出産扶助とは生活保護制度で定められている8種類の扶助の1つです。
出産扶助の項目は広義的には下記のとおり全部で3項目です。
2.分娩前及び分娩後の処置
3.脱脂綿、ガーゼその他の衛星材料
なお、妊娠した場合、妊娠中については妊婦加算、産後については産婦加算が毎月の生活保護費に上乗せされて支給されるようになります。
妊婦加算・産婦加算の金額等については、下記のページで紹介しているため、そちらをご覧ください。
出産扶助の趣旨
出産扶助とは生活保護受給中の方が妊娠しても安心して出産できるように、出産に掛かるあらゆる費用に充てるために支給される扶助です。
例えば生活保護受給開始前に妊娠した方が生活保護の受給開始後に出産する場合にも出産扶助は支給されますし、生活保護受給中の方が妊娠しても出産扶助は支給されます。
つまり、出産時期に生活保護を受給していればどのような方でも、出産扶助は支給されます。
そのため、「妊娠したけど、お金はどうしたら良いの?」と金銭面で悩む必要は全くありません。
ちなみに人工妊娠中絶の費用は生活保護費から支給はされません。
例外として、死産の場合や妊娠4ヶ月以上の妊婦が人工中絶をした場合に正常分娩と同様に助産師による分娩介助その他の世話が行われた場合については、必要な範囲内において出産扶助が適用されますが、極々稀です。
自己都合での人工中絶費用は相手男性側に請求するか、自身の毎月支給される生活保護費から負担するしかありませんので、その点は気をつけましょう。
支給方法
出産扶助の支給方法は現金支給ですが、実質は現物支給(サービスの提供)です。
出産扶助の出産扶助基準は下記のとおり全部で3項目あります。
2.出産に伴う入院費
3.衛生材料費
3項目それぞれに設定されている基準額の合計金額が出産扶助の支給金額となります。
1.基準額+2.出産に伴う入院費+3.衛生材料費=出産扶助の支給金額
ではそれぞれの項目について説明します。
基準額
出産扶助の基準額とは、出産に伴う入院費、衛生材料費を除いた出産費に充てる金額です。
出産扶助で支給される金額は施設分娩の場合295,000円以内、居宅分娩の場合259,000円以内を上限として、必要最低限の金額が支給されます。
真にやむを得ない事情により上記2つの基準額を超える場合、全国一律で305,000円以内(特別基準)うを上限として支給されます。
なお双子の場合はどうなるのか?についてですが、双子の場合は単純に上記の金額×2を上限として支給されます。
例えば双子が施設分娩の場合は、
295,000円×2=590,000円以内
双子が居宅分娩の場合は、
259,000×2=518,000円以内
双子が特別基準の場合は
305,000円×2=610,000円以内
となります。
なお、繰り返しになりますが、あくまで上限金額であり、必要最小限度の費用分しか支給されないため、実際に支給される金額とは異なる場合があります。
出産に伴う入院費
病院、助産所等の施設において分娩する場合は、最大で8日間の入院費実額が出産扶助から支給されます。
妊娠中毒症や切迫流産、切迫早産など妊娠中の異常により入院することになった場合については、出産扶助からの支給ではなく、医療扶助から入院費や治療費等の医療費は支給されます。どちらから支給されるにせよ、妊娠にかかるあらゆる費用については生活保護受給者の自己負担はないので、安心してください。
なお、注意点として個室等の差額ベッド代は出産扶助、医療扶助からは支給されません。
個室等を望まれる場合は、生活保護費から自己負担しなければいけないため、注意が必要です。
衛生材料費
出産扶助における衛生材料費とは出産時に使用されるガーゼ、包帯、マスク等にかかる費用に充てる金額です。
全国一律で6,000円を上限として支給されます。
衛生材料費についても、同様に、あくまで上限金額であり、必要最小限度の費用分しか支給されないため、実際に支給される金額とは異なる場合があります。
まとめ
生活保護制度で定められている8種類の扶助のうち、出産扶助について、ご紹介させていただきました。
通常出産費用は1.基準額、2.出産に伴う入院費、3.衛生材料費の合計金額がまとめて一括で支給されるため約45万円が支給されます。
ただ、出産扶助は生活保護受給者自身に支給されるものですが、金額が高額であることから、産婦人科からは福祉事務所から直接支給してもらいたいと言うことで、生活保護受給者本人から同意をもらって産婦人科に直接渡すことの方が多いです。
そのため、医療扶助・介護扶助のような現物支給に近い性質の扶助になります。
このように、出産にかかるあらゆる費用は出産扶助から支給されるため、妊娠して生活保護の受給を開始した方、生活保護受給中に妊娠した方も安心して出産することができます。
また、出産後の生活費についてですが、出産による世帯員増により生活扶助の金額が増額されます。
また、新たに児童養育加算がつきます。
母子(父子)家庭の場合は、母子加算もつきます。
子どもが小学生・中学生になれば、教育扶助が支給されるようになります。
専門学校・大学までの費用は出ませんが、高校生までの学費については生業扶助も支給されます。
出産扶助の他、上記の各種扶助・加算により、出産から子どもが産まれた後の費用についても、生活保護では、かなり手厚くなっていますので、安心して子育てをすることができます。