「生活保護を受けているけど、マイナンバーカードは作れるの?」「作ることで不利になったりしない?」生活保護受給者の方から、こうした不安の声をよく聞きます。
本記事では、生活保護受給者がマイナンバーカードを作成できるのか、メリット・デメリット、具体的な申請方法まで詳しく解説します。
生活保護でもマイナンバーカードは作れる

作成は可能で任意
生活保護を受給していても、マイナンバーカードの作成は可能です。
マイナンバーカードの作成は義務や強制ではなく任意であり、作るかどうかは個人の自由です。
重要なポイント
- 生活保護受給者でも問題なく作成できる
- 作成は任意で義務ではない
- 無料で発行できる
- 顔写真付きの身分証明書として使える
2015年10月からマイナンバー制度が始まり、住民票を有する全員にマイナンバーが通知されています。
生活保護受給者も住民票がある以上、マイナンバーは既に割り当てられているため、カードを作ることができます。
なぜ作れるのか
マイナンバーは行政の効率化・利便性向上を目的に、国民全員に付与された番号です。
生活保護受給者は常に行政サービスを受ける立場にあり、マイナンバーで管理した方が実態の把握がしやすくなります。
そのため、生活保護を受けているからマイナンバーカードが作れないということはありません。
令和6年3月開始:医療券としての利用

医療扶助のオンライン資格確認
令和6年3月から、生活保護の医療扶助についてマイナンバーカードを医療券、調剤券として利用できるようになりました。

これは生活保護受給者にとって大きなメリットです。
従来の医療券システム
- 病院に行きたいとき、福祉事務所に連絡
- 福祉事務所で医療券を発行してもらう
- 福祉事務所に取りに行く(または郵送を待つ)
- 医療券を持って病院を受診
医療券の発行には数日かかることがあり、受給者は医療券の受け取りで福祉事務所を再訪する必要がありました。
マイナンバーカード利用後
- 事前(3〜30日前)に福祉事務所へ受診を申請
- 通院の決定を受ける
- マイナンバーカードを提示して医療機関を受診
福祉事務所に足を運んで医療券を受け取る手間が省け、行政、医療機関、生活保護受給者すべての手間が省略されます。

利用するための条件
医療券としてマイナンバーカードを使うには、以下の条件が必要です。
必要な準備
- マイナンバーカードの作成
- マイナポータルまたは医療機関の顔認証付きカードリーダーで利用申込
- 福祉事務所への事前申請(受診の3〜30日前)
利用できる医療機関は医療扶助のオンライン資格確認に対応した医療機関・薬局のみです。
対応していない医療機関では、従来通り紙の医療券が必要です。
マイナポータルで健康情報を確認
マイナンバーカードを医療券として登録すると、マイナポータルで以下の情報を閲覧できるようになります。
閲覧できる情報
- 診療情報(受診歴)
- 薬剤情報(処方された薬の履歴)
- 健診情報(令和6年4月分以降)
自分の健康状態を把握しやすくなり、より質の高い医療サービスを受けられるメリットがあります。
マイナンバーカードのメリット

1. 顔写真付きの身分証明書
生活保護世帯は原則車を所有することができないため、免許証を持っていない方は少なくありません。

マイナンバーカードは無料で作れる顔写真付きの身分証明書として非常に便利です。
身分証が必要な場面
- 銀行口座の開設
- 賃貸物件の入居審査
- 本人限定郵便の受け取り
- 役所での各種手続き
- 携帯電話の契約
賃貸の入居審査では基本的に顔写真付きの身分証が必要であり、厳しいところでは顔写真付きの身分証以外は審査の土台にすら乗らない場合もあります。
そのため、最低でも1枚は顔写真付きの身分証を持っておくことが推奨されます。
2. コンビニで証明書を取得できる
コンビニのマルチコピー機から住民票、印鑑証明書などをプリントできます。
平日だけでなく、土日祝日も朝6時半から夜23時まで利用できるため、役所の開庁時間に関係なく証明書を受け取れるのは大きな利点です。
取得できる証明書
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 戸籍謄本・抄本(一部自治体)
- 課税証明書(一部自治体)
生活保護受給者は、ケースワーカーへの報告や各種申請で証明書が必要になる機会が多いため、コンビニで取得できるのは大きなメリットです。

費用については、コンビニ交付の手数料は自治体によって異なりますが、窓口より安く設定されていることが多いです(50円〜200円程度安い)。
3. オンライン行政サービスの利用
マイナポータルにログインすることで、様々な行政サービスをオンラインで利用できます。
主なサービス
- 子育てに関する手続き
- 引越しに関する手続き
- 各種給付金の申請
- ねんきんネットとの連携
- 確定申告(e-Tax)
4. 今後の給付金支給がスムーズ
新型コロナウイルス関連の給付金をはじめ、今後予定されている各種給付金の支給がスムーズになる可能性があります。
マイナンバーと銀行口座を紐付けておくことで、迅速な給付が受けられます。
マイナンバーカードのデメリット

1. 紛失・盗難のリスク
マイナンバーカードを紛失したり盗まれたりすると、悪用されるリスクがあります。
対策
- マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)で24時間365日体制でマイナンバーカードの一時利用停止を受け付けています
- 紛失に気づいたらすぐに連絡する
- 暗証番号は他人に教えない
- 推測されにくい番号を設定する
2. 情報漏洩の不安
医療機関や薬局の窓口職員が、マイナンバーを取り扱うことはありません。
もし見られたとしても、他人があなたのマイナンバーを使って手続きすることはできない仕組みになっています。
それでも心配な方は、無理に作る必要はありません。任意の制度です。
3. 申請から受け取りまで時間がかかる
申請してから交付通知書が届くまで約1ヶ月かかります。
急いで身分証が必要な場合は、他の方法を検討する必要があります。
4. 暗証番号の管理が必要
マイナンバーカードには複数の暗証番号(4桁の数字、6〜16桁の英数字)を設定します。
忘れてしまうと再設定に市区町村の窓口に行く必要があります。
マイナンバーカードの作り方

申請に必要なもの
マイナンバーカードを申請するには、以下の書類が必要です。
必要書類の組み合わせ
- A書類(顔写真付き)1点 + B書類(顔写真なし)1点
- B書類2点(うち1点は公的機関発行)
A書類(顔写真付き)の例
- 運転免許証
- パスポート
- 住民基本台帳カード
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
B書類(顔写真なし)の例
- 生活保護受給者証
- 健康保険証(生活保護受給者は持っていない場合が多い)
- 年金手帳
- 介護保険証
- 住民票の写し
- 戸籍謄本・抄本
通知カードや個人番号通知書を紛失している場合でも、住民票の写しにマイナンバーが記載されているため、問題ありません。
申請方法
マイナンバーカードは以下の4つの方法で申請できます。
1. オンライン申請(スマートフォン)
手順
- スマートフォンで顔写真を撮影
- 交付申請書のQRコードを読み取る
- 必要事項を入力
- 顔写真をアップロード
- 申請完了
最も手軽な方法です。
2. オンライン申請(パソコン)
パソコンから専用サイトにアクセスし、デジタルカメラで撮影した顔写真をアップロードして申請します。
3. 郵送申請
手順
- 交付申請書に必要事項を記入
- 顔写真(縦4.5cm×横3.5cm)を貼付
- 返信用封筒に入れて郵送
顔写真は、証明写真機やカメラ店で撮影できます(有料)。
4. 窓口申請
市区町村の窓口や郵便局、一部のコンビニなどで申請サポートを受けられます。
顔写真の撮影も無料でしてもらえる場合があります。
受け取り方法
申請後、約1ヶ月で「交付通知書」(はがき)が自宅に届きます。
受け取りに必要なもの
- 交付通知書(はがき)
- 本人確認書類(顔写真付き1点、または顔写真なし2点)
- 通知カード(持っている場合)
- 住民基本台帳カード(持っている場合)
- マイナンバーカード用の暗証番号(事前に考えておく)
市区町村の窓口に行き、本人確認を受けた後、マイナンバーカードを受け取ります。
この際、暗証番号を設定します。
暗証番号の種類
- 署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁)
- 利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)
- 住民基本台帳用の暗証番号(数字4桁)
- 券面事項入力補助用の暗証番号(数字4桁)
利用者証明用・住民基本台帳用・券面事項入力補助用は同じ番号を設定できます。
生活保護申請でのマイナンバーの扱い

申請書への記載が必要
生活保護法第24条第1項第5号および生活保護法施行規則第1条第3項第2号の規定により、保護申請書にはマイナンバーの記載が必要とされています。
重要ポイント
- 生活保護の申請時にマイナンバーを記載する必要がある
- マイナンバーカードは不要(番号のみ必要)
- 通知カードや住民票の写しで確認できる

マイナンバーカードがなくても申請可能
生活保護の申請に、マイナンバーカードの提示は必須ではありません。
マイナンバー(12桁の番号)が分かれば申請できます。
マイナンバーを確認する方法
- 通知カード
- マイナンバーが記載された住民票の写し
- マイナンバーカード(持っている場合)
外国人のマイナンバー
一部の外国人住民(中長期在留者、特別永住者など)もマイナンバーの付番の対象となっています。
ただし、外国人の生活保護事務については、独自利用条例がある場合を除き、マイナンバーの利用範囲の対象外となります。

マイナンバーカードを作るべき人

こんな人におすすめ
1. 顔写真付きの身分証を持っていない人
運転免許証やパスポートを持っていない方にとって、無料で作れる顔写真付き身分証は非常に価値があります。
2. 頻繁に医療機関を受診する人
慢性疾患などで定期的に通院している方は、医療券の手続きが簡素化されるメリットが大きいです。
3. 住民票などの証明書が頻繁に必要な人
ケースワーカーへの報告や各種手続きで証明書が必要になることが多い方は、コンビニ交付が便利です。
4. オンラインサービスを利用したい人
マイナポータルで行政サービスを利用したい方、e-Taxで確定申告をしたい方におすすめです。
作らなくても問題ない人
1. 既に身分証を持っている人
運転免許証やパスポートなど、顔写真付きの身分証を既に持っている方は、急いで作る必要はありません。
2. 情報管理に不安がある人
デジタルに不慣れで、暗証番号の管理やカードの紛失が心配な方は、無理に作る必要はありません。
3. ほとんど外出しない人
身分証を提示する機会がほとんどなく、医療機関への受診も少ない方は、作る優先度は低いでしょう。
注意すべきポイント

セキュリティ対策
マイナンバーカードを安全に使うためのポイントです。
やるべきこと
- 暗証番号を他人に教えない
- カードは財布とは別に保管する
- 紛失したらすぐに利用停止の連絡をする
- 暗証番号はメモして安全な場所に保管
やってはいけないこと
- 暗証番号をカードに書く
- 誕生日など推測されやすい番号を使う
- 他人にカードを貸す
- コピーを不用意に取らせる
更新手続き
マイナンバーカードには有効期限があります。
有効期限
- 発行から10回目の誕生日まで(20歳以上)
- 発行から5回目の誕生日まで(20歳未満)
- 電子証明書:発行から5回目の誕生日まで
有効期限が近づくと、更新のお知らせが届きます。
更新手続きは市区町村の窓口で行います。
転居時の手続き
引越しをした場合、マイナンバーカードの住所変更手続きが必要です。
手続き方法
- 転出届を提出(旧住所の市区町村)
- 転入届を提出(新住所の市区町村)
- マイナンバーカードの住所変更(新住所の市区町村)
手続きを忘れると、マイナンバーカードが使えなくなる場合があります。
強制への懸念と実際

取得強要への批判
2022年には、一部の自治体が生活保護受給者に対してマイナンバーカードの取得を強要しているのではないかという批判がありました。
指摘された問題点
- マイナポイントという「特典」による誘導
- 生活困窮者を対象とすることの非人道性
- 自己決定権の侵害
現在の方針
現在、政府は以下の方針を明確にしています。
公式見解
- マイナンバーカードの取得は任意
- 取得しないことで不利益を受けることはない
- 紙の医療券での受診も継続
もし福祉事務所からカード取得を強要されたと感じた場合は、以下に相談できます。
相談先
- 市区町村の生活保護担当課(別の職員)
- 都道府県の監査部門
- 生活保護支援団体
- 弁護士会の法律相談
よくある質問

Q1. マイナンバーカードを作ると、ケースワーカーに監視されますか?
A1. マイナンバーカードを作成しても、ケースワーカーによる監視が強化されることはありません。マイナンバーは行政の事務効率化のためのものであり、個人の行動を監視するツールではありません。
Q2. マイナンバーカードを作らないと生活保護が打ち切られますか?
A2. いいえ、打ち切られません。マイナンバーカードの作成は義務や強制ではなく任意です。作らなくても生活保護の受給に影響はありません。
Q3. 費用はかかりますか?
A3. マイナンバーカードの発行は無料です。ただし、郵送申請の場合の証明写真撮影費用や、コンビニ交付の手数料などは自己負担となります。
Q4. 健康保険証としても使えますか?
A4. 生活保護受給者は国民健康保険の被保険者から除外されているため、マイナンバーカードの健康保険証利用の対象にはなりません。ただし、令和6年3月から医療券・調剤券としては使えるようになりました。

Q5. マイナポイントはもらえますか?
A5. マイナポイント第2弾は令和5年9月末で終了しました。現在、第3弾の予定は発表されていません。ただし、一部の自治体では独自のポイント付与キャンペーンを実施している場合があります。

Q6. 通知カードを紛失した場合は?
A6. 通知カードを紛失した場合でも、市区町村の窓口で交付申請書を再発行してもらえます。住民票の写しにもマイナンバーが記載されているため、それを使って申請できます。
Q7. 医療券として使うのは義務ですか?
A7. 義務ではありません。マイナンバーカードを使った医療扶助の資格確認を利用するかどうかは任意です。従来通り紙の医療券での受診も継続されています。
まとめ:自分に合った選択を

重要ポイントの再確認
- 作成は可能で任意
- 生活保護受給者でもマイナンバーカードは作れる
- 作成は義務ではなく、個人の自由
- 医療券として使える
- 令和6年3月から医療券・調剤券として利用可能
- 福祉事務所に足を運ぶ手間が省ける
- 身分証として便利
- 無料で作れる顔写真付き身分証
- 賃貸契約や銀行手続きに使える
- コンビニで証明書取得
- 24時間365日、住民票などを取得可能
- 窓口より安い手数料
- 紛失・情報漏洩には注意
- すぐに利用停止の連絡を
- 暗証番号は厳重に管理
最後に
マイナンバーカードは、生活保護受給者の方にとって便利なツールになり得ますが、必須ではありません。
作るべきか迷ったら
- メリットとデメリットを比較する
- ケースワーカーに相談する(強制されることはない)
- 支援団体に相談する
- まずは情報を集める
ご自身の生活スタイルや必要性に応じて、作成するかどうかを判断してください。
作らないことで生活保護が打ち切られることはありませんし、作ることで監視が強化されることもありません。
あくまでも「便利なツールの一つ」として、冷静に判断することが大切です。
不明な点があれば、福祉事務所や支援団体に遠慮なく相談しましょう。


コメント