード利用が停止される可能性があります。
停止されるケース
- 支払い遅延:利用料の支払いができなくなった場合
- カード更新時:3~5年ごとの更新時に支払能力を再審査
- 登録情報変更時:収入状況の変更を届け出た場合
カード更新のタイミングで、生活保護を受けていると「支払能力がない」と判断され、更新カードを発行してもらえなくなることがあります。
新規でクレジットカードを作れるか

審査に通る可能性は極めて低い
生活保護受給中でも、制度としてクレジットカードの新規発行が禁止されているわけではありません。
しかし、実際にはカード会社の審査基準が関わるため、多くの受給者が審査に通らないのが現実です。
審査が厳しい理由
- 生活保護費は「公的扶助」であり「安定した収入」に含まれない
- 収入が少なく、貯金もない
- 支払能力が低いと判断される
- 貸し倒れのリスクがある
審査に通りやすくする工夫
可能性は低いですが、以下のポイントを押さえることで審査通過の可能性をわずかに高められます。
審査通過のポイント
- キャッシング機能はつけずに利用限度額は下限を選択
- 申し込み条件が「高校生を除く18歳以上」となっている審査難易度が低いカードを選ぶ
- 少しでも働いている場合は職業欄にフリーターや自由業と記入
- 在籍確認の電話がかかってきたら必ず出る
- 土日祝日の申し込みは避ける
生活保護受給者といった欄はありませんので、審査時に生活保護を受けていることが直接伝わることはありません。
クレジットカード利用時の注意点

1. 一括払いのみ利用可能
生活保護受給者がクレジットカードを利用する場合は、原則として一括払いのみとされます。
一括払い
- 翌月に全額返済
- 利息なし
- 日常的な範囲の買い物に限り多くの福祉事務所で黙認
禁止される支払い方法
- 分割払い:支払いを分けて延ばす → 借金とみなされる
- リボ払い:毎月の支払額を抑える → 借金とみなされる、手数料が高い
- キャッシング:現金を借りる → 借金そのもの
2. 必要最低限の買い物のみ
クレジットカードは手軽に利用できるため、気持ちが大きくなって、ついうっかり高額な商品を購入しそうになると思いますが、日用品等、生活必需品の購入に留めておきましょう。
購入できるもの
- 日用品
- 食料品
- 光熱費の支払い
- 携帯電話の料金
- ネット通販での必需品購入
購入できないもの
- 高級ブランド品
- 貴金属
- 車
- 保有を認められていない物品
3. ケースワーカーへの報告
クレジットカードを利用する場合は、担当のケースワーカーや福祉事務所に報告して確認を取ることが必須です。


報告が必要な理由
- クレジットカードのショッピング枠、キャッシング枠は「収入」にあたる
- 生活保護法第61条で収入の変動があった際の報告義務が定められている
- 厳密にはカード払いで付与されたポイントも収入申告対象
4. キャッシングの厳禁
キャッシングを利用すると収入として認定され、その分の保護費が減額される場合があります。

キャッシングのリスク
- 借金そのもの
- 収入認定で保護費減額
- 不正受給とみなされる可能性
- 最悪の場合、受給停止
5. 返済遅延に注意
返済が遅れると、以下のような問題が発生します。
返済遅延のリスク
- カードの利用停止
- 督促や差し押さえ
- 信用情報に傷がつく(ブラックリスト)
- 福祉事務所に報告せざるを得ない状況に
- 生活態度への指導対象
クレジットカードの代替手段

デビットカード(最もおすすめ)
デビットカードは銀行口座と直結しており、口座残高の範囲内でしか利用できないため、借入リスクがありません。
デビットカードのメリット
- 審査なしで作れる
- 口座残高以上は使えない(使いすぎ防止)
- 借金にならない
- ケースワーカーから受け入れられやすい
- ネット通販やクレカ決済に対応
プリペイドカード
事前にチャージした金額の範囲内で利用できるカードです。
プリペイドカードのメリット
- 審査なし
- 使いすぎの心配がない
- 未成年でも作れる
- ネット決済に利用可能
主なプリペイドカード
- バンドルカード
- Kyash
- LINE Payカード
後払いアプリ
スマートフォンアプリを利用した後払いサービスも選択肢です。
後払いアプリの例
- PayPay
- メルペイ
- d払い
注意点
- 一括払いのみ利用
- 使いすぎに注意
- 必ず期日内に支払う
口座振替
公共料金や携帯電話料金などは、口座振替(自動引き落とし)が最も安全です。
口座振替のメリット
- 支払い忘れがない
- 借金にならない
- ケースワーカーから問題視されない
よくある質問

Q1. クレジットカードを持っているだけで申告が必要ですか?
A1. 「持っている」だけなら必ずしも申告対象ではありません。しかし、利用する場合はケースワーカーへの報告が推奨されます。ポイント収入やキャッシュバック、リボ払い残高などは収入・資産として申告義務があります。
Q2. 携帯電話の分割払いは認められますか?
A2. ケースによります。スマートフォンの代金支払いのみは認められる場合がありますが、福祉事務所やケースワーカーに事前相談が必要です。

Q3. ネット通販で買い物するにはどうすればいいですか?
A3. デビットカードやプリペイドカードの利用をおすすめします。これらはクレジットカードと同様にネット決済に使えますが、借金にならず、ケースワーカーからも受け入れられやすいです。
Q4. クレジットカードのポイントは申告が必要ですか?
A4. 厳密には収入申告対象です。ポイントを現金化したり、買い物に使った場合は収入とみなされる可能性があります。不安な場合はケースワーカーに確認しましょう。
Q5. カードの支払いができなくなったらどうすればいいですか?
A5. すぐにケースワーカーに相談してください。隠していると後で発覚し、より大きな問題になります。カード会社に連絡して支払い方法の相談もできます。
Q6. 家族名義のカードの家族カードは作れますか?
A6. 作れる可能性はありますが、同様の注意点が適用されます。一括払いのみの利用、必要最低限の買い物、ケースワーカーへの報告などが必要です。
まとめ:ルールを守って賢く使う

生活保護とクレジットカードについて、重要なポイントをまとめます。
基本ルール
- 所持・利用は禁止されていない(法律上)
- 既に持っているカードは解約不要
- 新規作成も可能だが審査は厳しい
利用時の注意点
- 一括払いのみ:分割払い・リボ払い・キャッシング禁止
- 必要最低限の買い物:日用品、光熱費など
- ケースワーカーへ報告:利用前に相談
- ポイントも収入認定:厳密には申告対象
- 返済遅延は厳禁:信用情報に傷、指導対象に
禁止される使い方
- 分割払い・リボ払い(借金とみなされる)
- キャッシング(借金そのもの)
- 高級ブランド品など贅沢品の購入
- 保有が認められていない物品の購入
おすすめの代替手段
- デビットカード(最もおすすめ)
- プリペイドカード
- 後払いアプリ(一括払いのみ)
- 口座振替
困ったときの相談先
- 担当ケースワーカー
- 福祉事務所
- 生活保護支援団体
- 弁護士・行政書士
生活保護受給者でもクレジットカードは持てますが、利用方法には細心の注意が必要です。
分割払いやリボ払い、キャッシングは絶対に避け、一括払いで必要最低限の買い物のみに使いましょう。
不安な場合は、デビットカードやプリペイドカードなどの代替手段を利用することをおすすめします。
これらは借金にならず、ケースワーカーからも受け入れられやすい安全な方法です。
クレジットカードに関する疑問や不安があれば、必ず担当のケースワーカーに相談してください。
隠して利用して後で発覚するよりも、事前に相談する方がはるかに安全です。

コメント