「生活保護のお金は手渡しでもらえる?」「銀行振込と現金、どちらが多い?」「口座がないと手渡しになる?」生活保護の受給方法について、こうした疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言えば、生活保護費の支給方法は原則として銀行振込です。
厚生労働省の統計によれば、生活保護受給者の約95%が銀行口座への振込で保護費を受け取っています。ただし、銀行口座を持っていない場合や、緊急時など、例外的に現金での手渡し支給が行われることもあります。
本記事では、生活保護費の受取方法(振込と手渡し)、現金支給が行われるケース、手渡しの手続き、さらには口座開設の支援まで、生活保護法と実務に基づいて徹底解説します。
この記事でわかること
- 生活保護費の支給方法(原則は振込)
- 現金手渡しが行われる5つのケース
- 手渡しの受取方法と手続き
- 口座開設の支援制度
- 振込と手渡しのメリット・デメリット
- 手渡しに関するよくある質問
生活保護費の支給方法——原則は銀行振込

原則:口座振込
厚生労働省の方針 生活保護費の支給方法は、原則として銀行口座への振込とされています。
理由
- 確実性:振込記録が残り、支給の証拠となる
- 安全性:現金を持ち歩くリスクがない
- 効率性:福祉事務所の事務負担が軽減される
振込先
- 本人名義の銀行口座
- 郵便局(ゆうちょ銀行)の口座
振込日 自治体により異なりますが、通常、毎月1日~5日頃に振り込まれます。

現金支給(手渡し)は例外
現金支給の割合 厚生労働省の統計では、生活保護受給者の約5%が現金支給を受けています。
現金支給が認められるケース 以下のような特別な事情がある場合に限られます。
現金手渡しが行われる5つのケース

どのような場合に、現金での手渡し支給が行われるのでしょうか。
ケース1:銀行口座を持っていない
状況 銀行口座を持っていない、または開設できない場合。
理由
- ホームレスから保護を開始したばかり
- 過去の債務により口座開設を断られた
- 高齢や病気で銀行に行けない
- 本人確認書類がない
対応 福祉事務所の窓口で、現金を手渡しで受け取ります。
口座開設の支援 福祉事務所は、口座開設を支援します。口座が開設できれば、振込に切り替わります。
ケース2:緊急時の一時金
状況 急な出費が発生し、緊急に現金が必要な場合。
例
- 突然の入院
- 災害による被害
- 緊急の引越し
対応 通常の支給日を待たず、緊急の一時金として現金で手渡しされることがあります。
ケース3:保護開始の初回支給
状況 生活保護が開始されたばかりで、口座開設が間に合わない場合。
対応 初回のみ現金で手渡しし、次回から振込に切り替えます。
期間 口座開設には、通常1~2週間かかります。
ケース4:口座凍結・差押え
状況 銀行口座が凍結されている、または差押えを受けている場合。
理由
- 債務整理中
- 税金の滞納
対応 一時的に現金支給に切り替え、問題が解決したら振込に戻します。
注意点 生活保護費は、原則として差押え禁止です(生活保護法第58条)。ただし、振込後は「預貯金」となり、差押えの対象となる可能性があります。
ケース5:自治体の判断
状況 福祉事務所が、個別の事情により現金支給が適切と判断した場合。
例
- 認知症などで金銭管理が困難
- 浪費の傾向があり、振込では使い切ってしまう恐れ
対応 福祉事務所の判断により、現金で手渡しします。
注意点 この場合、金銭管理の指導や支援も併せて行われます。
手渡しの受取方法と手続き

現金で手渡しを受ける場合、どのように受け取るのでしょうか。
受取場所
福祉事務所の窓口 通常、福祉事務所の窓口で受け取ります。
自宅への訪問 高齢や病気で外出が困難な場合、ケースワーカーが自宅に届けてくれることがあります。

受取日
指定日 福祉事務所から、受取日が指定されます。
通常の支給日 振込の支給日(毎月1日~5日頃)と同じか、数日ずれることがあります。
時間 福祉事務所の開庁時間内(通常、平日の9時~17時)。
受取手続き
必要なもの
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
- 印鑑(受領印が必要な場合)
- 受給者証(発行されている場合)
手順
- 福祉事務所の窓口に行く
- 受付で「保護費を受け取りに来た」と伝える
- 本人確認
- 受領書にサインまたは押印
- 現金を受け取る
所要時間 通常、10分~30分程度。
代理受取
原則:本人のみ 保護費は、原則として本人が受け取ります。
例外:代理受取 病気や怪我で本人が受け取れない場合、親族などが代理で受け取ることができます。
手続き
- 事前に福祉事務所に連絡
- 委任状が必要な場合がある
- 代理人の本人確認書類
口座開設の支援制度

福祉事務所は、受給者の口座開設を支援します。
口座開設が困難な理由
理由1:本人確認書類がない 運転免許証、マイナンバーカードなどがない。
対処法
- 住民票の取得を支援
- 健康保険証の代わりに、受給者証を提示
理由2:過去の債務 過去に口座を不正利用したなどの理由で、銀行が口座開設を拒否。
対処法
- 別の金融機関を紹介
- ゆうちょ銀行は比較的開設しやすい
理由3:外出が困難 高齢や病気で、銀行に行けない。
対処法
- ケースワーカーが同行
- 出張サービスのある金融機関を紹介
福祉事務所の支援内容
口座開設の案内 どの金融機関で口座を開設できるか案内します。
同行支援 必要に応じて、ケースワーカーが銀行に同行します。
書類の準備 本人確認書類の取得を支援します。
手数料の支給 口座開設に手数料がかかる場合、支給されることがあります。
開設しやすい金融機関
ゆうちょ銀行 全国どこでも口座を開設でき、比較的審査が緩やかです。
地方銀行・信用金庫 地域密着型の金融機関は、福祉事務所と連携していることが多く、開設しやすい傾向があります。
ネット銀行 一部のネット銀行は、本人確認がオンラインで完結し、開設しやすい場合があります。
振込と手渡しのメリット・デメリット

振込と手渡し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
振込のメリット
1. 安全性 現金を持ち歩く必要がなく、盗難や紛失のリスクがありません。
2. 確実性 振込記録が残り、支給の証拠となります。
3. 利便性 ATMやオンラインバンキングで、24時間いつでも引き出せます。
4. 時間の節約 福祉事務所に受け取りに行く手間が省けます。
振込のデメリット
1. 口座開設が必要 口座を持っていない場合、開設の手間がかかります。
2. 差押えのリスク 振込後は「預貯金」となり、債権者による差押えの対象となる可能性があります(ただし、生活保護費自体は差押え禁止)。
3. 手数料 口座維持手数料がかかる場合があります(通常、生活保護受給者は免除)。
手渡しのメリット
1. 口座不要 銀行口座を持っていなくても受け取れます。
2. 即時利用 受け取った現金を、すぐに使えます。
3. 差押えのリスクが低い 現金で持っている限り、差押えされにくい。
手渡しのデメリット
1. 受取の手間 福祉事務所まで行く必要があります。
2. 盗難・紛失のリスク 現金を持ち歩くため、盗難や紛失のリスクがあります。

3. 時間の制約 福祉事務所の開庁時間内に受け取る必要があります。
4. 記録が残らない 受領書はありますが、振込記録ほど確実ではありません。
手渡しに関するよくある質問

Q1: 生活保護費は必ず手渡しですか?
A: いいえ、原則として銀行振込です。現金での手渡しは、口座がない場合など、例外的なケースに限られます。
Q2: 口座を持っていないのですが、どうすればいいですか?
A: 福祉事務所に相談してください。口座開設を支援してくれます。口座が開設できるまでの間、現金で手渡しされます。
Q3: 手渡しの場合、福祉事務所まで行く交通費はどうなりますか?
A: 交通費は、生活扶助に含まれているため、別途支給されません。ただし、遠方の場合や、病気で外出が困難な場合は、ケースワーカーが自宅に届けてくれることがあります。

Q4: 手渡しの日に受け取れなかった場合、どうなりますか?
A: 福祉事務所に連絡し、別の日に受け取る手配をしてください。長期間受け取らないと、保護が停止される可能性があります。
Q5: 手渡しから振込に変更できますか?
A: はい、口座を開設すれば、振込に変更できます。ケースワーワーカーに相談してください。

Q6: 振込から手渡しに変更できますか?
A: 原則として、振込が推奨されます。ただし、口座凍結など特別な事情がある場合、一時的に手渡しに変更できることがあります。ケースワーカーに相談してください。
Q7: 手渡しの際、他の人に見られるのが恥ずかしいのですが?
A: 福祉事務所では、プライバシーに配慮して対応します。個室や仕切りのある窓口で受け取れることが多いです。不安な場合、事前にケースワーカーに相談してください。
Q8: 代理で家族が受け取ることはできますか?
A: 本人が病気や怪我で受け取れない場合、事前に福祉事務所に連絡すれば、親族が代理で受け取ることができます。委任状や代理人の本人確認書類が必要な場合があります。
まとめ:原則は振込、手渡しは例外—口座開設の支援を活用しよう

本記事の重要なポイントをまとめます。
支給方法の原則
- 原則:銀行振込(約95%)
- 例外:現金手渡し(約5%)
現金手渡しが行われる5つのケース
- 銀行口座を持っていない
- 緊急時の一時金
- 保護開始の初回支給
- 口座凍結・差押え
- 自治体の判断
手渡しの受取方法
- 受取場所:福祉事務所の窓口
- 受取日:指定日(通常、毎月1日~5日頃)
- 必要なもの:本人確認書類、印鑑
- 代理受取:事前連絡で可能
口座開設の支援
- 福祉事務所が支援
- ゆうちょ銀行、地方銀行が開設しやすい
- ケースワーカーが同行
振込のメリット
- 安全性、確実性、利便性、時間の節約
手渡しのメリット
- 口座不要、即時利用、差押えリスクが低い
振込のデメリット
- 口座開設が必要、差押えリスク
手渡しのデメリット
- 受取の手間、盗難・紛失のリスク、時間の制約
最後に
生活保護費の受取方法は、原則として銀行振込です。安全性、確実性、利便性の観点から、振込が推奨されています。
ただし、口座を持っていない場合や、緊急時など、例外的に現金での手渡し支給が行われることもあります。手渡しにはメリットもありますが、盗難や紛失のリスクがあるため、できるだけ早く口座を開設し、振込に切り替えることが望ましいです。
口座開設が困難な場合は、一人で悩まず、福祉事務所に相談してください。ケースワーカーが、口座開設を全面的に支援してくれます。
生活保護費を安全かつ確実に受け取り、安定した生活を送りましょう。

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