Q 不正受給が発覚した場合の取扱いは?
A 不正受給した金額を一括返還する必要があります。また悪質な場合は刑事告訴される場合があります。
不正受給が発覚した場合、担当ケースワーカーは収入調査・金融機関調査等の各種調査を行い
まずは不正受給の金額(過払額)を算定します。
その後、生活保護受給者は担当ケースワーカーが算定した不正受給の金額を確認し、
悪意又は過失のない不正受給の場合は返還金として
悪意又は過失のある不正受給の場合は徴収金として
福祉事務所に返還することになります。
返還金と徴収金の違いについては、別のページで詳しく説明します。
何度も不正受給を繰り返す、不正受給の金額が高額等、よほど悪質な場合は
刑事告訴される可能性もありますが、ほとんどの場合は刑事告訴にまで発展することはありません。
返還方法
原則は一括返還です。
しかし、既にお金を使い込んでしまい、お金が手元に残っていない場合は、
例外として分割返還となります。
※分割返還は例外ですが、ほとんどの場合、お金を使い込んでしまっているため、
分割返還になることの方が多いです。
生活保護受給中の場合は、毎月支給している生活保護費から差し引かれます。
「毎月ギリギリで生活しているのに、支給額を減らされたら生活できない!」
と主張する方もいますが、本来は一括返還が原則であり、使い込んだ生活保護受給者自身に
責任があるため、そのような言い訳は通用しません。
生活保護を脱却した場合や支給額が少なく、生活保護費から差し引けない場合は、
毎月納付書が送付されるので、金融機関で返還額を支払う必要があります。
分割返還時の月々の返還額
大体相場は最低生活費の1割です。
※生活保護支給額の1割ではありません。
月々の支給額は15万円ですが、最低生活費は20万円のため月々の返還額は2万円となります。
月々の返還額を途中で変更することも可能です。
当然減らす場合は、それなりの理由が必要です。
※法改正により健康・生活面における生活保護受給者の責務が増えました。
今までは最低生活費の1割程度でしたが、今後は家計簿等を提出させ、それを根拠に
月々の返還額を決める福祉事務所も出てくるかもしれません。
注意点
税金や借金等は、支払いが遅くなればなるほど利子等が発生するため、できるだけ早く返済しようとする
インセンティブが働きます。
しかし、返還金・徴収金の場合、利子等が発生しません。
1年で完済しても10年で完済しても返還額の総額が変わらないのであれば、
月々の返還額が少ない方が良いに決まっています。
そのため、返還額だけを見ると月々の返還額を減らした方が
生活保護受給者にとっては良いような気がします。
確かに、ずっと在宅で生活できる場合は、月々の返還額を減らした方が得だと思います。
しかし、介護施設等に入所しなければいけなくなった場合に返還金・徴収金が残っていると非常に
困ったことになります。
基本的に
月々の施設利用料=月々の最低生活費(医療費除く)
のため、返還金・徴収金が残っていると施設利用料が支払えません。
つまり施設に入所することができません。
「足りない部分を扶養義務者等から援助を受ければ良いのでは?」と思うかもしれまんせんが
扶養義務者からの援助は、まず収入認定する必要があるため、足りない部分だけの援助では不十分です。
生活保護支給額8万円+援助額1万=9万円
となり、結局1万円足りないので、施設に入所することができません。
この場合、生活保護を脱却できるだけの援助を受けない限り、施設に入所することはできません。
このような状況になってしまった後に担当ケースワーカーに相談しても
どうすることもできません。
何かしらの収入があった場合、報告義務が生活保護受給者にあります。
収入があった場合は、必ず担当ケースワーカーに申告しましょう。
また、不正受給により、返還金・徴収金が発生した場合は
できるだけ早く完済するようにしましょう。