「生活が苦しいけれど、自分は給付金をもらえるの?」「生活困窮者向けの給付金って、どんな種類があるの?」こうした疑問を持つ方は年々増えています。
物価高騰・非正規雇用の拡大・突然の失業など、誰もが生活困窮状態に陥るリスクがある今の日本では、公的な給付金・支援制度を知っておくことが「もしものとき」の大きな備えになります。
この記事では、生活困窮者が受けられる主な給付金・貸付制度の種類・対象者・申請方法・注意点を、初めて調べる方にも分かりやすく網羅的に解説します。「自分が対象かどうか」を具体的にチェックできる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
生活困窮者向け給付金・支援の全体像

「生活困窮者向けの給付金」と一口に言っても、その種類は複数あります。まずは全体像を把握することが大切です。大きく分けると、次の3つに整理できます。
| 給付金の種類 | ① 住居確保給付金 | ② 住民税非課税世帯給付金 | ③ 生活福祉資金貸付 |
| 給付額 | 家賃相当額 | 3〜10万円 | 最大20万円〜 |
| 対象 | 失業・収入減少で家賃が払えなくなった人へ。原則3ヶ月(最長9ヶ月)家賃を補助 | 低所得世帯・非課税世帯への物価高騰対応の給付金。国の経済対策として随時実施 | 緊急小口資金・総合支援資金など。低所得世帯・障害者・高齢者世帯への無利子または低利の貸付 |
これらは「給付(返還不要)」と「貸付(返還必要)」に分かれる点が重要です。本記事では返還不要の「給付」を中心に、貸付制度も含めて解説します。
・知っておきたい前提知識
生活困窮者自立支援法(2015年施行)では、生活困窮者を「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義しています(第三条)。給付金の対象は「今すでに極限まで苦しい人」だけでなく、このまま放置すれば困窮するおそれがある人も含まれます。「まだ大丈夫かも」と思っていても、一度確認することをおすすめします。

【給付①】住居確保給付金|家賃を払えなくなった人への支援

生活困窮者自立支援制度の「必須事業」のひとつが、住居確保給付金です。失業や収入の大幅減少により、家賃の支払いが困難になった方を対象に、一定期間家賃相当額を補助する制度です。
住居確保給付金の対象者(主な要件)
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 離職・廃業・収入減少 | 離職・廃業から2年以内(出産等でやむを得ず求職活動できなかった期間がある場合は最長4年)、または個人の責任によらず収入が離職・廃業と同程度まで減少した方 |
| 収入要件 | 申請月の世帯収入合計が「市町村民税均等割非課税相当額の1/12+家賃額」以下(例:東京23区・単身の場合、月収13〜15万円程度が目安) |
| 資産要件 | 預貯金の合計が一定基準以下(単身:約50万円以下が目安。自治体により異なる) |
| 求職活動 | ハローワーク等への申込みと、誠実かつ熱心な求職活動を継続すること(自営業者等は経営改善の取組みでも可) |
| 居住要件 | 賃貸住宅に居住していること、または住居を失っているまたは失うおそれがあること |
2025年4月からの制度拡充により、転居費用(引越し費用)の補助も追加されました。家賃が家計を圧迫しており、より低廉な住宅へ引っ越したい方にも利用しやすくなっています。また、離職理由は自己都合・会社都合を問わず申請が可能な点も重要なポイントです。
給付額・給付期間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 給付額 | 実際の家賃額(自治体が定める上限額まで)から世帯収入に応じた自己負担分を差し引いた額 |
| 給付期間 | 原則3ヶ月。求職活動の状況に応じて最長9ヶ月まで延長可能 |
| 支払方法 | 本人ではなく家主(大家・不動産管理会社)へ直接振込 |
| 再申請 | 前回受給終了から1年以上経過し、要件を再度満たす場合は再申請可能 |
申請に必要な書類
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、住民票等
- 収入確認書類:給与明細、年金証明書など(各種控除前の金額がわかるもの)
- 預貯金確認書類:通帳の写し(申請者および同居者全員分)
- 離職・廃業確認書類:離職票、廃業届など(離職・廃業後2年以内の場合)
- 賃貸借契約書:現在の住居の契約書類
住居確保給付金の申請ステップ
市区町村の福祉課・社会福祉協議会などの窓口へ。電話やオンラインでも相談可能。
窓口で案内された必要書類を準備し、申請書を提出する。
要件確認後、支給決定。家主へ直接振込が開始される。
毎月「求職活動報告書」を提出し、定期面談で活動状況を確認。支援員が就職活動を並走サポート。
ポイント:自己都合退職でも申請できる
「自分で辞めたから対象外では」と思っている方が多いですが、住居確保給付金は離職理由(自己都合・会社都合)を問いません。また、シングルマザーで仕事を減らした場合やメンタル不調による休職・収入減も対象になりえます。まず相談窓口に問い合わせることをおすすめします。
【給付②】住民税非課税世帯・低所得世帯向け給付金

近年、物価高騰対策として政府が繰り返し実施しているのが、住民税非課税世帯・低所得世帯を対象とした給付金です。2023〜2025年にかけて複数回にわたり給付が行われており、生活困窮世帯への主要な経済的支援となっています。
直近の給付金の概要(2023〜2025年)
| 実施時期 | 対象世帯 | 給付額 |
|---|---|---|
| 2023〜2024年 | 住民税非課税世帯 | 10万円(子ども1人あたり5万円の加算あり) |
| 2024年 | 均等割のみ課税の低所得世帯 | 10万円(子ども1人あたり5万円の加算あり) |
| 2024年 | 2024年度に新たに非課税・均等割のみ課税となった世帯 | 10万円(子ども加算5万円あり) |
| 2025年 | 住民税非課税世帯 | 3万円+子ども1人あたり2万円加算(閣議決定済み) |
※給付金は自治体ごとに実施時期・手続き方法が異なります。お住まいの市区町村の公式サイトや広報で最新情報をご確認ください。
住民税非課税世帯とは?年収の目安
「住民税非課税世帯」とは、世帯全員の住民税(所得割・均等割ともに)が非課税となっている世帯を指します。年収の目安は以下のとおりです(2024年度基準・東京23区の場合)。
| 世帯構成 | おおよその年収の目安(給与収入ベース) |
|---|---|
| 単身世帯(65歳未満) | 年収100万円以下程度 |
| 単身世帯(65歳以上) | 年収155万円以下程度 |
| 夫婦2人世帯 | 年収156万円以下程度 |
| 夫婦+子1人世帯 | 年収205万円以下程度 |
| ひとり親(子1人)世帯 | 年収204万円以下程度 |
※自治体や年度・扶養控除の有無によって異なります。正確な判定はお住まいの市区町村窓口にご確認ください。
給付金を受け取るための注意点
- 世帯全員が、住民税が課税されている他の親族の扶養に入っている場合は対象外になることがある
- 自治体から「確認書(請求書)」が届いた場合は期限内に手続きが必要(手続き漏れで給付されないケースがある)
- 新たに非課税になった世帯は、申請が自動ではないことがある(要確認)
- 給付金の支給は自治体ごとに異なるため、引越しをした場合は住民票のある自治体で確認する
2026年度からの大きな変更点(税制改正)
令和8年度(2026年度)の税制改正により、住民税均等割の非課税ラインが大幅に引き上げられました。単身世帯では給与収入ベースで約170万円、夫婦・子1人世帯では約280万円が目安に変更されます(総務省・財務省資料より)。2025年の所得から新ラインが適用されるため、これまで課税されていた方でも非課税世帯となる可能性があります。
【支援③】生活福祉資金貸付制度|緊急時の「つなぎ資金」として

給付金(返還不要)ではなく、低利または無利子で「貸し付け」を受ける制度として、生活福祉資金貸付制度があります。他の貸付制度が利用できない低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯を対象に、社会福祉協議会が窓口となって実施しています。
主な資金の種類と対象者
| 資金の種類 | 対象 | 貸付上限 | 利子 |
|---|---|---|---|
| 緊急小口資金 | 低所得世帯で緊急的・一時的に生計維持が困難な方(医療費・解雇・公共料金滞納など) | 10万円以内 | 無利子 |
| 総合支援資金 | 失業等で日常生活全般に困難を抱えた世帯(生活費・一時的経費) | 生活費:月20万円以内 | 無利子 |
| 福祉資金 | 低所得世帯・障害者・高齢者世帯。福祉用具購入・医療費など | 種類により異なる | 年1.5%(連帯保証人なしの場合) |
| 教育支援資金 | 低所得世帯の高校・大学等への進学・就学費用 | 月65,000円以内(大学等) | 無利子 |
緊急小口資金の対象になる主なケース
- 医療費や介護費の支払いで生活費が不足しているとき
- 火災・自然災害の被害を受けたとき
- 年金・保険・公的給付の支給開始まで生活費が必要なとき
- 会社からの解雇・休業などで収入が急減したとき
- 税金・国民健康保険料・年金保険料の滞納分を支払ったことで支出が増えたとき
総合支援資金・緊急小口資金の利用には「自立相談」が原則必要
2015年の制度改正以降、総合支援資金・緊急小口資金の貸付には、原則として生活困窮者自立支援制度の「自立相談支援事業」の利用が要件となっています。窓口への相談が必要ですが、これは「支援の間口」でもあります。相談を通じて、給付金や他の支援制度への橋渡しも受けられます。
「自分が対象かどうか」を確認する方法

上記の制度に当てはまるかどうか、自分では判断が難しい場合も多いです。そんなときの確認方法を紹介します。
セルフチェックリスト
以下の項目にひとつでも当てはまる方は、給付金・支援制度の対象になる可能性があります。まず相談窓口に問い合わせてみましょう。
- 失業・廃業してから2年以内で、家賃の支払いに不安がある
- シフト削減・休業などで月収が大幅に下がった
- 住民税の通知書に「非課税」と書いてある、または住民税を納めていない
- 食費・光熱費・家賃のどれかを滞納したことがある
- 病気・ケガで仕事を続けられなくなった
- ひとり親世帯で収入が不安定な状況にある
- 預貯金が数十万円以下で生活が苦しい
給付金・支援の対象外になりやすいケース
- 世帯収入が収入基準額を超えている場合(制度ごとに異なる)
- 預貯金が資産基準額を超えている場合
- 住民税が課税されており、かつ扶養親族がいない単身の高収入者
- 世帯全員が課税親族の扶養に入っている場合(住民税非課税世帯給付金)
注意:給付金の詐欺に気をつけましょう
「給付金を受け取れます」と称してATM操作や口座番号の入力を求める詐欺が増えています。公的な給付金で、電話・LINEなどでATM操作・振込を求めることは絶対にありません。不審に感じたら、警察相談専用電話(#9110)または自治体の窓口に直接確認してください。
給付金を受けられなかった場合の次のステップ

「収入基準を少し超えていて給付金の対象外だった」「手続きの期限が過ぎてしまった」という場合でも、使える支援制度はあります。
次に検討すべき主な支援制度
| 制度名 | 概要 | 窓口 |
|---|---|---|
| 就労準備支援事業 | すぐに就職が難しい方への生活リズム改善・職場体験支援(6ヶ月〜1年) | 市区町村の自立相談支援機関 |
| 家計改善支援事業 | 家計の「見える化」と収支改善・債務整理のサポート | 市区町村の自立相談支援機関 |
| 子どもの学習支援事業 | 生活困窮世帯の子どもへの学習・進路・生活習慣サポート | 市区町村の自立相談支援機関 |
| 年金生活者支援給付金 | 老齢・障害・遺族基礎年金受給者で低所得の方への上乗せ給付 | 日本年金機構 |
| 生活保護 | 他の制度をすべて活用してもなお最低生活費を下回る場合の最終的なセーフティネット | 福祉事務所 |
よくある疑問(Q&A)

Q1. パートで働いていても給付金を受けられる?
受けられる場合があります。パート・アルバイト収入であっても、世帯の月収合計が収入基準以下であれば住居確保給付金の対象になります。また、住民税が非課税であれば非課税世帯向け給付金の対象にもなります。「働いているから対象外」とは限りません。
Q2. 自営業・フリーランスでも対象になる?
なります。廃業から2年以内であれば住居確保給付金の申請が可能です。また収入が離職・廃業と同等程度まで減少した場合も対象になります。自営業者は「経営改善等の自立に向けた活動」を行うことが求職活動の代替として認められます。
Q3. 給付金を申請すると生活保護になってしまう?
なりません。住居確保給付金や住民税非課税世帯給付金は、生活保護とは独立した別の制度です。相談した結果、状況に応じた支援が提案されますが、生活保護の申請を強制されることはありません。

Q4. 外国籍でも申請できる?
在留資格がある外国籍の方は、住居確保給付金など生活困窮者自立支援制度の相談・支援を受けることができます。住民税非課税世帯給付金も、住民基本台帳に登録されている方(在留外国人を含む)が対象になります。
Q5. 家族に知られずに相談できる?
自立相談支援制度には扶養照会(家族への連絡義務)はありません。相談内容は秘密が守られます。生活保護とは異なり、一人で相談に行っても家族への連絡が発生することはありません。
まとめ|給付金・支援制度は「早めの相談」が最大のポイント

- 生活困窮者が受けられる主な給付金は「住居確保給付金」「住民税非課税世帯給付金」の2種類
- 住居確保給付金は離職・廃業から2年以内で収入・資産要件を満たせば申請可能(理由は自己都合でもOK)
- 住民税非課税世帯であれば、物価高騰対応の給付金(3〜10万円+子ども加算)の対象になる可能性がある
- 給付と貸付の両方を組み合わせて活用することで、困窮状態からの立て直しが図れる
- 「対象かどうかわからない」場合でも、まず相談窓口に問い合わせることが一番の近道
相談窓口まとめ
- 市区町村の福祉課・生活支援課(平日窓口)
- 社会福祉協議会(自立相談支援・生活福祉資金貸付)
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度 相談窓口検索」(公式HP)
給付金の申請に「恥ずかしい」「迷惑をかける」と感じる必要はまったくありません。これらの制度は、あなたが納税や社会保険料を通じて支えてきた「社会の仕組み」です。困ったときに使うために存在しています。一人で抱え込まず、まず一本電話することが、生活を立て直すための最初の一歩です。

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