2025年10月から、生活保護の特例加算が月額1,000円から1,500円に増額されることが決定しました。
これは物価高騰で生活が苦しくなっている受給者を支援するための臨時的な措置です。
この記事では、生活保護を受給している方、またはこれから申請を考えている方に向けて、特例加算について、増額の背景、対象者、支給期間、具体的な金額例まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
生活保護の特例加算とは?基本を理解しよう

特例加算の定義
特例加算とは、生活保護における「生活扶助」に上乗せされる臨時的な加算金のことです。
正式名称: 生活扶助基準における特例加算
性質: 時限的な措置(期間限定)
目的: 物価高騰による生活費の増加を補う
生活扶助とは
特例加算を理解するために、まず「生活扶助」について知っておきましょう。
生活扶助は、生活保護の8つの扶助のうち、食費や光熱費など日常生活に必要な費用を賄うための扶助です。

生活扶助で賄えるもの
- 食費
- 水道光熱費
- 被服費
- 家具・家電の購入費
- 日用品費
- 交際費
生活保護受給者のほぼ全員が受け取る基本的な扶助です。

特例加算の特徴
1. 全受給者が対象 生活保護を受給している人なら、基本的に全員が対象です。
2. 1人あたりの金額 世帯人数に応じて支給されます。
- 1人世帯: 1,500円
- 2人世帯: 3,000円
- 4人世帯: 6,000円
3. 自動支給 特別な申請は不要で、生活保護費に自動的に上乗せされます。
なぜ増額?特例加算導入の背景

深刻化する物価高騰
2020年代前半から続く物価高騰が、生活保護受給者の生活を圧迫しています。
主な物価上昇の状況:
| 項目 | 上昇率 |
|---|---|
| 食料品 | 約8%〜15%上昇 |
| 電気代 | 約20%〜30%上昇 |
| ガス代 | 約15%〜25%上昇 |
| 日用品 | 約5%〜10%上昇 |
特に食費と光熱費は生活扶助で賄う主要な支出であり、これらの急激な値上がりは受給者の生活に深刻な影響を与えています。
生活保護基準の5年見直しとのギャップ
生活保護の基準額は、原則として5年に1度見直されます。
問題点
- 5年間の間に物価が急激に上昇した場合、対応が遅れる
- 2022年の検証では、一般低所得世帯の消費実態に合わせた結果、むしろ減額となる可能性があった
このギャップを埋めるため、2023年度から特例加算が導入されました。
政府の対応経緯
2023年度(令和5年度): 物価高騰への緊急対応として、月額1,000円の特例加算を導入
2024年度(令和6年度): 物価高騰が継続しているため、月額1,000円の加算を継続
2025年度(令和7年度): 物価上昇がさらに加速していることを受け、月額1,500円に増額
2026年度(令和8年度): 月額1,500円を継続予定
厚生労働省の見解
厚生労働省は、加速する物価高騰をふまえ、食費や光熱費など日常生活の支出を補うための措置として特例加算を実施しています。
この措置は、生活保護受給者が「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるよう支援することを目的としています。
2025年10月からの変更点|1,000円→1,500円へ

増額の内容
変更前(2023年4月〜2025年9月)
- 月額1,000円/人
変更後(2025年10月〜2027年3月)
- 月額1,500円/人
- 増額幅: +500円
世帯人数別の増額額
| 世帯人数 | 変更前 | 変更後 | 増額 | 年間増額 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 1,000円 | 1,500円 | +500円 | +6,000円 |
| 2人 | 2,000円 | 3,000円 | +1,000円 | +12,000円 |
| 3人 | 3,000円 | 4,500円 | +1,500円 | +18,000円 |
| 4人 | 4,000円 | 6,000円 | +2,000円 | +24,000円 |
適用開始日
開始日: 2025年10月1日
2025年10月分の生活保護費から、増額された金額が支給されます。
支給日の目安
- 多くの自治体: 11月1日〜5日頃
- 自治体により若干異なる
例外対象
一部の受給者は増額幅が異なります
入院患者・介護施設入所者
- 特例加算: 月額1,000円のまま(1,500円にはならない)
- 理由: 入院・入所中は食費や光熱費の自己負担が少ないため
誰が対象?特例加算の受給資格

基本的な対象者
原則: 生活保護の生活扶助を受給しているすべての人
具体的には
- 単身世帯
- 夫婦世帯
- 母子家庭・父子家庭
- 多人数世帯
- 高齢者世帯
- 障害者世帯
- 傷病者世帯
年齢、性別、世帯構成、健康状態に関わらず、生活保護を受給していれば対象です。
金額は1人あたり
特例加算は世帯単位ではなく1人あたりで計算されます。
例:
- 1人世帯: 1,500円
- 2人世帯: 1,500円 × 2人 = 3,000円
- 3人世帯: 1,500円 × 3人 = 4,500円
- 4人世帯: 1,500円 × 4人 = 6,000円
例外的に対象外または減額となるケース
1. 入院患者
- 病院に入院している期間: 月額1,000円(1,500円にならない)
2. 介護施設入所者
- 特別養護老人ホームなどに入所している場合: 月額1,000円
3. 生活保護の一部のみ受給
- 医療扶助のみ受給(生活扶助を受給していない)の場合: 対象外
新規申請者も対象
2025年10月以降に新たに生活保護を申請・受給開始した人も、受給開始月から特例加算の対象となります。
例
- 2025年11月1日から受給開始
- 11月分から特例加算1,500円が含まれる
いつからいつまで?支給期間を確認

特例加算の歴史
第1期(2023年4月〜2025年3月)
- 月額1,000円
- 期間: 2年間
第2期(2025年4月〜2025年9月)
- 月額1,000円(継続)
- 期間: 6ヶ月間(移行期間)
第3期(2025年10月〜2027年3月)
- 月額1,500円(増額)
- 期間: 1年6ヶ月間
支給スケジュール
開始: 2025年10月1日
終了: 2027年3月31日(予定)
支給期間: 約1年6ヶ月間
2027年度以降の見通し
2027年度以降については、社会経済の状況を見ながら改めて検討することになっています。
今後も同様の経済環境が続く場合には、再度加算が行われる可能性があります。
可能性のあるシナリオ
- 特例加算の継続
- 物価高騰が続いている場合
- 同額または金額を調整して継続
- 特例加算の終了
- 物価が安定した場合
- 基準額の見直しで対応
- 基準額への統合
- 特例加算を恒久的な基準額に組み込む
- 5年見直しの際に反映
現時点では、2027年4月以降の方針は未定ですが、受給者の生活実態を踏まえた判断がなされる見込みです。
【世帯別】具体的な支給額シミュレーション

ケース1: 単身世帯(65歳・東京都23区)
世帯構成: 65歳・男性・単身・収入なし
生活扶助の内訳:
- 第1類: 37,590円
- 第2類: 45,160円
- 経過的加算: あり
- 特例加算: 1,500円(2025年10月から)
生活扶助合計: 約84,250円
住宅扶助: 53,700円
月額合計: 137,950円
特例加算の影響
- 変更前(9月まで): 137,450円
- 変更後(10月から): 137,950円
- 増額: +500円
ケース2: 高齢者夫婦(70歳・65歳・地方都市)
世帯構成: 70歳・男性、65歳・女性・夫婦2人
生活扶助の内訳
- 第1類(2人分): 約62,000円
- 第2類: 46,000円
- 特例加算: 3,000円(1,500円×2人)
生活扶助合計: 約111,000円
住宅扶助: 50,000円
月額合計: 161,000円
特例加算の影響:
- 変更前(9月まで): 160,000円
- 変更後(10月から): 161,000円
- 増額: +1,000円
ケース3: 母子家庭(母35歳・子10歳・東京都23区)
世帯構成: 35歳・母親、10歳・子ども
生活扶助の内訳
- 第1類(2人分): 約68,000円
- 第2類: 50,900円
- 母子加算: 23,260円
- 児童養育加算: 10,190円
- 特例加算: 3,000円(1,500円×2人)
生活扶助合計: 約155,350円
住宅扶助: 64,000円
教育扶助: 約2,600円
月額合計: 221,950円
特例加算の影響:
- 変更前(9月まで): 220,950円
- 変更後(10月から): 221,950円
- 増額: +1,000円
ケース4: 4人家族(大阪市)
世帯構成: 父40歳・母38歳・子12歳・子10歳
生活扶助の内訳
- 第1類(4人分): 約124,000円
- 第2類: 58,720円
- 児童養育加算: 20,380円(2人分)
- 特例加算: 6,000円(1,500円×4人)
生活扶助合計: 約209,100円
住宅扶助: 50,000円
教育扶助: 約5,200円(2人分)
月額合計: 264,300円
特例加算の影響
- 変更前(9月まで): 262,300円
- 変更後(10月から): 264,300円
- 増額: +2,000円
年間での影響
単身世帯の場合(2025年10月〜2026年9月)
- 月額増加: +500円
- 年間増加: +6,000円
4人家族の場合(2025年10月〜2026年9月)
- 月額増加: +2,000円
- 年間増加: +24,000円
申請手続きは必要?自動で支給される?

結論: 申請不要・自動支給
特例加算の受給に特別な申請や手続きは一切不要です。
理由
- 生活扶助の基準額に組み込まれている
- 福祉事務所が自動的に計算して支給
支給の流れ
1. 2025年10月1日 特例加算の増額が適用開始
2. 10月分の保護費計算 福祉事務所が自動的に新しい金額で計算
3. 11月初旬 10月分の保護費が通常通り振り込まれる(増額分含む)
確認方法
毎月の保護費と一緒に送られてくる「保護費支給明細書」に、特例加算の金額が記載されています。

確認ポイント
- 「特例加算」または「生活扶助特例加算」という項目
- 1人あたり1,500円と記載されているか
わからない場合は担当のケースワーカーに確認すれば、詳しく説明してもらえます。
新規申請者の場合
2025年10月以降に生活保護を新規申請する場合
自動適用
- 申請時に特例加算について説明を受ける
- 受給開始時から自動的に加算額が含まれる
- 特別な書類提出は不要
特例加算と他の加算制度との関係

特例加算は「別枠」の加算
特例加算は、他の加算制度と併用できます。
主な加算制度
- 母子加算
- 障害者加算
- 児童養育加算
- 介護施設入所者加算
- 在宅患者加算
- 妊婦加算
- 冬季加算
これらの加算にプラスして特例加算が支給されます。
具体例: 複数の加算を受けている場合
ケース: 母子家庭・母親が障害者
世帯構成: 母35歳(障害者手帳2級)、子10歳
各種加算
- 基本生活扶助: 約118,900円
- 母子加算: 23,260円
- 障害者加算: 26,810円
- 児童養育加算: 10,190円
- 特例加算: 3,000円(1,500円×2人)
生活扶助合計: 182,160円
このように、特例加算は他の加算と重複して受け取れます。
冬季加算との併用
冬季加算とは、寒冷地で11月〜3月に支給される暖房費の加算のことです。

併用例(札幌市・単身世帯)
- 基本生活扶助: 約75,000円
- 特例加算: 1,500円
- 冬季加算(12月): 約12,000円
- 12月の生活扶助合計: 88,500円
特例加算と冬季加算は別々に計算され、両方とも支給されます。
2027年度以降はどうなる?

現時点での決定事項
確定している期間
- 2025年10月〜2027年3月: 月額1,500円
未定の期間
- 2027年4月以降: 検討中
検討される要素
厚生労働省は、以下の要素を踏まえて2027年度以降の方針を決定します。
1. 物価動向
- 2025年〜2026年の物価上昇率
- 食料品・光熱費の価格推移
- 一般家庭の消費支出の変化
2. 一般低所得世帯の消費実態
- 2027年に予定されている5年見直し
- 一般低所得世帯との均衡
3. 財政状況
- 国の財政状況
- 社会保障費の全体像
想定されるシナリオ
シナリオ1: 特例加算の継続
条件: 物価高騰が続いている場合
内容
- 月額1,500円を継続
- または金額を調整(1,000円、2,000円など)
- 期間を延長(2年間など)
シナリオ2: 基準額への統合
条件: 2027年の5年見直しで対応
内容
- 特例加算を廃止
- 代わりに生活扶助基準額を引き上げ
- 恒久的な措置として定着
シナリオ3: 段階的縮小
条件: 物価が落ち着いてきた場合
内容
- 2027年度: 月額1,000円に減額
- 2028年度: 月額500円に減額
- 2029年度: 廃止
シナリオ4: 廃止
条件: 物価が大幅に下落した場合
内容
- 2027年4月で特例加算終了
- 基準額の見直しで調整
受給者への影響
重要なポイント
- 特例加算が廃止されても、基準額の見直しで調整される可能性が高い
- 「健康で文化的な最低限度の生活」を下回らないよう配慮される
- 急激な減額は避けられる見込み
よくある質問

Q1: 特例加算はいつから増額されますか?
A: 2025年10月1日から月額1,500円に増額されます。
10月分の保護費(11月初旬支給)から、増額された金額が適用されます。特別な手続きは不要で、自動的に反映されます。
Q2: 申請や手続きは必要ですか?
A: いいえ、一切不要です。
すでに生活保護を受給している方は、自動的に増額された金額が支給されます。新規申請者も、受給開始時から自動的に加算されます。
Q3: 入院中ですが、特例加算はもらえますか?
A: はい、もらえますが金額が異なります。
入院患者の場合、特例加算は月額1,000円のままで、1,500円には増額されません。これは入院中は食費や光熱費の自己負担が少ないためです。
Q4: 子どもも1人としてカウントされますか?
A: はい、カウントされます。
特例加算は年齢に関係なく、世帯人数1人あたり1,500円です。母子家庭で母親と子ども1人なら、1,500円×2人=3,000円が支給されます。
Q5: 特例加算で何を買ってもいいですか?
A: はい、使途は自由です。
特例加算は生活扶助の一部として支給されるため、食費、光熱費、日用品など、生活に必要なものに自由に使えます。
Q6: 特例加算は課税されますか?
A: いいえ、非課税です。
生活保護費はすべて非課税です。所得税も住民税もかかりません。
Q7: 2027年4月以降も継続されますか?
A: 現時点では未定です。
2027年3月までは月額1,500円の支給が確定していますが、それ以降については、物価動向や社会経済の状況を見て改めて検討されます。
Q8: 他の加算と併用できますか?
A: はい、併用できます。
母子加算、障害者加算、児童養育加算、冬季加算など、他の加算制度と重複して受け取れます。
Q9: 途中で世帯人数が変わったらどうなりますか?
A: 変更後の世帯人数で計算されます。
例えば、単身世帯(1,500円)から2人世帯(3,000円)になった場合、変更月の翌月分から3,000円に増額されます。ケースワーカーに届け出れば、自動的に調整されます。

Q10: 生活保護の医療扶助のみ受給していますが、特例加算はもらえますか?
A: いいえ、対象外です。
特例加算は「生活扶助」に対する加算のため、生活扶助を受給していない場合は対象になりません。
まとめ:特例加算は物価対策としてプラスαに支給される生活保護費

生活保護の特例加算|重要ポイント
1. 2025年10月から増額
- 月額1,000円 → 月額1,500円
- 増額幅: +500円/人
2. 全受給者が対象
- 生活扶助を受給している全ての人
- 年齢・世帯構成に関わらず対象
- 例外: 入院患者・施設入所者は1,000円
3. 1人あたりの金額
- 単身: 1,500円
- 2人世帯: 3,000円
- 3人世帯: 4,500円
- 4人世帯: 6,000円
4. 支給期間
- 開始: 2025年10月1日
- 終了: 2027年3月31日(予定)
- 期間: 1年6ヶ月間
5. 申請不要・自動支給
- 特別な手続きは一切不要
- 生活保護費に自動的に上乗せ
- 保護費支給明細書で確認可能
6. 他の加算と併用可能
- 母子加算
- 障害者加算
- 児童養育加算
- 冬季加算 など、すべて併用できる
7. 2027年度以降は検討中
- 物価動向を見て判断
- 継続、統合、縮小、廃止のいずれかの見込み
物価高騰対策としての意義
500円の増額は一見小さく見えますが、光熱費や食費が高くなり続ける中では、実際の生活にとって大きな助けとなります。
特に以下のような支出増加に対応
- 食料品の値上がり(8%〜15%)
- 電気代の高騰(20%〜30%)
- ガス代の上昇(15%〜25%)
- 日用品の価格上昇(5%〜10%)
最後に
生活保護の特例加算は、物価高騰で生活が苦しくなっている受給者を支援するための重要な措置です。
2025年10月からの増額により、単身世帯で月額500円、4人家族で月額2,000円の支援が追加されます。
年間では単身で6,000円、4人家族で24,000円の増加となり、決して小さな金額ではありません。
確認してほしいこと
- 11月初旬に振り込まれる保護費が増額されているか
- 保護費支給明細書で特例加算1,500円が記載されているか
- 疑問があればケースワーカーに確認
生活保護は憲法で保障された権利であり、必要な方が適切に利用すべき制度です。
特例加算についてわからないことがあれば、遠慮なく担当のケースワーカーや福祉事務所に相談してください。

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