生活保護の受給が開始すると、様々な制限が掛かりますが選挙権や被選挙権はどうなるのでしょうか?
生活保護受給中は投票できないのでしょうか?また、市長や議員に立候補する事はできないのでしょうか?気になるところだと思います
そこで、このページでは、生活保護受給中の選挙権や被選挙権に制限は掛かるのか?等、選挙に関するあらゆる疑問について、詳しく説明をしていきたいと思います。
生活保護でも選挙権はある
結論から言うと、生活保護受給者でも通常通り、18歳以上であれば選挙権があり、投票する事が出来ます。
同様に特定議員の選挙活動や議員活動を応援する事も自由です。
生活保護の受給が開始されると各種制限はかかるんですが、それは収入申告をする義務、訪問調査等、各種調査に協力する義務、自動車やバイクを所有・利用の禁止保険の加入や借金返済等、資産を作る行為の禁止などに限定されており、制限の中に「選挙で投票ができない」とはなっていません。
そのため、生活保護受給者にも当然選挙権はあり、誰に投票するのも自由です。
余談にはなりますが、生活保護は生活保護受給者の自立を目的としています。
そのため、訪問調査や収入申告の義務等の多少の制限はありますが、基本的には制限を掛けない方向で制度設計されています。
特に生活保護費の使い方について、市民の方から指摘を受けることが多いですが、お金に関しては完全に自由で、例えば生活保護費をパチンコ等のギャンブルにつぎ込んだり、旅行等の趣味に費やしても支給金額の範囲内であれば何に使っても問題ありません。
このように生活保護の受給を開始しても、ほぼ制限はなく、一般の方が思うよりもずっと自由です。
政治家に生活保護が利用されることも
生活保護受給者の票も1票としての価値がある事から、それを利用して票を集めようとする政治家がいます。
例えば議員はケースワーカーである職員や、その上司に対して強く物が言えるため、その権限を悪用して生活保護の条件に該当しなさそうな人でも受給させようとしたり、不正受給が発覚しても見逃すように圧力をかけてきたりする事があります。
最近はデジタル機器やSNSの普及により、そういうハラスメントのようなものは、すぐに摘発されるようになったため、だいぶ減りましたが、今でも特に選挙前になると議員が申請者や受給者の代わりに相談に来る事があります。
とは言え、議員が職員に対していくら強くても、生活保護は国の制度であり、毎年監査を受けることから、明らかに生活保護の条件に該当しない人に生活保護を受けさせることは不可能なので、ご安心ください。
生活保護を脱却すれば選挙に立候補する事ができる
投票ではなく、選挙に出馬できるのかどうか?については、残念ながら生活保護受給中の方が選挙に出馬することはできません。
なぜなら、選挙立候補には供託金が必要だからです。
地方選挙でも出馬しようとしたら供託金として、都道府県知事が300万円、都道府県議会議員が60万円、市長が100万円、市議会議員が30万円必要です。
最も供託金が少なくて済む町村議会議員でも15万円の供託金が必要になります。
生活保護費の貯金は認められているとは言え、選挙立候補資金としての貯金は、さすがに認められていないため、残念ながら収入認定されてしまいます。
しかし、生活保護脱却後については、供託金を貯めて選挙に立候補することは可能です。
立候補する条件に「生活保護を一度でも受給したら市長や議員になれない」等の制限・規制はありませんので、生活保護受給者が政治家になることも十分可能です。
元政治家でも生活保護を受給することができる
逆に一度でも市長や議員になったことがある元政治家が生活保護を受給できるのか?についてですが、元政治家であっても生活保護を受給することは可能です。
生活保護の条件は「世帯の収入が最低生活費以下であること」だけなので、たとえ元市長、元議員であっても失職してしまえば収入がなくなり、生活に困窮してしまうため、生活保護を受給することが可能です。
実際に過去に市長や議員であった方が現在は生活保護を受給しているなんてことはザラにあります。
そして、今後は、元政治家の生活保護受給者は増えると思われます。
なぜなら地方自治体の市長や議員の報酬は非常に安いからです。
年収で言えば600万円~700万円ほどあるので、一見高給取りに見えますが、そこから税金の他に、国民健康保険料、国民年金保険料等、サラリーマンであれば半分は事業主が負担してくれるものも全額自己負担となるため、実際の可処分所得はサラリーマンよりも低くなります。
また、昔は議員年金と言う制度があったため、1期でも議員をすれば老齢基礎年金とは別に議員年金が支払われるため、老後の生活も安泰でしたが、現在は議員年金制度が廃止されたため、老齢基礎年金しかありません。
令和3年度時点の老齢基礎年金の満額は年額780,900円、月額に換算すると65,075円しかなく、一人暮らしの最低生活費以下の収入しかないため、兼業をせず、市民のために真面目に議員だけをやってきた元政治家の生活保護受給者は今後増加することが予想されます。
まとめ
生活保護受給中の選挙権や被選挙権に制限は掛かるのか?等、選挙に関するあらゆる疑問についてについて、ご説明させていただきました。
上記をまとめると
- 生活保護の受給が開始されると様々な制限が掛かるようになるが、投票や特定の議員や政党を応援することは自由にできる
- 最近はSNSの発展により少なくなったが、票集めのために生活保護制度を利用する政治家がいる
- 選挙に立候補するためには供託金が必要なため、生活保護受給中に立候補することはできないが、生活保護脱却後であれば市長や議員になることも可能
- 過去に市長や議員であった人でも現状生活が苦しいのであれば生活保護を受給することができ、議員報酬の削減、議員年金の廃止により、今後は元政治家の生活保護受給者が増えることが予想される
となります。
その他、生活保護に関する様々な疑問については、下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
https://seikathuhogomanabou.com/category/qa/
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