生活保護を受給している、または受給を検討している方にとって、水道代がどのように扱われるのか、減免制度はあるのかは重要な関心事です。
この記事では、生活保護費に水道代が含まれる仕組み、自治体の減免制度、節約方法、滞納時の対処法まで、具体的なデータと事例を交えて詳しく解説します。
生活保護費と水道代の基本知識

水道代は生活扶助に含まれる
生活保護における水道代は、「生活扶助」の中に含まれています。生活扶助は、日常生活に必要な費用を賄うための扶助で、食費、光熱水費、被服費などが対象です。

生活扶助の内訳として、第1類費(個人的経費:食費、被服費など)、第2類費(世帯共通経費:光熱水費、家具什器費など)があり、水道代は第2類費に含まれます。
別枠での支給ではないため、水道代として独立した項目で支給されるわけではありません。生活扶助の中から、各世帯が水道代を支払います。
つまり、生活保護費の中に水道代分が含まれているという理解が正確です。

生活扶助の基準額
生活扶助の基準額は、居住地域、世帯人数、年齢などによって異なります。
令和5年度の基準額例(東京都区部・単身者)として、第1類費(個人的経費)が月額約46,000円、第2類費(世帯共通経費)が月額約30,000円で、合計約76,000円となります。

この第2類費約30,000円の中から、電気代、ガス代、水道代などの光熱水費を支払うことになります。
世帯人数による変動では、2人世帯、3人世帯と増えるに従い、第2類費も増額されますが、単純に人数倍にはなりません(規模の経済が考慮されています)。
水道代の全国平均
一般的な水道代の目安を知っておくことも重要です。
総務省の家計調査によると、単身世帯の水道代は月額平均約2,200円程度、2人世帯で月額約4,100円程度、3人世帯で月額約5,200円程度とされています。
地域差により、水道料金は自治体によって大きく異なります。比較的安い自治体では月1,000円台、高い自治体では3,000円を超えることもあります。
生活保護受給者も、概ねこの範囲内で水道代を支払うことになります。生活扶助の第2類費の範囲内で、十分に賄える金額です。
水道料金の減免制度

自治体による減免制度の有無
一部の自治体では、生活保護受給者を対象とした水道料金の減免制度を設けています。
制度の有無は自治体によるため、すべての自治体で実施されているわけではありません。大都市を中心に、一部の自治体が独自に実施しています。
減免の内容は自治体により異なり、基本料金の全額または一部免除、使用料金の一定割合減額、下水道使用料の減免などがあります。
実施例として、東京都の一部区では基本料金を免除、大阪市では基本料金と一定使用量まで減免、神戸市では基本料金の半額減免などの制度があります(令和5年度時点、変更の可能性あり)。
お住まいの自治体の制度は、水道局または福祉事務所に確認しましょう。
減免制度の申請方法
減免制度がある自治体では、申請が必要です。
申請先は、自治体の水道局または水道部です。窓口、郵送、またはオンラインで申請できる場合があります。
必要書類として、減免申請書(水道局の窓口または公式サイトで入手)、生活保護受給証明書(福祉事務所で発行)、本人確認書類(運転免許証、保険証など)、水道の使用者番号がわかるもの(検針票、請求書など)を準備します。
申請時期では、減免は申請月から適用されることが多いため、受給開始後、速やかに申請しましょう。遡っての適用はないのが一般的です。
更新手続きにより、年度ごとに更新が必要な自治体もあります。更新の案内が来たら、忘れずに手続きしましょう。
減免が受けられる金額の目安
減免制度がある場合、どのくらい安くなるのでしょうか。
基本料金免除の場合、水道の基本料金は自治体により異なりますが、月額700円から1,500円程度が一般的です。これが全額免除されれば、年間で8,400円から18,000円程度の節約になります。
使用料減免の場合では、一定使用量(例:月10㎥)までの使用料が減免される場合、単身者であればほぼ全額免除に近い効果があります。
下水道料金も含む場合、水道料金と下水道使用料の両方が減免対象になる自治体では、さらに大きな減額効果があります。
減免制度は自治体の裁量で実施されているため、お住まいの地域の制度を必ず確認してください。
水道代の支払い方法と注意点

支払い方法の選択
水道代の支払い方法には、いくつかの選択肢があります。
口座振替は、指定した銀行口座から自動的に引き落とされる方法です。払い忘れがなく、手間がかからないのがメリットです。生活保護費が振り込まれる口座を指定すれば、確実に支払えます。
納付書払いでは、郵送される納付書を使って、コンビニや金融機関で支払います。支払い時期を自分で管理できますが、払い忘れのリスクがあります。
クレジットカード払いは、一部の自治体で利用可能ですが、生活保護受給者は通常クレジットカードを持っていないため、現実的ではありません。

おすすめは口座振替で、払い忘れを防ぐため、口座振替が最も安心です。
水道代の支払いタイミング
水道代の支払いサイクルを理解しておきましょう。
検針と請求により、水道メーターの検針は、通常2ヶ月に1回行われます(自治体により異なる)。検針後、請求書または口座振替の案内が届きます。
支払い期限は、請求書発行から約2週間から1ヶ月後が一般的です。期限内に支払わないと、延滞金が発生する場合があります。
生活保護費の支給日との調整として、生活保護費は毎月1日から5日頃に支給されます(自治体により異なる)。水道代の支払い期限と支給日を把握し、計画的に支払いましょう。


生活保護費からの支払いに関する注意
生活保護費から水道代を支払う際の注意点です。
優先順位を考えることが重要です。生活保護費は限られているため、家賃(住宅扶助)、光熱水費などの固定費を優先的に支払い、残りで食費などを賄います。
滞納は避けるべきで、水道代を滞納すると、最悪の場合、給水停止になります。生活に直結するため、必ず期限内に支払いましょう。
ケースワーカーへの相談により、どうしても支払いが困難な場合は、ケースワーカーに相談してください。一時扶助や他の支援策を検討してもらえる可能性があります。

水道代の節約方法

基本的な節水テクニック
生活保護費の中で水道代を抑えるため、節水の工夫が有効です。
お風呂・シャワーでは、シャワーは出しっぱなしにせず、こまめに止める、お風呂の残り湯を洗濯に使う、節水シャワーヘッドに交換する(数千円で購入可能、長期的には節約になる)などの方法があります。
トイレについては、大小のレバーを使い分ける、タンクにペットボトルを入れる(ただし、水量が少なすぎると詰まりの原因になるので注意)、節水型トイレへの交換(賃貸では難しいが、持ち家なら検討の余地あり)が効果的です。
洗濯では、まとめ洗いをして洗濯回数を減らす、すすぎの水量を適切に設定する、お風呂の残り湯を活用するなどの工夫ができます。
炊事として、食器洗いは溜め洗いをする(水を流しっぱなしにしない)、野菜や米の研ぎ汁を再利用する(植物の水やりなど)、食器洗い機がある場合、まとめて洗う方が節水になることもあるなどの方法があります。
水漏れのチェック
気づかない水漏れが、水道代を高くしている可能性があります。
水漏れの確認方法として、すべての蛇口を閉め、家中の水を使っていない状態で水道メーターを確認します。メーターのパイロット(小さな回転部分)が動いていれば、どこかで水漏れしています。
よくある水漏れ箇所は、トイレのタンク(タンク内の部品の劣化)、蛇口からのポタポタ漏れ、給水管の接続部などです。
対処法は、水漏れを発見したら、大家や管理会社に連絡して修理を依頼します(賃貸の場合)。水道局に連絡すれば、水漏れ調査を行ってくれる場合もあります。
水漏れを放置すると、無駄な水道代がかかり続けるので、早急に対処しましょう。
無料または低額の節水グッズ
節水グッズの中には、低コストで導入できるものがあります。
節水シャワーヘッドは、1,000円から3,000円程度で購入でき、水量を30%から50%削減できます。初期投資は数ヶ月で回収できます。
蛇口用節水アダプターでは、数百円から購入でき、蛇口に取り付けるだけで節水効果があります。
自治体の配布として、一部の自治体では、節水グッズを無料配布しているところもあります。水道局に問い合わせてみましょう。
100円ショップでも、簡易的な節水グッズが購入できます。
わずかな投資で、長期的な節約につながります。
水道代が払えない・滞納した場合

滞納するとどうなるか
水道代を滞納した場合の流れを知っておきましょう。
- 督促状の送付:支払い期限を過ぎると、督促状が郵送されます。延滞金が発生する場合があります。
- 再度の督促:それでも支払わないと、再度督促状が送られたり、電話連絡があったりします。
- 給水停止の予告:数ヶ月滞納が続くと、給水停止の予告通知が届きます。「○月○日までに支払わなければ、給水を停止します」という内容です。
- 給水停止:予告期限までに支払わないと、実際に水道が止められます。生活に重大な支障が出ます。
給水停止は避けるため、早めの対応が必要です。
支払いが困難な場合の対処法
どうしても水道代が払えない場合、以下の対処法があります。
- 水道局への相談:支払いが困難な事情を水道局に説明すれば、分割払いや支払い猶予を認めてもらえる場合があります。黙って滞納するより、相談することが重要です。
- ケースワーワーカーへの相談:生活保護のケースワーカーに相談すれば、一時扶助の支給や、家計管理の支援を受けられる可能性があります。
- 社会福祉協議会の貸付:緊急小口資金など、一時的な生活費の貸付制度がある場合があります(生活保護受給者は利用できない場合もあるため、確認が必要)。
- 法テラス・弁護士への相談:他にも債務がある場合、債務整理を含めた総合的な解決策を弁護士に相談できます。
一人で抱え込まず、早めに相談することが解決への第一歩です。
給水停止を避けるために
給水停止を避けるため、優先的に対処すべきことは下記の通りです。
最優先で支払う意識を持つ。水道は生命維持に不可欠です。食費を削ってでも、水道代は最優先で支払うべきです。
分割払いの交渉をする。一括で払えない場合、分割払いを水道局に申し出ましょう。誠実に対応すれば、応じてもらえる可能性が高いです。
生活費の見直す。水道代が払えないということは、家計全体に問題がある可能性があります。ケースワーカーと一緒に、生活費の見直しを行いましょう。
その他の光熱費との関係

電気代・ガス代も生活扶助に含まれる
水道代と同様、電気代やガス代も生活扶助に含まれています。

光熱費の合計として、第2類費の月額約30,000円(単身者・東京都区部の例)の中から、電気代、ガス代、水道代のすべてを支払います。
光熱費の目安(単身者)は、電気代:月3,000円から5,000円程度、ガス代:月2,000円から4,000円程度(都市ガスの場合)、水道代:月2,000円から3,000円程度で、合計約7,000円から12,000円程度となります。
残りが家具什器費などに使われ、第2類費から光熱費を差し引いた残り(約18,000円から23,000円)が、家具、日用品、被服などに充てられます。
光熱費全体を抑えることが、生活費に余裕を持たせるポイントです。
冬期加算について
冬季は暖房費がかさむため、生活保護には「冬期加算」があります。

冬期加算により、11月から3月(地域によって異なる)の間、生活扶助に一定額が加算されます。寒冷地ほど加算額が大きくなります。
加算額の例として、東京都区部・単身者で月額約2,800円程度、北海道など寒冷地では月額1万円を超える場合もあります。
冬季加算の使途は、暖房費に充てることが想定されていますが、限定されていません。水道代を含む光熱費全般に使えます。
冬期加算を活用して、冬の光熱費負担に対応しましょう。
光熱費の節約は総合的に
水道代だけでなく、電気代・ガス代も含めて総合的に節約することが重要です。
電気代の節約方法としては、不要な照明は消す、待機電力を減らす(コンセントを抜く)、LED電球に交換する、エアコンの設定温度を適切にする(冷房28度、暖房20度)などが効果的です。
ガス代の節約方法としては、お風呂は追い焚きせず、続けて入る、鍋底から炎がはみ出さないよう調整する、圧力鍋を使って調理時間を短縮するなどの方法があります。
総合的な家計管理により、ケースワーカーと相談しながら、光熱費全体の使用状況を把握し、無駄を省きましょう。
よくある質問と回答

水道代の減免制度がない自治体ではどうすれば?
答え:生活扶助の中で支払います。節約を心がけましょう。
減免制度がなくても、生活扶助の第2類費の中に水道代分は含まれています。平均的な使用であれば、十分に支払える金額です。
節水を心がけ、無駄な使用を避けることで、生活扶助の範囲内で対応できます。
水道代が異常に高い場合はどうすれば?
答え:水漏れを疑い、水道局に相談しましょう。
通常の使用では考えられない高額な請求が来た場合、水漏れの可能性があります。水道局に連絡し、調査を依頼してください。
水漏れが原因であれば、減額措置が取られる場合もあります(自治体により異なる)。
生活保護費から水道代を払わなくてもいい?
答え:いいえ、必ず支払う必要があります。
水道代は生活扶助に含まれており、受給者が支払う義務があります。「生活保護を受けているから払わなくていい」ということはありません。
滞納すれば給水停止になり、生活に支障が出ます。必ず支払いましょう。
引っ越した場合、減免申請はどうなる?
答え:転居先で改めて申請が必要です。
引っ越しにより水道の契約が変わるため、転居先の自治体で改めて減免申請が必要です。
転居前の自治体での減免は引き継がれません。転居後、速やかに新しい自治体の水道局で申請しましょう。

まとめ:水道代を賢く管理して安心な生活を

生活保護と水道代について、重要なポイントをまとめます。
水道代は生活扶助に含まれることを理解しましょう。独立した項目ではなく、第2類費(世帯共通経費)の中から支払います。平均的な水道代(単身者で月2,000円から3,000円程度)は、生活扶助の範囲内で十分に賄えます。
減免制度を活用しましょう。一部の自治体では水道料金の減免制度があります。お住まいの自治体の水道局に確認し、制度があれば必ず申請しましょう。基本料金免除などで、年間数千円から1万円以上の節約になります。
節約の工夫として、シャワーや洗濯での節水、水漏れのチェック、節水グッズの活用などをしましょう。水道代を抑えられます。わずかな工夫の積み重ねが、生活費の余裕につながります。
滞納は避けることが重要です。水道代を滞納すると、給水停止のリスクがあります。支払いが困難な場合は、水道局やケースワーカーに早めに相談しましょう。分割払いや一時扶助などの対応策があります。
最後に
水道は生活に不可欠なライフラインです。適切に管理し、節約を心がけながら、安心して生活を送りましょう。
困ったことがあれば、ケースワーカー、水道局、福祉事務所など、相談できる窓口があります。一人で悩まず、支援を求めることが大切です。
この記事が、あなたの生活をより安定させる一助となることを願っています。

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